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無料で報復?  作者: ねこまんまときみどりのことり


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狙われるアン王女 その2

 ガルシア・バロンは姿を変化できる他に、呪術も操れる魔女。


 魔女になる条件は純粋な魔力。

 彼女は5代前の国王と妾の子。

 妾は出産で命を落としていた。


 5代前の王妃と側妃の子供には、さんざん虐められていた。


「母のいない妾の子が! 邪魔なんだよ」

「この汚れた血め。身分の低い女の子供など、妹と認めぬわ」


「お、お母様を馬鹿にするな! みんないなくなっちゃえ!」



 悔しさと切なさから魔力が目覚め、無意識のうちに留学中の第二王子以外の子供達を、狼に変化して噛み殺していた。恐らく母親にも魔力の素養があったのだろう。



 王妃と側妃は怒りを隠すことなく、死罪にするよう国王に求めた。


 だが国王はそれを却下する。



「この力は素晴らしいものだ。国の為に役立てることで償わせよう」


 そう言って、他国に送り込むことになった。



 国王は愛する側妃の生んだ、第二王子が無事であれば問題ないと考えていたからだ。

 

 でもガルシアは自分で力を解放出来ない。

 国王はそれを知りながら、彼女がどう行動するのか見届けたくなった。


 愛する第二王子を王太子に就けてくれた礼として。

 また、単純に興味本意でもあった。


 だから彼女を送り出す場所は、金と武力で揉み消せるところを選んだ。問題が起きても構わないように。


(どんな楽しい喜劇が起きるのか、今から楽しみだ。なあ、可愛い娘よ)


 愛情の欠片も貰えぬ、愛欲の処理で抱いた妾が生んだ子供(ガルシア)。本来は妾に子など出来ない筈だった。

 でも学のない妾は避妊薬を飲まずに懐妊した。売られるように後宮に来た彼女は、美しい国王を愛してしまい子を望んでしまう。

 もし子が出来れば後宮から逃げ去り、子供と暮らすつもりで。


 警備の厳重な場所から逃げられる筈はないのに、夢を見てしまったのだ。




 その後。

 黒髪と赤い瞳を持つ妖艶な肢体を持つガルシアは、ある小国の側妃として嫁ぎ、国王は彼女に溺れ国政を疎かにし出した。



 彼女は「忌々しい毒虫が!」と恨みを買って、その国の王妃に毒殺されかけてしまう。



 致死量の毒は彼女の喉を焼き、食道を爛れさせ、臓器に燃えるような痛みと熱をもたらした。


「ぁぁああああああああ、ぐる゛、じぐ、ああぁぁぁぁ、がはっ、ああぁぁぁぁぁ」



 苦しさで喉を掻きむしりのた打ちまわる。次第に薄れていく意識の中で、懺悔染みた考えが浮かぶ。


(ああ。やっと息苦しい自国から逃げられたのに、安息の地など私にはないのね。まあ私も、異母兄弟達を殺めたから、その報いかしらね)




 死を受け入れた彼女の体は発光し、毒素を解毒していた。これも魔力の為せる技だった。


 その後何度も様々な毒を盛られたが、彼女は生き延びた。王妃も外部にこの事態が漏れれば大事になることなると焦り、最早あからさまでもあった。


 ガルシアもそんなに憎まれるならと諦めて毒を拒否せず食み、その度に死の苦しみを味わった。



 戻れる場所等ないのなら、もう終わりにしたいと願いながら。


 

 結果として、彼女は死ななかった。

 そして彼女の血液と体液は猛毒となった。




(どうして死なないのよ、あの女! もしかして食べてないの? もう、何て忌々しいのかしら!)

 憤る王妃はお付きの者のいる日中、素知らぬ顔をしたガルシアと廊下で出会った。


 扇で顔を隠し「あらっ、良くなったのね」と、王妃が話しかける。


 歪んだ顔を何とか抑える王妃に挨拶をするガルシアは、「心配をおかけしましたわ。王妃様」と頭を下げた後、嬉しそうに彼女の手を握りしめた。


「何をするの。離しなさい」


「失礼しました。嬉しくて」


 

 そんなやり取りを交わした2時間後、王妃は死んだ。

 食事に毒は含まれておらず、毒の経路は不明だった。



 王妃の前に側妃も毒に倒れていたことで、スパイの仕業ではと噂が立ち、王宮内は戦々恐々へと陥った。


 結局、他国から来たガルシアは警戒が解かれず、ジャスミラン国に戻された。

 毒物の入手はおろか、侍女すらいないガルシアの犯行は不可能だと思われたが、王妃が毒を盛っても回復したことを知る者からは恐怖の対象となったのだ。


 混乱を抑える為と懇願され、多くの慰謝料と共に父王へ報告する彼女(ガルシア)は疲れていた。


「ほお、手汗だけで死んだか。素晴らしいな、我が王女は」

「お褒め頂き嬉しく思いますが、離縁されてしまいました」


「良いのだ、そんなことは。お前の体液を研究しよう。有効な兵器になりうる」

「承知致しました。如何様にもお使い下さいませ」



 ほくそ笑む国王とは対照的に、王妃は恐怖に震えた。次は自分の()ではないかと思い。



 そんな彼女(ガルシア)は、王族の住む場所から遠ざけられ、監視が付く生活となった。

 その後に寿命まで延びると知った時は、なんて皮肉だろうと思ってしまう。


 一度は死を受け入れて、懺悔もしたと言うのに。これからも彼女は、罪を重ねていかねばならないのだ。



 百歳を超える頃には毒を操る術を身に付け、自分の思った時以外は毒を内部に仕舞い込むことに成功した。

 姿を変える能力を得たのもこの頃だ。


 愛されなかった我が身の真実の愛を求め、歴代の国王に最悪の毒を提供しながら生きる彼女は、医師の資格を得て動きまわる。

 今代の国王より彼女は、ガルシア・バロンと言う、実在する貴族の姓を名乗る許可を得ていた。



 彼女の毒は、単純な神聖力では消えない。


 だからレアナが呼ばれたのだ。

 ガルシアの毒を長年受けて来た、彼女が。








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