表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
反乱で処刑された若き領主、気づいたら過去に戻っていました。  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

316/374

奪う者、守る者

完全な噂だ。証拠があるわけでもない。


だが――


エドワルドは机に肘をつきながら、ゆっくりと考えていた。


「……理にはかなっている」


ラーデン領とモルガン領。


戦の理由。飢え。それだけだ。


王政が存在していた頃なら、勝手に戦を始める事は許されなかった。


王の命令。貴族同士の調停。


何らかの形で歯止めはかかった。


今は違う。

王はいない。王都は崩壊した。

統制も命令も存在しない。


「……そうするしかないか」


エドワルドは小さく呟いた。


飢えている。食料が無い。領地が持たない。

ならどうする?


答えは一つ。


奪う。


それしかない。


「追い詰められていれば、尚更だ」


エドワルドは椅子に深く座り直した。

商人の言葉が頭の中で繰り返される。


――モルガン領が優勢。

――仕掛けたのはラーデン領。


「……」


エドワルドは指先で机を軽く叩いた。


「俺でもそうするか……か」


その言葉が、頭の中で引っかかる。

本当にそうか?

エドワルドは静かに考えた。


「……確かに」


追い詰められていれば。

食料が尽きる寸前なら。

領民が餓死する状況なら。

隣が穀倉地帯なら。


「……」


エドワルドは目を閉じた。


「そうするかもしれない」


だが目を開く。


「……違う」


ぽつりと言った。


「俺がこの領地を占領したのは」


少し言葉を選ぶ。


「奪うためではない」


エドワルドは窓の外を見た。


この町。

元領主館の町。

崩壊した土地。

人がいなくなった場所。


そこへ兵を連れて入り、町を作り直した。


「……保護するためだ」


逃げてきた民。

山に隠れていた民。

王都から生き延びた民。


その全てを受け入れた。


「奪うのとは違う」


エドワルドは静かに言った。


「保護だ」


奪う。それは他者の物を奪い取る事。

保護は違う。生き延びる場所を作る事。


「……全く別だ」


エドワルドは腕を組んだ。


「一緒にされても困る」


ラーデン領は攻めた。

食料を奪う為に、だが自分は違う。


ここは空白の土地だった。

捨てられた土地。

そこに町を作っただけだ。


「……」


心のどこかで小さな声がする。

本当に違うのか?


エドワルドは小さく首を振った。


「……答えが無いな」


この世界は変わってしまった。

王はいない。

秩序も無い。

誰もが自分で判断しなければならない。

正しいかどうかなど。

後にならなければ分からない。


「ふぅ……」


エドワルドは大きく息を吐いた。

そして机の上の書類を手に取る。


町の人口。配給記録。防壁外の櫓建設。

やる事は山ほどある。


「……さて」


エドワルドは呟いた。


「書類にでも目を通すか」


答えの出ない事を考えるより。

今やるべき事は、目の前にある。


紙を一枚めくる。


町を守る。それだけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
北領となった地の領主が既にくだるという答え出してるのに気がつけないのか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ