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死者の声を聞く令嬢は婚約破棄されましたが、最後の竜葬師として無口な辺境伯に望まれました  作者: 磯辺


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18/44

枯れた川

 旅の三日目。


 街道沿いから、竜骨灯が消えた。


 王都を出た直後は、日が暮れても青白い灯りが一定の間隔で道を照らしていた。


 けれど、昨日から数が減り始め。


 今朝、最後の一本を通り過ぎてからは、灰色の石柱さえ見えなくなった。


「この先には設置されていないのですか」


 窓の外を見ながら尋ねると、向かいのアンナが旅程表を確認した。


「地図には、街道灯があると記載されています」


「ですが、ありません」


「昔の地図なのかもしれませんね」


 街道灯が撤去されたのか。


 壊れたまま修理されていないのか。


 最初から設置されなかったのか。


 馬車の中からでは分からない。


 ただ、道の状態も王都周辺とは明らかに違っていた。


 石畳はところどころ剥がれ。


 車輪が深い溝へ落ちるたび、馬車が大きく揺れる。


 父が用意した緩衝術式(かんしょうじゅつしき)がなければ、座っているだけでも体を痛めていただろう。


「顔色が悪い」


 隣の馬車から移ってきたオスカーが言った。


「揺れのせいです」


「吐き気は」


「ありません」


「頭痛」


「ありません」


「耳鳴り」


「能力を使っていません」


「質問に答えてください」


「ありません」


 オスカーは私の瞳と手袋に覆われた指先を確認した。


「食欲は?」


「朝食は取りました」


「量は」


「十分に」


 アンナが無言で首を横に振った。


「アンナ」


「パンを半分と、果物を三切れです」


「十分ではありませんね」


 オスカーが言う。


「移動中なので、普段より少ないだけです」


「移動中だからこそ食べるんです。昼は一人前」


「食べられる範囲で」


「一人前」


 返事をしないでいると、アンナとオスカーが同時に私を見た。


「……努力します」


「承諾を」


 アルフォンス様と同じ言い方だった。


「承諾します」


 そう答えた直後、馬車が急に速度を落とした。


 前方から馬のいななきが聞こえる。


「到着でしょうか」


「グレイヴ領境までは、まだ少しあるはずです」


 アンナが窓を開けた。


 冷たい空気とともに、水の匂いではなく乾いた土の匂いが入ってくる。


 護衛の騎士が馬車へ近づいた。


「お嬢様。前方の橋で、グレイヴ辺境伯閣下がお待ちです」


「アルフォンス様が?」


「はい」


 予定では、領都に着いてから合流するはずだった。


 何か問題が起きたのだろうか。


 私は外套を着直し、馬車を降りた。


          ◇


 空には厚い雲が広がっていた。


 雪が降りそうな寒さだったが、地面に白いものはない。


 街道の先に、大きな石橋が架かっている。


 橋の手前で、黒い馬に乗ったアルフォンス様が待っていた。


 彼の後ろには、グレイヴ家の騎士が六名。


 全員が厚い防寒具を身につけている。


「予定より早かったですね」


 私が近づくと、アルフォンス様は馬から降りた。


「街道の状態が悪いと聞いた」


「迎えに来てくださったのですか」


「ああ」


「領都でお待ちいただいても、問題ありませんでした」


「問題があるかどうかを確認するために来た」


 短い返事だった。


 彼の視線が、私の顔から馬車の車輪へ移る。


「体調は」


「問題ありません」


「食事は」


「なぜ、皆さん同じことを尋ねるのですか」


 アルフォンス様がオスカーを見る。


「朝食が少なかったそうです」


「先生」


「患者の状態を共有しているだけです」


「まだ患者ではありません」


「患者になる前に止めるために来ています」


 アルフォンス様は私を見る。


「昼は食べろ」


「承諾しています」


「そうか」


 少しだけ、彼の肩から力が抜けたように見えた。


「何か起きたのですか」


 私が尋ねると、アルフォンス様は石橋の先へ顔を向けた。


「この先が、グレイヴ領だ」


 橋を渡れば、辺境伯領。


 私は石造りの欄干へ視線を移した。


 古い橋だった。


 表面は風雨に削られているが、幅は広い。


 大きな荷馬車が二台並んでも通れそうだった。


 かつて、多くの人と物が行き交っていたのだろう。


「橋を歩いて渡る」


 アルフォンス様が言った。


「なぜですか」


「見てほしいものがある」


 私はアンナとオスカーを見る。


「馬車は後から進ませます」


 アンナが答えた。


「足元にお気をつけください」


「分かりました」


 私はアルフォンス様と並び、橋へ向かった。


 風が強い。


 外套の裾が後ろへ引かれる。


 橋の中央まで来たところで、彼が足を止めた。


「下を見てくれ」


 欄干へ近づく。


 橋の下には、広い川が流れているはずだった。


 けれど。


 水はなかった。


 茶色い川底が、両岸の間に広がっている。


 中央には、細い水の筋が一つだけ残っていた。


 川と呼ぶより、小さな溝に近い。


 ところどころに水溜まりがあり、その周囲だけが黒く湿っている。


「これが、川ですか」


「ああ」


「冬だから水量が減っているのではなく?」


「春も、ほとんど変わらない」


 川底には、古い舟が一艘倒れていた。


 底板が割れ、半分ほど土へ埋まっている。


 水面へ降りるために作られた石段は、途中から地面へ続いていた。


「以前は、どの程度の深さが?」


「この橋の中央付近で、五メートルほど」


 今なら、子どもでも歩いて渡れそうだった。


「いつから、この状態に?」


「少しずつ水量が減り始めたのは、十五年ほど前だ」


「ノクスが亡くなる前ですね」


「ああ」


「急に枯れたのですか」


「六年前から、減り方が速くなった」


 ミラとルゥが失踪し。


 ノクスが死んだ年。


「竜が減ったことが原因だと?」


「一つの原因だと考えている」


 アルフォンス様は断定しなかった。


「この川は、北の黒竜の谷を水源としている。かつては、竜脈から流れる魔力が地下水を押し上げていた」


「竜がいなくなり、竜脈が弱った」


「ああ」


「他の原因は?」


「上流の岩盤崩落。昔の採掘場。王都へ送る魔石のために作られた水路」


 いくつもの原因が重なっている。


「調査は?」


「行った」


「結果は」


「分からない」


 アルフォンス様は川底を見つめた。


「掘っても水は戻らなかった。崩れた岩盤を除いても、別の場所で流れが途切れた」


「水路は閉じたのですか」


「閉じようとした」


「できなかった?」


「王都の許可が必要だった」


 魔石加工や輸送に使われる水路は、王家や魔力資源省の管理下にあるのだろう。


「許可は下りなかったのですか」


「ああ」


「理由は?」


「王都への魔力供給が不安定になるからだ」


 王都の灯りを守るため。


 辺境の川は、戻されなかった。


「反対は?」


「した」


「どのように?」


「書面を出した。王宮へ出向いた。水量と収穫量の記録も提出した」


「返答は」


「代替水源を探すように、と」


 乾いた川を見下ろす。


 王都では、蛇口をひねれば温かい水が出る。


 治療院では清潔な水が使われ。


 噴水は冬でも流れていた。


 その水が、直接この川から奪われたものとは限らない。


 それでも、王都の生活を優先するために、ここで暮らす人々の要望が退けられたことは事実だった。


「井戸を掘った」


 アルフォンス様が続ける。


「貯水池も作った。乾燥に強い作物へ切り替えるよう、農家へ補助を出した」


「効果は?」


「足りなかった」


「まったくなかったのですか」


「村を離れた者の数を見れば、同じだ」


 橋の向こう。


 グレイヴ領側の街道沿いには、建物が並んでいる。


 けれど、多くの窓が板で塞がれていた。


 煙突から煙が上がっている家は、数えるほどしかない。


「この辺りには、以前どれほどの方が?」


「三つの村を合わせて、二千人ほど」


「今は」


「六百人に満たない」


 千人以上が土地を離れた。


 昨日出会ったクララたちのように。


「皆、王都へ?」


「王都。鉱山都市。南部の農地」


「移住を支援したのですか」


「ああ」


「残ることを選んだ方には?」


「水と食料を配っている」


「それでも、暮らしは戻らない」


「ああ」


 アルフォンス様の返事が、少しずつ低くなる。


 右手は外套の脇へ下ろされている。


 手袋に覆われていても、わずかに震えているのが分かった。


「俺が領主になった時、この川にはまだ舟があった」


 彼は橋の下に埋もれた舟を見る。


「ノクスと上空を飛べば、畑が川沿いに続いていた」


「はい」


「春には、雪解け水が橋脚の半分まで上がった」


 今は橋脚の根元が、すべて露出している。


「俺の代で枯れた」


 その言葉には、記録上の事実だけではないものが含まれていた。


「アルフォンス様が、川を枯らしたわけではありません」


 そう言いかけて、止める。


 彼は自分が直接川を枯らしたと言っているわけではない。


 領主として守れなかったと考えているのだろう。


「何を言おうとした」


 アルフォンス様が尋ねる。


「あなたの責任ではない、と」


「言わないのか」


「それを判断できるほど、私は何も知りません」


 彼の目が、私へ向く。


「アルフォンス様が何を行い、何を行わなかったのか。何を知り、何を知らなかったのか」


 私は川底を見る。


「まだ、今お聞きしたことしか分かりません」


「結果は見えている」


「はい」


 川は枯れた。


 人は去った。


 その結果は否定できない。


「ですが、結果だけで責任のすべてを決めることもできません」


「慰めるつもりはない?」


「ありません」


 はっきり答えた。


「あなたは悪くないと申し上げれば、少し楽になるかもしれません」


「ならない」


「はい」


 アルフォンス様は、自分を許すために私を呼んだのではない。


 ノクスの声から、都合のよい答えを求めないと約束した。


 この土地についても同じだろう。


「それに、簡単に慰めることは、この川を見ずに済ませることになります」


 私は欄干へ手を置いた。


 厚い手袋越しに、冷えた石の感触が伝わる。


 声は聞こえない。


 この橋が死者の遺品だったとしても、素手ではない。


「枯れた川は、ここにあります」


「ああ」


「離れた方々もいます」


「ああ」


「あなたが努力したことと、守れなかったものがあることは、同時に存在します」


 どちらか一つだけを選ぶ必要はない。


 努力したから責任がないわけではない。


 守れなかったから、すべてが無意味だったわけでもない。


「まず、現実を見せてください」


 私は言った。


「慰めるか、責めるかを決める前に」


「見て、どうする」


「記録します」


「それだけか」


「話を聞きます」


 川を使っていた人。


 土地を離れた人。


 残った人。


 水路を作った人。


 閉じることを拒んだ人。


「死者の声ではなく?」


「今は、生きている方の話を」


 能力を使えば、何か聞こえる遺品があるかもしれない。


 川で亡くなった者の舟。


 農具。


 枯れた畑に残された物。


 けれど、今すぐ触れる必要はない。


「死者の声を聞く前に、できることがあります」


 アルフォンス様は川底を見たまま黙っていた。


「怒らないのか」


 やがて、彼が尋ねた。


「何に対してですか」


「王都に」


 私は昨日の街道を思い出す。


 竜骨灯に照らされ、乾いた畑の間を進んだ。


 クララの娘ニナは、王都の灯りと治療院によって救われた。


「怒りはあります」


「あるのか」


「王都で暮らしていた自分に対しても」


 灯りを使い。


 暖房を使い。


 何も知らなかった。


「ですが、怒りだけで水は戻りません」


「王都を擁護するのか」


「いいえ」


 すぐに答える。


「ニナさんが助かった命を、間違いだったとは言いたくないのです」


「ニナ?」


「昨日、街道で出会った子どもです」


 私はクララ母子について説明した。


 故郷の井戸が枯れ、畑を手放したこと。


 夫が井戸を掘る途中で亡くなったこと。


 娘が王都の治療院で救われたこと。


 竜骨灯へ感謝していたこと。


「同じ人が、辺境の衰退によって故郷を失い、王都の技術によって娘を救われています」


「だから、どちらも責められないと?」


「責める相手を間違えたくありません」


 クララが悪いわけではない。


 ニナが生き延びたことも罪ではない。


 辺境に残った人々が、王都を恨むことも否定できない。


「王都の市民全員が、この川を枯らすと決めたわけではありません」


「だが、利益を受けている」


「はい」


「知らなかったと言えば、責任はないのか」


「分かりません」


 それは、これから何度も向き合う問いになるのだろう。


「知らなかったことと、無関係であることは同じではないと思います」


「では、君も責任がある?」


 私は青白い竜骨灯の下で暮らしてきた。


「あると思います」


 口にすると、胸が少し重くなった。


「どの程度かは、まだ分かりません」


「君が骨を運んだわけではない」


「ですが、何から作られているかを知ろうともしませんでした」


「知らされていなかった」


「尋ねてもいません」


 知らなかった。


 教えられなかった。


 それだけで終わらせてよいとは思えなかった。


「だから、見ます」


 私は枯れた川へ視線を戻した。


「自分が何の上で暮らしてきたのかを」


 風が川底の砂を巻き上げる。


 乾いた音が、橋脚へ当たった。


「君をここへ連れてきたのは、正しかったのだろうか」


 アルフォンス様が呟く。


「何がですか」


「王都を出る前の君は、この川を知らなかった」


「はい」


「知らなければ、責任を感じずに済んだ」


「お父様と同じことをおっしゃるのですね」


 彼の顔がわずかに動く。


「父は、知らなければ私を守れると考えていました」


「俺は、君を守るために見せないと言っているわけではない」


「では、なぜ正しくなかったと思うのですか」


「君が背負うものを増やした」


「増やすかどうかは、私が決めます」


「見れば、放っておけないだろう」


「それは私の欠点です」


 自分さえ我慢すればよい。


 私が聞かなければならない。


 何もかも背負おうとする。


「ですから、アルフォンス様にも止めていただくことがあります」


「選択を奪うなと言ったのは君だ」


「意見を言うことまで止めてはいません」


 アルフォンス様は、しばらく私を見た。


「では、今、意見を言う」


「はい」


「この川まで、君が自分の責任にする必要はない」


「承知しました」


「随分と素直だな」


「聞くことと、従うことは別です」


 私が答えると、アルフォンス様の口元が、ごくわずかに動いた。


 笑ったのかもしれない。


 風が強く、すぐには分からなかった。


「ですが」


 私は続ける。


「一人で背負わないようにします」


「ああ」


「アルフォンス様もです」


 彼の表情が戻る。


「この川を、一人で枯らしたように語らないでください」


「領主だ」


「領主一人で、水路を作ったのですか」


「違う」


「許可を拒んだのも?」


「違う」


「竜を減らしたのも?」


 アルフォンス様は答えなかった。


「責任がないとは申しません」


 簡単には許さない。


 簡単には断罪しない。


「ですが、責任を一人で独占することも、正しくないと思います」


「独占?」


「自分だけが悪いと考えれば、他の方が何をしたのかを見なくて済みます」


 言ってから、厳しすぎたと思った。


 けれど、アルフォンス様は怒らなかった。


「そうかもしれない」


 低い声で答える。


「俺が守れなかったと考える方が、分かりやすい」


「はい」


「王都の制度も。過去の領主も。竜騎士団も。村人の選択も」


「すべてを見る必要があります」


「君は、俺を慰めないな」


「ご希望でしたか」


「いや」


 アルフォンス様は川底を見る。


「その方がいい」


 右手はまだ震えている。


 震えが消えたわけではない。


 それでも、彼はその手を隠さなかった。


          ◇


 橋を渡り、グレイヴ領へ入った。


 アルフォンス様は馬ではなく、私たちの馬車へ乗った。


 領内の状況を説明するためだ。


 アンナとオスカーも同席している。


「領都までは、あと二日です」


 アルフォンス様が地図を広げる。


「今夜はレムの宿場で休む」


「レムナ谷と関係が?」


 母が十八年前に黒竜を弔った場所。


「谷への入口にある宿場だ」


「母の記録の原本も、近くに?」


「領都の記録庫へ移してある」


「では、今夜確認することは」


「できない」


「分かっています」


「残念そうだな」


「急がないと約束しました」


「約束を守るのと、残念に思うことは別か」


「はい」


 アルフォンス様が地図の北側を指す。


「明日は、この街道を外れる」


「なぜですか」


「本来の道が崩れている」


「復旧は?」


「雪解けまで難しい」


 迂回路は、かつて牧草地だった場所を通るらしい。


 地図には青い線で川が描かれている。


「この川も、枯れているのですか」


「ああ」


「畑は?」


「半分以上が使われていない」


 窓の外に目を向ける。


 橋を越えてから、景色はさらに乾いていた。


 畑の境界を示す石垣。


 屋根の落ちた農家。


 幹だけになった果樹。


 それでも、人の姿がまったくないわけではない。


 遠くの畑で、二人の男性が土を掘り返している。


 水がない土地でも、何かを育てようとしていた。


「残っている方もいるのですね」


「ああ」


「なぜ、離れないのでしょう」


「離れられない者もいる」


「他には?」


「離れたくない者もいる」


 生まれた土地。


 家族の墓。


 失ったものがある場所。


 生活が苦しくなれば、誰もが簡単に移れるわけではない。


「残ることが正しいとも、離れることが間違いとも言えませんね」


「ああ」


「それでも、選べる状態でなければならないと思います」


「選べる状態?」


「残れば飢える。離れれば故郷を失う。その二つしかないのなら」


 それは選択と呼べるのだろうか。


 アルフォンス様は地図を見つめた。


「俺は、移住の費用を出すことを支援だと思っていた」


「間違いではないと思います」


「だが、残る者への支援は足りなかった」


「まだ判断できません」


「また、それか」


「私は今日、川を一つ見ただけです」


 橋。


 川底。


 六百人に減った集落。


 それだけで領地全体を理解したと思う方が危険だ。


「まず、見せてください」


「全部?」


「できる限り」


「後悔するぞ」


「それも、見てから決めます」


 馬車は荒れた道を進んだ。


 夕方近く。


 雲の隙間から、わずかに光が差した。


 遠くに山々が見える。


 黒い森。


 切り立った岩。


 その間に、白い谷があった。


「雪が積もっているのですか」


 私が尋ねると、アルフォンス様は窓の外を見た。


 右手の震えが、目に見えて強くなる。


「違う」


 短い返事だった。


「では、何が白く見えるのですか」


 アルフォンス様は、すぐには答えなかった。


 馬車の車輪が、乾いた土を踏む。


 白い谷は、夕暮れの中でも不自然なほど明るく見えた。


「あそこが」


 アルフォンス様は言った。


「ノクスの眠る、竜骨の谷だ」

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