第八話 ガルバディア王
「こ奴らが例の者か?」
憲兵の群れを割って近づいてくる仰々しい格好をした男。
「陛下!?いけません。近づいては!」
憲兵の制止を振り払って男は二人の前に立ちはだかった。
「なんだぁ!?こいつらの大将かぁ?レイン!やっちまっていいか?」
「ちょっヤマトさん!冗談はやめてくださいよ!」
鞘に納めた虎鉄に手を置いていつでも居抜けるように体勢を整えるヤマト。
それを止める様にヤマトの裾を引っ張るレイン。
「そんな折れた剣でやれるのか?」
「出来ないとでも…?」
立ちはだかった男は煽るようにヤマトに問いかけると、ヤマトは不敵に笑って見せた。
ーーーやや暫く睨み合う二人。
だが。
「クククッ!」「にししっ!」
突然二人は笑い合った。
「全く敵意を感じぬわ!」
「こんなにキモの据わった漢は久しぶりよ!」
張り詰めた空気に固まっていた憲兵たちの時間が戻ってくると、その内の隊長と思しき者が二人に警告した。
「きっ、貴様ら!このお方が何方だと思っている!?ガルバディア王陛下であらせられるぞ!」
「なっ!?え?この人が王様っ!?」
レインは目の前にいる男がガルバディア王であると分かると慌ててその場に膝をついて頭を垂れた。
「えっ?何?このオッサン。凄いのか?」
「ヤマトさんのバカっ!」
「貴様!!不敬だぞっ!本当に逮捕するぞ!?」
憲兵が本気でヤマトを捕まえる勢いで前に出た。
「よいっ!下がれ!」
「し、しかしっ!」
「下がれ!」
「はっ」
ガルバディア王は憲兵に鋭い視線を送り制止した。
「しかし、我はこ奴らを客として迎えよと伝えた筈だが?」
「も、申し訳ありません。実は、先程エストロアより特使団が訪問しており、客室が全て埋まってしまっております故、仕方なく。」
「何?エストロアの特使だと?妖異の壁が消えた途端にか…。良い知らせでは無さそうだな…。」
憲兵とガルバディア王が二人を他所に話し込んでいるとヤマトが我慢出来ずにツッコむ。
「お~い。おぬしら儂らをどうするつもりなんだぁ〜?」
「ちょっ!ヤマトさぁ~ん…」
ヤマトから問われるとガルバディア王はヤマト達に向き直った。
「すまんな。やや手違いがあったようだ。」
「手違ぃ〜?」
ヤマトは腕を組んで王を煽った。
「貴様達、無許可魔素師とアーティファクト密造者だそうだな?」
「…知らん。」
「あ、あの!僕はただ鉄の声を聞いて剣を叩いただけなんです…!…親方に黙ってだけども…。でも、こんな事になるなんて!」
ヤマトはそっぽを向いてレインは必死に弁明をした。
「よいよい!別に貴様らを処罰しようという訳ではないのだ。」
「えっ!?でも、明日、王朝裁判があるって…。」
「確かにそれは執り行われる。だが、それは、実質的には形骸的な物だ。気軽に裁かれてくれ。」
「気軽にっ!?」
自分の問いに返ってきた王の答えに仰天してその場にひっくり返るレイン。




