資源の受け入れ先
軍事訓練で行う事は二つ。
投石器と槍だった。
「身につけるのはコレだけですか?」
「あぁ投石と槍は地味だが、練度の低い者でも十分な戦力になる。
だからうちでは、投石と槍が主力だ」
それから槍を1時間。
投石を1時間練習した。
「毎日それぞれ10分でもいいから練習しておけ。それでも戦力になる」
「はい」
「それでシェーヴルに話って、また臭いか」
「よし俺も聞こう」
「今回は尿の臭いです。なんとかなりませんか?」
「尿か……、尿は拾うことができないからな」
シェーヴルは考え込む。
「尿をする場所を決めたらいいんじゃないか」
ヒンザは前のめりになる。
「それはいいだろうな。しかしそこが臭くなる」
シェーヴルは頭をかく。
「じゃあ街の風下の場所に、尿をする場所を集中させれば?」
私は地面に絵を描く。
「それは悪くはないが……、風下には王都がある。
臭いが強烈だと、悟られるかもしれない」
ヒンザは眉をしかめる。
「今は分散されているだけマシって事ですか」
シェーヴルは腕を組んだ。
「あの……尿を肥料に使えないのですかね?」
「どうだろう。ピコドンに聞いてみようか?」
「はい」
「じゃあ。俺はここに残る。二人で行ってこい」
「わかりました。では」
私たちは、
ピコドンさんに会いに行く。
「ピコドンさん」
「あぁシェーヴルさんと、ヤジーさん。聞きましたよ。燃料上手くいったみたいで」
「お陰様で上手くいきました」
「それは良かった。それで今度は?」
「尿は肥料にできないかという事です」
「尿はしばらく置いておくと、肥料にできますね」
「臭いは抑えることができますか?」
「定期的に使えば、総量が減るので、マシにはなるとは思いますが。それに穴を掘って、そこに貯める方式だと、地下水が汚染されるのでは?」
「あぁ確かにありえるな。もしかすると街の井戸自体汚染されているかもしれない」
シェーヴルさんは言った。
「そんな。それヤバいじゃないですか」
「そうだね。ピコドンさん何か方法はないですか?」
「とは言ってもね……」
ピコドンは辺りを見渡す。
するとちょうど馬が藁の辺りで小便をしていた。
「あぁ、あれなんかはどうですか?」
ピコドンは指さす。
「藁に小便?」
「えぇ。尿を貯める場所に藁や落ち葉を敷くんですよ」
「たしかに、それだと地下には吸い込みにくい」
シェーヴルは頷く。
「臭いも少なくなるはずですよ」
ピコドンは藁に顔を近づける。
私も顔を近づける。
臭いはあるが、たしかにマシかもしれない。
「その藁や落ち葉はどうするのですか?」
「しばらく積んでおいておけば、堆肥になるでしょう」
「それは寄生虫とかの問題は?」
「糞と比べると安全寄りです」
「問題はその堆肥を使うところがあるかですよね」
私達は、
ピコドンと別れ、街に戻った。
「受け入れ先か?そんなのあるんですかね」
私は呟く。
「あたってみるしかないだろうな。しかしどんな肥料かわからなくてはな。一度実験的に作ってみるのはどうだ?」
「そうですね」
私は頷いた。
「お花。お花はいりませんか?お花」
一人の少女が花を売っている。
「ねぇお兄さん。お花買ってくれませんか?」
「あぁ一つ貰おう」
私はお金を渡す。
この花はどこで栽培しているのだろうか。
ふと疑問に思う。
「ねぇ君。この花はどこで栽培しているの?」
「これは孤児院で栽培しています」
「シェーヴルさん」
「この街にはいくつか孤児院がある。寄付金とかもあるが、こうやって花などを栽培して売りもしている」
「孤児院に引き取ってもらう事はできませんかね」
「聞いてみよう」
「お花ありがとうね」
「うん!お兄さんもありがとう」
私達は少女と別れ、
孤児院に向かった。
「あの話を伺っても宜しいでしょうか?」
私は年配の女性に声をかける。
「こちらは孤児院ですが、何か?」
「私は行政官のヤジーと申します」
「あぁ、あの糞の行政官さん」
「はい」
「うちはもうすでに燃料として使ってますし、ここら一帯も回収して回ってますよ」
「あっそうなのですか。ありがとうございます」
「いえいえ。薪代は高いですからね。お話はそれだけ?」
「いえ。孤児院では、花の栽培を行ってると聞きました」
「はい。行ってますよ。お花をお買い上げ頂ける?」
「いえ。肥料はどうされておられるのかと?」
「肥料は買ってますよ。一部堆肥とかも作ってますが、そもそも捨てる食料がなく」
「それは良かった」
「良くないですよ。他人事だと思って」
「あぁ申し訳ございません。実は堆肥の引き受け先を探しておりまして」
「堆肥の?それは寄附頂けるのですか?」
「はい。そういう事になります」
「それは助かりますが、どうせ裏があるのでしょう。話を詳しくお聞かせください」
どうせ裏があるか……、
なかなか手厳しいな。
しかし、
尿のついた藁を寄付だなんて。
勢いで来てしまったが、
どう説明する。
かいつまんで話をすると、
余計な誤解を与えかねない。
初めから説明しよう。
「かいつまんで話をすると、誤解を与えかねないので、はじめからお話します」
「はい。だいじょうぶです。
子供達にも人の話は最後まで聞きなさいと言ってますから」
「あの院長さんで良いですよね」
「はい。この孤児院の院長です」
「では院長先生。私はこの街の糞問題を、皆様の協力で、ずいぶんマシにしました」
「そうですね。糞の行政官さんのお陰で、ずいぶんマシになりました」
「それで、気がついたのですが、尿の臭いがヒドイと」
「たしかに、糞の臭いがなくなると、今度は尿の臭いが目立ち始めました。きっと隠れていたのでしょうね」
「そう思います。それで風下のほうにまとめる案もでましたが、それだと王都に気が付かれるかもしれない」
「それは危険ですね」
「それで私達は、農家の方へ相談に行きました。堆肥として使えないかと」
「なるほど。それで堆肥ですね。おっと、話は最後まで聞かないとですね」
院長は笑った。




