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私だけがストーリーを知らない乙女ゲームの世界に転生しちゃいました。ヒロインなんて荷が重すぎます!  作者: 櫻野くるみ


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18話 生徒会への勧誘

昨日、投稿に失敗していました……。すみません。

ユリウスとルードは、それぞれ飲み物を選びに席を立った。

王太子という立場でもセルフサービスなんだなと感心していたら、ジェイルもコーヒーを追加することにしたらしい。

「アリスもいるか? 何にする?」と訊いてくれたので、つい「じゃあクリームソーダで」と言ったらまた笑われてしまった。

もちろん今度こそ自分で払うつもりである。

それにしても、ジェイルは良く笑う人だ。


テラス席に一人残されると、四方八方からたくさんの視線が注がれていることを嫌でも感じてしまう。

しかしそんな中、綺麗に刈られた低木の隙間からこちらの様子を窺っている悪役令嬢トリオを発見した。

自分たちの婚約者が他の女と一緒にいるというのに、なぜそんなに嬉しそうな顔をしているのだろうか。


『そんなところに居ないで、あなたたちもこっちに来て一緒にお茶をしましょうよ』


ジェスチャーで一生懸命伝えたのに、三人は思いっきり首をブンブンと振って拒絶してくる。

しかも、オフィーリアがスケッチボードのような紙に何かを書いて、こちらに見せ始めた。


ナニナニ?

『グッジョブですわ! 健闘を祈る!!』ですと?


うっさいわ!

あんたらの婚約者だっちゅーの。

しかもあんたはカンペを出すAD か!!


またもや思い通りに行かず、心の中で強めに突っ込んでいると、まずユリウスたちが戻ってきた。

ユリウスはココア、ルードはハーブティーにしたようだ。

さすが王族も通う学園、ここのカフェテリアはなかなかメニューが充実している。


「待たせたな、アリス」


ジェイルも戻ってきて、アリスの前にクリームソーダを置いてくれた。

あんなに食べた後なのに、綺麗なエメラルドグリーンとバニラアイスに心が踊るのを止められない。


「ありがとうございます!」


ご機嫌な返事をするアリスを、ユリウスはニコニコ顔で、ルードは眉を寄せて困惑した表情で見ている。


「まだ入る余裕があるのか……」

「見ているこちらまで楽しくなるな」

「だろ? オレは餌付けしてる気分になってきたよ」


色々言われているけれど、はっきり言ってカロリーでも取らなきゃやっていられない気分なんだからしょうがないじゃない。

できることなら私は空気になってひたすらクリームソーダを堪能するので、あとは三人で勝手にやってくれないかな……。


しかし、そんなことが許されるはずもなく――


「そういえば、ルードはどこでアリスと知り合ったんだい?」


ユリウスが不思議そうにルードに尋ね、四人のお茶会が始まってしまった。

実際にお茶を飲んでいるのはルードだけだが。


「昼休みに少々ありまして。殿下の婚約者殿と一緒だったので、余計な真似を」

「アリス、またオフィーリアに何か言われたのかい?」


ユリウスが今度は心配そうにアリスを見る。


まずい、ここはオフィーリアと取り巻き令嬢たちをフォローして、三組のカップルがうまくいくように私が頑張らなければ!


「すべてルード様の誤解なんです。オフィーリア様も、ジェイル様とルード様の婚約者さんたちも、正直でユニークないい方なので」


微妙なフォローになってしまったが、間違ったことは言っていない。


「私の婚約者だと? あの三人の内の一人は私の婚約者だったのか?」


ルードが驚いたように目を見開いている。


「はい。そう仰っていましたよ。皆様の婚約者さん同士はとても仲がいいみたいで」


ちらっと低木の方へ視線をやると、自分たちが話題にのぼった事が余程嬉しかったのか、トリオが目をウルウルさせてこちらを見ている。


「それは悪かった。完全に私の監督不行き届きだ。交流を持つことを怠ったが故の失態だ」


なんと、ルードに謝られてしまった。

意外にも、自分の非はすぐに認めるタイプのようだ。


「いえいえ、ですから私たちはお喋りをしていただけなので、むしろ楽しかったですよ。それより、ルード様も婚約者さんと親しくないのですか? さっきジェイル様からは少し伺ったのですけれど」

「ああ。もう数年前だが、父が書面のみで進めたことだ。貴族の結婚とは大体がそういうものだろう」


ルードの言葉に、ユリウスとジェイルも苦笑している。

三人ともが割り切って、決められた婚約者との愛情のない結婚を受け入れているようだ。


って!

何なの、この御膳立て万端な状態は!!

政略結婚だと諦め、本物の恋を知らない攻略対象者が、ヒロインとの間に真実の愛を見つける――っていう展開を期待しているとしか思えないんだけど。

本当にやめてくれないかな、私は真実の愛とか求めてないし。


「ふふっ、面白いことに気付いたよ。ルードはアリスとならよく喋るんだね」

「あー、オレも思った。いつも令嬢とは距離を置いてるもんな」


ん?

何か嬉しくないことが聞こえたぞ?


「そうですね、アリス嬢は普通の令嬢とは毛色が違うので」

「あー、私みたいなピンク色の髪は珍しいですもんね」


アリスはつい口を挟んでしまった。


「そういう意味ではない」

「ブハッ」

「フフッ」


冗談のつもりだったが、ルードに突っ込まれ、ジェイルとユリウスも笑っている。

思いがけず和やかな雰囲気になってしまった。


「思ったのだけど、アリスに生徒会に入ってもらうのはどうだろう? アリスならルードともうまくやってくれそうだ」

「そうだな、オレも賛成だ。令嬢は大抵ルードの無愛想に怯むからな。アリスなら適任だ」


え? 生徒会?

私が?


戸惑うアリスに、ジェイルが説明してくれた。


「オレもメンバーなんだが、今人数が足りなくて困ってるんだ。ユリウスも女性の意見を取り入れたいと言ってたところだし」


ジェイルも生徒会のメンバーだったらしい。


「アリスが入ってくれたら僕も嬉しい」

「確かに君なら体力と根性だけはありそうだからな」


突然三人による生徒会への勧誘が始まり、断りにくい空気を感じてしまう。


これは絶対頷いてはいけないやつだよね。

でも、ストーリーを知らない攻略対象者の側にいた方が、かえって好きに振る舞えてシナリオを変えられる可能性があるんじゃない?

私自身をよく知れば、好意を寄せられることもないだろうし!


自虐的だが、ゲームのヒロインとは性格が違うことをアピールすれば、恋は生まれないと考えたのである。


「わかりました。よろしくお願いします!」


アリスは生徒会に飛び込むことにした。


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