第四話 村雨虎鉄
プスプスと煙をあげるヤマトは感心しながら剣を天に掲げまじまじと見つめた。
「いやぁ。まさか儂の一閃に耐える強度とはなかなかに良い剣よ。しかも、声持ちとはな。」
「あ、あのう。その剣、実は…僕の試作品なんです…。」
レインは少しモジモジしながら剣を指差して話す。
「なんと!?そうであったか!なかなかの腕前ではないか!」
「馬鹿者!!何度言ったら分かるんだ!レイン!お前は鉄の声を聞きすぎるなと何度も言っただろう!!うちの工房は殺人道具を作る店じゃあねぇんだぞっ!!」
ヤマトが褒めようとした途端、鬼の形相をしたガンツが割って入ってきた。
「ご、ごめんなさい。でも…僕。」
「でもも、クソもねぇ!鉄の声を聞いて作った剣は覇道に堕ちる!もう二度とこんな物作るんじゃないぞ!」
「…はい。」
「おっと、すまん。訳ありか…。」
ヤマトが修羅場をそっと静かに離れようとした瞬間。
「きゅうう!」
ヤマトの懐から苦しそうに子狸のタマが飛び出す。
「うぉっと、あっ、しまった!」
ぼとっ!
タマが出てくると同時に布に巻かれた何かが落ち、ヤマトは慌てた。
「あ、あれは…?」
ヤマトが落とした布から一筋の輝きを見たレイン。
きぃいーーん!
激しい金属音が頭の奥に響くーー。
「うっ、痛っ!」
『我はかつて覇道を砕きしもの。古の血を引く者よ、蒼き玉鋼を探し、我を打ち直すのだ。覇道は間もなく再び訪れる。』
「な、なに?蒼き玉鋼?覇道?」
「!?…レイン。お主、このナマクラの声が聴こえるのか!?」
「な、なんだ?どうしたんだ!?レイン!」
突然その場に崩れ落ちたレインに驚くガンツと、違う意味で驚いているヤマト。
「お主、この刀、村雨虎鉄の声が聴こえるのか?」
レインの肩に手をかけて再び問いかける。
「う、うん。なにか、語りかけるような…。」
「村雨だって…?」
ガンツはさっき迄の鬼の形相とはうって変わって、俯きながら考え込むように唸った。
「…うーむ。まさかの…?」




