↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星を抱くひと  作者: 飴目
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
86/180

第86話 支配の資質

「セレンって、意外と妖精を使いこなすと思ってたんだけどな」


フィリスがふう、と笑いを収めながら言った。


「……」


セレンは何も言わず、外套の中へそっと意識を向けた。

するとソラトも面白そうに口を挟む。

「お守りにするタイプだったんだ」

「そういうことらしいね、おもしろ」

「うるさい」

「はははっ!似合わねぇー」

ヒヨリはまだ笑っている。


セレンは少し目を伏せた。

けれど、否定するほどでもない。

実際、その通りなのだから。


しばらく笑っていたナギが、目元に浮かんだ涙を拭いながら息を整える。

「まぁ……」


まだ少し笑いながら、ナギが続けた。

「ナナセとの魔法の相性は、かなり良いと思うけどなぁ」


セレンが顔を上げる。

「相性?」

「うん」

ナギは少し考えるように指先を顎へ当てた。

「俺が感じ取った範囲だけど、ナナセの魔法ってちょっと支配魔法に近いんだよね」

「支配魔法?」

「対象に直接干渉する感じ」

ナギはナナセに感じていたことの説明を続ける。

「だから、攻撃魔法もたぶん同じ系統だと思う。単純に火力で殴るタイプじゃなくて、相手そのものに干渉する感じ」


セレンは黙って聞いている。


「そういう魔法なら、セレンとの組み合わせは悪くないと思うよ」

「……」

「セレンが近距離で相手を制圧して、ナナセが魔法で動きを縛ったり、感覚を邪魔したりできるなら、かなり厄介な組み合わせになる」


ナギはそこで一度、セレンの外套を見る。

「まあ、本人が戦場に出る気があるかは別だけど」

「……出さない」

即答だった。


「ははっ」

ナギがまた笑う。

「そこだけは迷いないんだ」

「ない」


セレンは外套の右側へそっと手を添えた。

その中には、何も知らずに眠っているナナセがいる。


「ナナセがどれだけ強くても、俺はあそこに入れたくない」

「お守りだねぇ」


ソラトが笑う。


「……そうかも」


セレンは珍しく否定しなかった。

その返事に、今度は誰もからかわなかった。

ただナギだけが、少しだけ目を細めてセレンを見る。


ナナセの魔法とセレンの相性。

それだけなら、確かに良い。

けれど、今のセレンにとってナナセは、戦闘力を補うための存在ではないのだろう。


そんなことを考えながら、ナギは小さく笑った。


「まあ、本人が起きたら聞いてみれば?」

「起こさないで」

「はいはい」


休憩の終わりを告げるように、遠くから合図が響く。


セレンは静かに立ち上がった。

外套の中の小さな気配を一度だけ確かめてから、何事もなかったように歩き出す。


その足取りは、いつも通りだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。