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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第5章 きっと、みんなと一緒なら
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火属性選抜チーム、再集結

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Miyabi:私も合成全部付いたから お手伝いするよっ

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ワールドチャットでのそのお知らせに、私たちはほっと息をついた。これでお知らせが届くのは4人目だ。


「これで合成全部付いてないの、後はくろんさんだけですね」

「やっと終わりが見えてきたね!」


次の日も朝からずっと、レア敵を探して戦闘を繰り返した甲斐あって、昼頃には全員が必要な量の合成素材を集め終わりそうだ。レア敵しか狙わない作戦が功を奏したみたいで、良かったな。


と、ここで久々にレア敵が現れたので、私は慣れた手つきでパーティ募集をかける。今回は即、くろんさんが合流してきた。


「くろんお姉ちゃん、合成の調子はどう?」

「ごめんなさい、あと1か所なんだけど……その1か所にもう、合成20回失敗してるわ……」

「マジかよ……相変わらずそういう運はねえな」


こればかりは運要素なので仕方ないのだが、大分苦労してるな。


さすがにもう、このパーティでの連携にも慣れたので、指示されるまでもなく的確な支援ができるようになった。程なくしてレア敵の鉱石部分を砕ききり、ドロップ品の魔晶石を手に入れる。


「次は特大合成付くといいね、くろんお姉ちゃん!」


そう言いながら、くろんさんの肩を叩くDylicaさんを見て、ジャスティアさんは何故かムッとした表情を見せた。

そして無言のままDylicaさんのリュックサックを掴み、邪険に引きはがすと、今度はジャスティアさんが私たちの方を見ながら、くろんさんを抱きしめる。


さすがにそれを見せられたら、彼が言いたいことはすぐに分かった。その目も明らかに、「俺のものだ」と主張している。


「ちょ、ちょっとティア……! さすがに人前は、恥ずかしいわ……!」

「えーっ、ジャスティアお兄ちゃんとくろんお姉ちゃん、今そういう仲なんだ!

でも独り占めは狡いよ、僕くろんお姉ちゃんと相互フレンドなんだから、話すくらいならいいよね?」

「………………2人きりにならなけりゃな」


葛藤の末、ようやくそう答えてから、彼はくろんさんを解放した。


「ならないよ。ジャスティアお兄ちゃん、怒ったら超怖そうだもん。でも僕、ジャスティアお兄ちゃんとも仲良くなりたいから、フレンド送るね!」


そう言ってDylicaさんは早速、半透明の画面を操作し始めた。


うーん、確かにこの程度で済むんだから、Dylicaさんが言うように、ジャスティアさん以前より丸くなったな。くろんさんに感謝しないと。


「そんなことより、大丈夫なのか?」

「……何のこと?」


ふいに投げかけられたジャスティアさんの問いに、くろんさんはピクリと反応したが、少し間を開けてそう答える。


「とぼけんな。俺の言いたいこと、伝わってるだろ」

「……仕方ないじゃない。代わりの人は……いないわ」

「…………そうだな」


一体何のことを話しているのか、私には全く分からないのだが、ジャスティアさんはくろんさんの答えに、悔しそうに口の小枝を噛み締める。


「じゃあ……合成試してくるわね……」


魔晶石を握りしめ、即適性者ギルドへとワープしたくろんさんを見送ると、ジャスティアさんは苛立たし気に地面を蹴った。


「じ、ジャスティアお兄ちゃん、休憩しよ? 丁度時間だし、僕もうクタクタだよっ」

「わ、私も早く水浴び休憩したいです!」


空気を換えようとDylicaさんがそう言ったのを察し、私も同意する。彼もそれに気づいたようで、


「……わりぃ、そうだな」


深いため息の後にそう答えつつ、ワープ移動するために半透明の画面を開いた。


火山地帯(夜)も暑いので、みんな休憩時間になると、イベントエリア「温泉」にある水風呂を活用している。私たちもすぐにそこへ移動し、セット登録してあった浴衣や水着に着替え、水風呂に入った。


何か話題、話題……。


「そう言えば森林地帯(夜)の魔獣って、どんな敵なんですか?」


まだ聞いてなかったので、丁度いいかと思い、そう尋ねる。


「風の魔獣だよ! えっとねー、確か見た目が……空飛ぶ白蛇?」

「蛇が空を飛ぶんですか?」

「アステカ神話でいうケツァルコアトル、マヤ文明でいうククルカンのことだ。色んなゲームにいるだろ」


Dylicaさんの説明に、ジャスティアさんがそう補足する。


「ああ、それなら確かに分かります。羽毛ある蛇、ですね」

「このゲームだと、名前はトルネクロンだけどね」


前作最後のストーリーによると、「魔獣」と呼ばれていたものは、実は海の女神の「神獣」だったという内容だから、神話がモチーフの敵なら、最初から伏線があったってことなんだろうな。


「そう……蛇、だ」


何か思うことがあるようだが、そのまま「ととのいスペース」へと移動するジャスティアさん。さすがにそれ以上話しかけるのは躊躇われたので、私も黙って「ととのいスペース」へと移動する。


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くろん:ありがとう……私も合成全部付いたわ

Rock:よし これで全員だね! 今から30分休憩して その後ボス敵の行動分析に入ろうか!

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ぼーっとした時間を過ごしている間に、ワールドチャットでお知らせが入った。


「じゃあこれで解散だな。お疲れ」

「えっ! あ、はい……お疲れ様でした」

「ジャスティアお兄ちゃん、またね!」


早々にパーティ解散の操作をしてしまったジャスティアさんは、即またどこかへワープしてしまう。残された私とDylicaさんは、ただ見送ることしかできなかった。


「ジャスティアお兄ちゃん、くろんお姉ちゃんのことで何か心配事があるみたいだったね?」

「そうですね。聞いたところで、話してくれなさそうでしたが」


1日半という短い時間ではあったが、一緒にいて気づいたことがある。


ジャスティアさんは絶対に話す必要があることなら話すが、説明が面倒なことはジェスチャーで済ませたり、自分でやったりするのだ。話す必要がないことや、後でどうせ分かることは話さない。


つまりこの件は、「話す必要がないこと」か、「後でどうせ分かること」、あるいはその両方なんだろう。


「僕はこの後、ウパぺんと少し遊ぶけど、ユウお兄ちゃんはこれからどうするの?」

「もう少し休んでから、その風の魔獣がいる場所で観戦エリア作ります。魔獣の設置場所は、昼エリアのボス設置場所と同じですか?」

「えっと同じだけど、祭壇?みたいなのがあるだけで、戦闘開始まで魔獣は見えないよ。あと、魔獣討伐クエスト取らないといけないから、忘れないでね!」

「ありがとうございます、ではまた」


こうして私はDylicaさんとも別れ、少しイベントエリアで休憩してから魔獣討伐クエストを適性者ギルドで受託し、魔獣の設置場所へ向かう他の人と共に、森林地帯(夜)へと足を踏み入れた。


ここも地形は昼エリアと全く同じだけど、所々に光る虫が飛んでいるので、幻想的な雰囲気だ。音楽もまた、森の静けさの中にも怪しさを感じるような曲に変わっている。


昼エリアと同じ要領で雑魚敵を避けて進み、聞いていた祭壇に辿り着く。まだ少し早い時間なのに、ウパぺんたちも当然のように、何匹か待っていた。


1つ深呼吸してから、観戦エリアを設置する。すぐに花図鑑さんたちも到着し、私と手分けしてウパぺんたちを中に誘導した。


いよいよ、か……。


「暗い顔してると……こうだー!(「 •ㅅ•)「」


ふいにパイを投げつけられ、私は驚いてそちらを見る。いつの間に来たのか、火属性選抜チームのプリーストである、チョコケーキさんがニヤニヤしながら、そこに立っていた。


「すみません、皆さんの方が不安なはずなのに。気を付けます」

「気楽にいこー!ꉂ(•ㅅ•*)ケラケラ」


彼女のこういうところは、本当に助かるな。

パイをチョコケーキさんに返しているところで、


「えーっ、みんな早いねーっ☆」

「ふっふっふ……今回は怖くないもんね!」


火属性選抜チームのレンジャーである°˖✧はぴ✧˖°さんと、同じくマジシャンであるMiyabiさんが、ほぼ同時に到着する。


「む、筋肉を温めるのに、少し時間がかかったか?」


さらに火属性選抜チームのナイトである照輝さんが、合流した。


「ううん、時間ぴったりだよーっ♪」

「あれ、でも珍しいね。くろんさんまだなんだ?」


確かに意外な気がした。彼女は性格上、時間より早く来ると思っていたのだが、時間を過ぎてもまだ来ていない。


「何かあった?( _•ㅅ•)_」

「何も聞いてないけどぉー?」


念のためMiyabiさんが、個人チャットで連絡を取ろうとしたところで、


「ごめんなさい、遅れたわ」


ようやく火属性選抜チームのファイターであるくろんさんが、観戦エリアに姿を現す。

だが心なしか、その声が硬いように感じた。

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