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俺とアクマ  作者: エニシ
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第五話  私と先輩の報告会

序章が終わり。という感じです。そこで、軽い人物紹介などをやってみようかと。一話丸ごと使うのもあれなので、あとがきで書いときます。

 

 なんで、私が。


 それは、もう幾度となく繰り返した思考。そしてきっと止まることもない思考。

 早足で廊下を歩きながら、苛立ちに思わず舌打ちをする。廊下ですれ違う男子生徒が戸惑いに「え?」と肩を震わせていたが、そんなことに気を遣うキャパシティすら私にはない。


 命令とはいえ、人権侵害も甚だしい!

 

 中等部の教室を出たときのことを思い出す。昼食をこの理不尽な命令で共にしたことのない友人たちの、冷やかしの言葉。


「いやー、お熱いねえ」

「憧れるなぁ」

「さ、寂しい独り者たちはここで晩餐を頂きましょうや」


 今は昼食です、というツッコミすら不可能なほどに私はオーバーヒート。恥じらいではなく、怒りにだ。俯いたその顔を、しかし、恥じらいと勘違いした友人たちはさらに言葉を募らせる。


「もう、結衣はかわええなー」

「羨ましいなぁ」

「さ、恋人たちの邪魔をしたらあきまへん。馬に蹴られてしまいますぅ」


 なぜに似非京都弁、というツッコミすら無理。いたたまれず、顔を真っ赤にしながら私は教室を出た。顔を赤くしたのはもちろん怒りだ。怒りだ。怒り以外にない。


 自然と歩幅を大きくなる今日この頃。目的の教室がようやく見えてきた。

 1−D、という札の前の教室で立ち止まる。隣のクラスのドアが開き、二名ほどの男子生徒が出てくると、その視線を私に向けた。またか、みたいな目を向けられたのに思わず「代行するっ!!」の一言が出そうになる。


 この屈辱、如何様にして晴らさせてくれようか。


 怨、怨、怨。あまりに愉快さに、ふふふ、と口の中から不気味な笑いを発しつつ、私は教室のドアをノックしてから少し開ける。

 教室と窓との合間から覗かせた視線は、さあこちらに来なさい私のこの憤怒怨嗟恥辱の全てをぶつけてさしあげましょうの君――如月俊哉先輩を捉えた。向こうも私に気付いたようで、傍にいた今日もお変わりなくとても美しい長谷川先輩に「やべ、俺のガールフレンドが来ちまった!!」と大きな声を上げて言う。言うのか。なぜそんな大声で。しかも、憧れの先輩の前で。

 教室の他のクラスメートも呆れ顔。しかし、その顔の七割が私に向いているのが許せない。

 ニヤニヤ顔でドアの前にやってきた如月先輩。こんな奴にも先輩とつける自分の恭しさが腹立たしい。


「先輩、屋上に行きましょう」


 にっこり微笑む私に、如月先輩も爽やかとはとてもではないが言えない笑顔を向ける。歯を見せるな。


「もちろんさ、マイハニー!」


 並んで歩こうとするのを早足で阻止しながら屋上へと向かった。







「ごべ、ごべんなざい」


 なぜか壊れていた屋上の鍵。せっかく合鍵を持っていたのに、と思いもしたが、まあ別にそれはどうでもいい。


「先輩。これは任務です。この街に来たのも、学校に潜伏しているのも、全部この町に異常発生した幽魔の狩りと調査が目的なのです。昼食にその報告をし合うのも、本当はマジで勘弁止めてくださいの一言で拒絶したいのですけれど、支部長の御坂さんがそう仰るのだから、奥歯を食いしばり血を流しながら受け止めるしかないのです。その辺りのこと、わかっています?」


「……すいません。マイハニーとか言ってすいません。大声出してすいません。後輩という立場ゆえに俺の教室まで来させてすいません。弁当作らせてすいません。もう、生きていてすいません」

「わかればいいのです」


 文字通りのボロ雑巾と化した先輩。モザイクをかけないと放送禁止になるお姿だが、先輩の『能力』を考えれば、こんなもの屁でもないだろう。あ、少しお下品でしたか。


「じゃあ従来通り、報告会としましょうか」

「そうだな」


 やっぱり不死身なんですね。

 血みどろのまま起き上がるその姿はもはやホラーだが、原因は私であるので我慢はしておく。距離を五メートルとりながら、視線を空へ逸らして報告会の始まり始まり。


 内容はもちろん以前出会った不審者の話だ。一通り話し終わると、如月先輩は珍しく真剣な顔で思案中のご様子。如月先輩も、ニヤけた顔ばかりしていないで寡黙でいてくれれば格好いいのに、とちょっと思った自分に自己嫌悪。不意に先輩がこちらを向いたことで胸がときめいたとか有り得ないけど5センチ心臓が驚きのあまり動いてしまったのもまた事実。


「な、なんですか!」

「何で怒っているんだよ……。いや、あのさ。その男が倒した幽魔の『陰の気』が拡散したっていうのは……マジ?」

「え、ええ。マジです。実際に目にしましたから。というか、代行者以外の人間が倒せばそうなるでしょう? 幽魔を完全に消滅させられるのは、私たちだけなのですから」


 最も、代行者でない人間が幽魔を殺すというのも聞いたことがないが。そもそも、普通の人間に幽魔は見えない。


「そいつは悪魔か魔者じゃないだろうな?」

「違うと思いますよ。立ち振る舞いも、姿も口調も、どこか人間臭かったです」

「そうか」


 また黙ってしまった先輩。沈黙が気詰まりで、思わず口を挟む。


「やっぱり幽魔の異常発生や異常成長って、その男が関係していますよね?」

「……多分、な。消滅しない陰の気が核となる感情を見つければ、すぐに極度の精神干渉が可能な幽魔が生まれるし。しかも悪いことに、陰の気は結び付きやすいからなあ」

「今までよりも強靭な幽魔が生まれるということですか?」

「それの核によって変わるだろうけど」


 その可能性は高い、と言って先輩は俯いた。何か呟いたようだけれど、それが小さすぎて聞き取れない。


「何か言いました?」

「いや、なんでもないさ。おっけ、わかった。その男については御坂さんに俺から報告しておくよ。ちょうど俺も御坂さんに用事があったし」

「そうですか。じゃあ、お願いします」


 俺今日忙しいからさあ、結衣ちゃん行ってくれない〜? 

 ぐらいは言うかと思ったのに、拍子抜けだ。まだ何か考えているのか俯いたままだし。


 いえ、これは考えているというよりも、悩んでいる?


「先輩?」

「…………ん? 何」

「…………いえ、何でもないです」


 問いかけてから何と言えばいいのかわからず、押し黙る私。

 それに首を傾げた如月先輩は、ふーん、とただ相槌をうつ。


「そっか。じゃあ、俺そろそろ教室戻るな。もう昼休みも終わりだし。結衣ちゃんもそろそろ帰っとけ」

「言われなくてもそうしますよ」

「そりゃそうか。優等生だもんな」


 立ち上がり、結局あまり手を付けられなかった弁当を回収。先輩はそこで少し後ろめたい気持ちになったようだが、謝罪の言葉を掠めてすぐに屋上を出て行ってしまった。


 本当に、どうしたんだろう。何か先輩の様子がおかしい。

 お腹を壊した?

 有り得そうなその可能性に、笑う。ま、違うでしょうけど。

 でも、案外くだらないことじゃないだろうか。如月先輩だし。きっとそのうち笑い話として話してくれるだろう。いつものニヤけた笑いで。

 私も今は見えない先輩の後ろ姿を追うわけではまったく全然ないけれど、そのまま屋上を出た。壊れた鍵は放置する。このほうが私たちとしても都合がいいですし、先生に報告しようにもここ高等部ですし。詮索とかされるのマジでウザイですし。

 時間が時間。確かに差し迫るチャイムの音に私は急いで階段を駆け下りた。




 だから、聞こえなかった。

 屋上にいた、もう一人の呟きに。





「なるほどね」











真城柊――主人公一

 三白眼。182cmの高身長。初対面では避けられるタイプ。ぱっと見、怖い。手入れのない黒髪は、無造作ヘアーで通す。


アクマ――ヒロイン?

 ボクっこ。ボインでチビ。格好がエロイ。顔は童顔で中性的。名前は幼い柊が『悪魔なんだろ?』ということでアクマに決定。不満はないらしい。


六条結衣――主人公二

 礼儀正しい毒舌っこ。のはず。ボブカットにした黒髪とアーモンド形の瞳。容姿が特別に秀でているわけではないが、地味にクラスで目を引くタイプ。潔癖症気味。


如月俊哉

 茶髪にピアス。ニヤけた笑いは標準装備。セクハラ大王とかは柊が勝手に言っているだけ。別にイジメとかじゃないよ。でもエロなら負けない。


長谷川一樹

 女と見間違うほどの美少年。ショタ。自分が美しいということを過剰に自覚。ナルシストではなく、事実を事実として認めているだけ。稀に毒を吐く。



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