第十話 裁判の行方
証言台に不満そうにもたれ掛かるヤマトと不安そうにうなだれるレイン。そしてレインの頭にちょこんと座るタマ。
証言台を中心にした円卓にいる複数の裁判官の内の一人が口を開く。
「まず、被告人ヤマトに尋ねる。貴様は魔素術が使えるな?」
「あぁ?魔素術だぁ?なんだぁそりゃ?」
ヤマトは問いかけた裁判官に首を傾げて問い返した。
「あくまでもしらを切るか…。貴様が先刻の騒ぎで妖異を炎の魔素術を使って一撃で仕留めたと証言を得ている!」
裁判官の言葉を聞いた傍聴者たちはざわめいた。
「妖異を一撃で仕留めた!?王直魔素師でも数人程度しかその実力を持たないと聞くぞっ!?」
カンカンカンっ!
「静かにっ!」
証言台真正面に居る裁判長が傍聴者達を諌めた。
「ふん!まぁな!あんな、ザコ妖異。儂にかかればイチコロよ!何より、レインが打った剣があったからのぉ。」
ヤマトは周囲のざわめきが自分に向けられた物と分かると鼻高に胸を叩いて得意げにした。
「ちょっ、ヤマトさん!」
「ふむ。事実は認めると。」
「ん?」
焦ってヤマトの裾を引っ張るレインであったがヤマトは一切気にしていない素振り。そして、更に周囲はざわめいた。
「続いて問う。炎の魔素を帯びる魔剣。このアーティファクトを作ったのは、被告人レイン。貴様で間違い無いか?」
裁判官の鋭い視線がレインに集まる。
「魔剣だなんて、僕はただ、あの、、鉄の声を聞いて、その通りに剣を、叩いただけで…。あの、その…。えっと。」
「この剣を作ったのは貴様で間違い無いのだな!?」
「ひっ、ひゃい!!」
裁判官とレインのやりとりに傍聴者達は沸き立った。
「アーティファクトを造る者だって!?」
「数百年の間見つかって居ない才能じゃないか!!」
カンカンカンっ!
再び裁判長が槌を鳴らし、周囲を黙らせる。
「静かにっ!」
シーン…。
周囲が静かになると裁判長はふぅとため息をついてから、話し出す。
「やれやれ、正直に申すと、王直魔素師に匹敵する無免魔素師の出現に加えて、国宝であるアーティファクトを国に無断で造る者の出現…。我々にとっても非常に頭の痛い。判決に難しい出来事である。だが、帝国の法律に基づく所に拠ると、それらの法に反する者の辿る末路は…」
「ま…末路は…?」
裁判長の言葉にゴクリと息を飲むレイン。
「死罪である。が…」
「し!シっ!死ぃっ!っつ、ぅ。」
裁判長の言葉を聞いて泡を吹いて気絶するレイン。
「あっ!おい!レイン!レーイーンっ!お~い!」
卒倒するレインを慌てて支えるヤマトと、それら一連の出来事をニヤニヤと傍聴席で見つめる一人の少女の姿があった。




