第三話 業火一閃
作業員は皆無事にその場から散り散りに逃げおおせたが、ヤマト、レイン、ガンツの三人は工房に取り残されていた。
妖異は工房にあるものを次々と薙ぎ倒しレインたちに向かって来る。
「裏口から出るぞ!」
ガンツが二人を誘導し、なんとかその場は離れる事ができた。
そして、三人は並走して全速力で逃げたーーー
「なぁ!なんか、あいつこっちばっかり追ってきてねぇか!?」
「た、確かに!曲がり角をあちこち曲がってるのに何故か他の人には目もくれず僕たちだけについてきてる!」
ガンツの問いかけに必死に走りながら答えるレイン。
「あー、すまん。アイツ、この街に来る前に儂が少し痛めつけて逃がしてしまった奴だ。」
飄々と駆けるヤマトは顎を擦りながらボソッと呟いた。
「なんじゃいっ!!だったらお前から離れればいいだけじゃないかっ!!」
「そうですねっ!さっさと離れましょう!」
全てを理解したガンツとレインはヤマトが進む方向から逸れて走り始めた。
そして…暫く走り続ける。
「なんか…、こっちついてきてね?」
ガンツが違和感を覚える。
「って、うわぁっ!!ヤマトさん!?なんでついて来るんですかぁ!?」
レインが振り返ると隣を涼しい顔で並走していた。
「まぁ、落ち着け。儂はこの町に詳しくない故、案内して欲しいのだ。」
「こんな時に案内って、ドコにっ!?」
レインは苦しそうに答える。
「なに、人が居ない開けたところだ。」
「えっ?そこに行けばなんとかなるのっ!?」
「もちろん。あの妖異を始末してくれよう。」
「いや、そこに着いたらもうついて来んでくれ!!」
三人は息も絶えだえに掛け合う。
「と、とにかく!この先に今は使われてない教会があったはずっ!」
レインが指差す方向に徐々に古く寂れた教会が見えてくる。
「ふむ。」
ヤマトは場所を確認するとおもむろに剣を手にした。
「工房を出る時に少し得物を拝借したのだが、壊してしまっても構わんか?」
「な、いつの間に。くれてやるからついてくるなよ!?」
「あ、その剣は僕の…」
レインの言葉を聞く前にヤマトは急停止し、翻って追ってくる妖異を前にした。
「ふぅ。この種の剣を扱うのは始めてだが…。儂の刃は暴れるぞ?遠くに離れておれ!」
そう言うと、ヤマトは腰を深く落ち着け、剣を腰に回し左手でその鞘を押さえた。
次の瞬間。
刃を一気に引き抜いたと思ったら鞘から焔が吹き出し業火の一閃が妖異を貫いた。
「ぎっ?ぎぇえぇーー!?」
叫びをあげる妖異。
「ヤマトさん!すっ、凄い!」
バタンッ!
妖異は何が起きたのかも分からずに二つに裂け、業火に焼かれながら倒れた。
「熱っ、あっつ!この鉄は焔持ちか!」
ヤマトは燃える自分の髪の毛をバンバンとはたいて火を消した。
「お前、魔素使いじゃったんか?」
「魔素使い?なんだそれは?儂はただ鉄の声に耳を傾けただけだ…。」
「…」
ガンツは腕を組んでヤマトをじっと見つめていた。




