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小学四年生に戻った俺の、あの頃からのやり直し  作者: HATENA 
第二章 四億円の使い道

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第三十三話 二時の公園

 家に帰ると、母さんは台所で昼ごはんを作っていた。


「早かったね」

「始業式だけだから」

「どうだった、五年生」

「普通かな」


 母さんは笑って、皿をテーブルに置いた。


 焼きそばだった。


「食べたら、ぞうきん出しておきなさい」

「あとでやる」

「今出さないと忘れるよ」


 言い返せなかった。


 ランドセルを開けて、連絡帳をもう一回見る。


 ぞうきん、道具箱、筆記用具。


「ぞうきん、どこ」

「洗面所の下にあると思う」


 母さんに言われて、洗面所へ行く。


 棚の下には、白いぞうきんが何枚か重なっていた。


 一枚取って戻ると、姉ちゃんが居間で新しいシャーペンを回していた。


「ぞうきん?」

「明日いる」

「そのあと公園?」

「昼食べたら。二時」

「早く食べないと遅れるね」


 急いで食べていると、母さんに「ちゃんと噛みなさい」と言われた。


 二時前に家を出ると、朝より暖かかった。


 道沿いの桜には、春休みの時より花が増えていた。


 公園に着くと、遼太はもうブランコのところにいた。


 悠斗も隣にいた。


「遅い」

「二時前だろ」

「俺は早く来た」

「それは遼太が早いだけ」


 遼太はブランコから降りて、足で地面をこすった。


「ボール持ってきた」

「準備いいな」

「始業式の日だから」

「それ理由になるのか」

「なるだろ」


 悠斗が少し笑った。


「今日は人少ない」


 見回すと、公園には小さい子が二人と、ベンチに座っているおばあさんくらいしかいなかった。


「五年って、クラブあるんだよな」


 遼太が急に言った。


「先生が言ってた」

「サッカーあるかな」

「あるんじゃない」

「なかったら?」

「知らない」

「じゃあ作る」

「作れないだろ」


 遼太はボールを足元に置いた。


「悠斗は?」

「何が」

「クラブ決めた?」

「まだ決めてない」


 悠斗はそう言って、ブランコの鎖を軽く揺らした。


「藤宮は?」


 遼太がこっちを見る。


「俺もまだ」

「サッカー?」

「決めてないって」

「じゃあ何」


 何、と言われて、少しだけ考えた。


 運動系は嫌いではない。


 でも、サッカーを毎週やりたいかと言われると、少し違う。


「コンピュータとかあったら入るかも」


 口に出すと、遼太が目を細くした。


「コンピュータ?」

「学校のパソコン使うやつ。たぶん、何するかは知らないけど」

「分からないのに入るのかよ」


 悠斗が言った。


「藤宮、前からパソコン好きだよな」

「好きっていうか、家にあるから」

「いいな。うちない」

「俺んちもない」


 遼太がすぐ言った。


「じゃあ藤宮んちでやればいいじゃん」

「勝手に決めるな」

「見るだけ」

「見るだけで終わらないだろ」

「終わるかもしれない」

「終わらない」


 悠斗が短く言うと、遼太は少し笑った。


「じゃあクラブでやればいいのか」

「あるならな」


 遼太がボールを蹴って、俺の足元に転がってきた。


「藤宮、パス」

「急だな」

「とりあえず蹴って」


 言われた通りに蹴ると、ボールは少し右へそれた。


「下手」

「今のは地面が悪い」

「地面のせいにするな」


 悠斗が走って取りに行く。


 公園の土は、硬いところと柔らかいところがあった。


 ボールは思ったより変な跳ね方をした。


 三人でしばらく蹴っていると、少し汗をかいた。


 まだ春なのに、走ると首の後ろが熱くなる。


 遼太は上着を脱いで、ブランコの柵に引っかけた。


「暑い」

「さっきまで寒いって言ってたのに」

「走ったから」


 ベンチのおばあさんが少しだけこっちを見て、また前を向いた。


 俺たちは少し声を落とした。


「委員会、何があるんだろ」


 悠斗が言った。


「図書とか、放送とか」

「給食」

「余ったやつは食べられないと思う」


 悠斗が言うと、遼太は少し残念そうな顔をした。


 夕方になる前に、俺たちは解散した。


 悠斗は別の道へ曲がるところで振り返った。


「また明日」

「明日な」


 俺も手を上げて、家の方へ歩いた。


 家に着くと、玄関にランドセルが置きっぱなしだった。


 昼に置いたまま忘れていた。


「こういち」


 居間から母さんの声がした。


「ぞうきん、ランドセルに入れた?」


 靴を脱ぐ前に、少しだけ止まった。


「まだ入れてない」

「ほら」

「今入れる」


 ランドセルを開けると、連絡帳の上に、今日配られたプリントが一枚折れて入っていた。


 クラブ活動希望調査。


 まだ白い紙だった。


 サッカー、コンピュータ、図工と、いくつかのクラブ名が並んでいる。


 ぞうきんをランドセルに入れたあと、クラブ活動希望調査の紙だけを手に残した。

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― 新着の感想 ―
前の話で公園に行くまででよかったと思う 蛇足の話が少し多いかな もっと転生(昔気になってたあの子と先行してアプローチとか)と4億を話に絡めて欲しい
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