↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星を抱くひと  作者: 飴目
第7章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
171/181

第171話 動く戦場

ギルド同士が争う中、いよいよアルカの出番が回ってきた。


待機していたアルカの隊員たちが一斉に動き始めると、それまで漂っていた硬い緊張が、はっきりとした戦意へと変わっていった。


今回の勝敗条件は明確だった。


相手ギルドの隊長を戦闘不能にすること。


そのため、ただ真正面から愚直にぶつかり合うだけでは勝てない。

相手の配置を正確に読み、守りの薄い場所を探し出し、敵隊長へと繋がる道を切り拓く必要がある。


そんな複雑な戦場で、フィリスたちのいる特別部隊は、アスレイ率いる部隊の裏取りを担当していた。


正面で激しくぶつかる主力を手堅く補佐しながら、敵の側面や背後からの奇襲を警戒し、機を見て敵を陽動する重要な役目だ。


「行こうか」


フィリスの短い声が飛ぶ。


その直後――。

出撃の開始を告げる重々しい鐘の音が森に鳴り響いた。


森の各所で、一斉に人が散っていく。


セレンも指示を受けるとすぐに走り出した。


ナナセは、その胸元に静かに身を潜めていた。

小さな身体をさらに縮め、外套の内側で徹底して自分の気配を殺す。


ポケットの中で聞こえてくるのは、セレンが力強く踏み出す足音と衣服が擦れる音。

そして、耳のすぐ近くで規則正しく響く彼の深い呼吸音だった。


いつもの単独に近い任務とは、少し勝手が違っていた。

普段の任務なら、立ちふさがる敵を見つければ倒す。

危険があれば冷静に避ける。

必要なら、セレンが得意とする間合いまで一気に距離を詰める。


けれど、今日は違う。

相手もまた、同じようにこちらの出方を探って動いている。


どこに何人潜んでいるのか。

誰が囮で、誰が本命なのか。

どこまでが相手の狙い通りなのか。

目の前の一人の動きだけではなく、味方と敵、その戦場全体の配置を常に頭に入れて動かなければならない。


セレンも走る速度を巧みに変え、時折足を完全に止めると、木々の隙間から遠くの情勢を確認する。


その真剣な横顔には、はっきりとした緊張の色が浮かんでいた。


ナナセはポケットの中から、伝わってくる身体の微かな硬直と緊張を感じ取っていた。


やがて森の奥から、遠くで金属同士が激しくぶつかり合う甲高い音が響いてきた。

別の場所では強い魔法が炸裂し、密生する木々の間から一瞬だけ眩しい光が漏れ出す。


戦場が、本格的に大きく動き始めていた。


セレンは太い木の陰に身を隠し、ピタリと足を止めた。


「……居るな」


低い、小さな呟き。

ナナセもポケットの中で静かに全神経を研ぎ澄まし、周囲の気配を探る。


前方に複数の気配。

敵がこちらの側面へと回り込もうと、足音を忍ばせて移動している。


セレンの鋭い目が細くなった。


次の瞬間には、セレンの身体はもう前へと力強く走り出していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。