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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第5章 きっと、みんなと一緒なら
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風の魔獣

私が気づいた違和感と同じものを、他のメンバーも感じたのだろう。


「くろんさん、今日もカワイイのにドヨ~ンとして、何かあったのぉ~?」


早速°˖✧はぴ✧˖°さんが、声をかける。だがくろんさんは、


「別に……何でもない……」


そう言って頭を振ると、近くにいたサマーウパぺんを抱きかかえ、観戦エリア内の椅子の1つに腰を下ろした。サマーウパぺんは怪訝そうな顔をしている。


「むむむむぅぅ~」

「全身の筋肉が泣いているぜ……?」

「何でもないって感じじゃないんだけどっ!」


当然その答えに、チョコケーキさんも照輝さんも、Miyabiさんも納得してはいないのだが、


「いいの。早く、始めましょう……」


くろんさん本人にそう言われると、開始せざるを得ない。


----------------------------------------------------------

ユウ:こちらは準備が整いましたので 順番に戦闘開始お願いします

----------------------------------------------------------


気にはなるけど、すでに予定時間を過ぎていることもあって、私はワールドチャットで分析戦闘開始を指示した。


早速6つ全てのモニターに、樹上の戦闘エリアへと移行する様子が映し出され……何か大きな白い影が、左下から右上へと斜めに横切る。そして……


「おお!」

「初めて見たけど、すっごーい!」


画面上部から、ゆっくりと白蛇が出現した。


想像よりもかなり大きい。その身体の全部は画面に入りきらず、一部見切れていることからも、その大きさが分かった。

鱗が月光を反射し、青銀色にも見えるその蛇は、四枚の翼を動かし空中をかなり速いスピードで飛び回れるようだ。


他の魔物と違って、銀色の兜を身に着けており、真っ赤な瞳が怪しく輝いている。そして心臓があると思われる部分に、特大の鉱石が張り付いていた。


「出現演出が派手になってる~ヾ(*•ᆺ•)ノ」

「ん~! いいね、いかにもボスって感じ! ねぇくろんさ……って、大丈夫……!?」


途中からMiyabiさんの声が焦ったものになったので気付き、私もくろんさんのほうに向き直る。くろんさんは両手でサマーウパぺんを抱きしめ、ガタガタ震えていた。

かなり力が入っているらしく、サマーウパぺんは苦しそうに、くろんさんの腕をぺちぺち叩いている。


この光景、以前も見たような……ああっ!!


「そう言えばくろんさんって、蛇嫌い派だったんじゃ……!」


アークタルラの行動分析をした時のMiyabiさん、°˖✧はぴ✧˖°さんの様子と、今のくろんさんの様子がダブる。

確かあの時、くろんさん本人が「蛇よりはまし」みたいなことを言っていたのを思い出した。


「そうなのか? 俺様は最高にカッコいいと思ってたんだが」

「ごめんなさい。私……実は蛇に……トラウマがあって……!」

「そういうことは早く言ってよぉう! よしよし、大丈夫だからねぇ~?」


慌ててくろんさんの頭を撫で、安心させようとする°˖✧はぴ✧˖°さんだが、効果は芳しくない。


「知ってるか、筋肉はすべてを解決するんだぜ。こういうときは筋トレだ!」

「それで解決するの、照輝さんだけだからΣ(゜∀´(ㅅ• )ガブッ」

「そ、ソーリーマッソー……」

「そうだよね、怖いよね……!」


くろんさんの気持ちが、誰よりも分かるのであろうMiyabiさんは、しばらく何か考えていたが、


「でも……でも、大丈夫だよ!

あれはね、ちょっと珍しいドラゴンだから、怖くないよ!」


彼女の両肩を掴んで、言い切った。

突然のことに、くろんさんは驚いている。


「え、ど、ドラゴン……?」

「そう! 東洋の龍と、西洋の竜のハーフなの! だからあんな姿なのよっ!!」


その説明に、思わず納得してしまった。確かにそう見える。タラバガニと言い、すり替えが上手いなぁ……。


「あれは……ドラゴン……」

「ねっ、それなら怖くないでしょっ? みんなもそう思うよねっ?」

「見える見えるꉂ(•ㅅ•*)ケラケラ」

「説得力すっごーい!」


チョコケーキさん、°˖✧はぴ✧˖°さんも同意する。そして、


「お前が信じるお前のマッソーを信じろ!」


照輝さんもグッドのハンドサインをしつつ、そう言う。徐々にくろんさんの震えが止まった。


「ありがとう……そう、信じることにするわ……!」


ようやく落ち着きを取り戻した彼女を見て、全員がほっとした表情を見せる。


「ウ、ウペ……」

「あっ、ごめんなさい……。あなた少し、雰囲気がティアに似てたから、つい……」

「……ペッ」


サマーウパぺんもくろんさんの腕の力が緩んだことで、ようやく解放された。確かに普段から愛想がないし、舌打ちしてるところが、ちょっと似てる……か?


ちなみにこの間も分析戦闘は進んでいたので、花図鑑さんたちがしっかり記録を残してくれている。


「1回目分析戦闘終了。現状魔法攻撃のみ」


簡単に判明したことを花図鑑さんが報告してくれたので、問題なく次に進めそうだ。

私は2回目の分析戦闘の開始を指示した。


「これって……行動がランダムっぽいような、そうじゃないような……?」

「あれじゃないの? 完全ランダムじゃなくて、えっと……部分ランダムの連続っていうか( _•ㅅ•)_」

「言われてみたらそうかもぉ~っ!」


ランダムは分かるけど、部分ランダムの連続……?


「すみません、部分ランダムの連続ってどういうことですか?」

「説明難しいんだけど……『ABCの攻撃がランダム順で来る』ってパターンの後に、『DEFGの攻撃がランダム順で来る』ってパターン、みたいな?」

「……なるほど。特定のひとくくりで行動パターンを見るんですね?」

「通じた? さっすが私~」


確かにチョコケーキさんが気づいたように、特定のひとくくりごとに決まった行動パターンをしているようだ。完全ランダムよりは、戦略が立てやすそうだな。


「それにしても、行動が全体的にかなり速いね。ランダム順の即死列攻撃があるみたいだけど、大丈夫かな?」

「さすが風の魔獣って感じぃ~っ☆」


それも気になっていた。今まで見たどの敵よりも、動きがかなり速い。ランダム順の行動が多いのにこれだと、ちょっとした判断ミスが命取りになりそうだ。


「俺様は見た目からして『毒』があるかと思ってたんだが、意外にも『溶解』の状態異常だな」

「じゃあ今回は、毒消しいらないね~っ♪」

「……待って。敵の攻撃は……今のところ全部、魔法攻撃なのよね……? 『溶解』って……物理防御で軽減するものじゃ……?」

「えっ、あ、あれ? そう言えば?」


そうなると、照輝さんは装備を魔法防御に振り切るわけにはいかないよな。

どうするつもりなのかなと思い、照輝さんの方を見ると、


「あっはははははは! 大丈夫だ、筋肉は決して裏切らない!」


自信満々の表情で、そう言われた。本当に大丈夫なのかな……。


こうして滞りなく、トルネクロンの行動分析が終了した。

分析結果を元にした武器編成やパーティ内の作戦会議が終われば、次はいよいよ火属性選抜チームの出番だ。

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