9 長男
マリエールは長男が苦手だ。特別な言葉使いを要求される。そんな長男から金鉱山の採掘の話しを持ちかけられた。
9 長男
次期国王である国王の長男は特別な存在だ。マリエールが会ったら他の兄弟姉妹とは違う喋り方をしなければならないので挨拶だけ覚えてなるべく話さないようにしている。ある日その長男がマリエールに向かってくる。マリエールは、
「敬愛なるご長男様。ご健勝のようで何よりです。」
と教えられた通りの挨拶をした。
「そんなに畏まらないでくれ。普通に話してくれて構わない。僕は君と仲良くなりたいだけだ。公式場では憚られるかも知れないが、通常の場では普通に話しをして構わないよ。」
少し気楽になった。この人はいい人のようだ。長男は、
「少しマリエール商会の事で聞いておきたい事があるんだ。君にやってもらった砂漠は海に面していただろう。沖合に島ある。その島がクラーケンの巣があるのだが、その島が金が産出するらしい。君はクラーケン討伐したそうだ。クラーケンの討伐と金の採掘君に頼めないだろうか。」
実はマリエールは沢山金を持っている。砂漠の山に少量金があった。複製して金が大量になった。どう扱っていいか思案していた丁度いいタイミングだ。マリエールは、
「可能です。というか私しかできない仕事だと思います。」
長男は納得して具体的な話しをしだした。地図を出して
「この地図にあるように砂漠から、5km沖合にある島だ。砂漠の南の海上にある。島の北側がクラーケンの巣、南、西、東は断崖絶壁、島の中央は火山だ。フライの使える者がこの島に渡って火山の近くで金塊を採掘した。アイテムボックスがないので手に抱えられるしか金塊を持って来られなかった。君ならアイテムボックスがあるし沢山採って来られるのではないだろうかと思って相談したんだ。どうだろうか。」
金塊の回収とクラーケンの討伐か。問題はない。
「はい、やらせて頂きます。マリエール商会が請け負ったという事でよろしいですね。」
ああ、構わない。と長男は言った。具体的な話しは財務大臣と話しをしてくれ。と言って話しは終わった。
マリエールは財務大臣に会いに言った。窓口に行くと女性職員が
「話しはお聞きしております。」
と言ってマリエールを招き入れた。
「私が担当します。若い女性の方とお聞きしましたがまさかこれほど若い女性の方と思いませんでした。マリエール商会会長もしてみえるのですね。今回はそのお立場でお話しさせていただけばよろしいですね。我々はマリエール商会に金塊の回収とクラーケンの討伐をお願いしたいのです。金塊は金鉱山の採掘まで持っていければ理想ですが金鉱山の有無、技術面の問題がありますので現在確定はできません。必要経費をこの金額、金の代金がこの金額、クラーケンの討伐費用が1匹当たりこの金額で如何でしょうか。」
と20代半ばのキャリアウーマン風の女性が言った。マリエールは
「金の採掘もクラーケンの討伐も時間がかかると思います。宿泊施設や製錬所の設置は許可頂けますか。」
担当者はニッコリ笑って、
「必要経費の中で行なって頂く分には問題ありません。」
何と役所的な返事だろう。
マリエールを担当するのは20代半ばのキャリアウーマンだった。宿泊施設と製錬所の設置の許可を申請すると必要経費の範囲内なら構わないと言われた。




