次世代始動!ファイブピーチ全国ツアー
第128話
「次世代始動!ファイブピーチ全国ツアー」
2058年・春。
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福岡の桜が咲き始めた頃。
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小倉美鈴、
新たな辞令を受け取っていた。
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『福岡市教育委員会
幼児教育部 部長任命』
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静かな会議室。
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美鈴は、
辞令を見つめながら、
少しだけ目を細めた。
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「……部長かぁ」
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優馬、
横で吹き出す。
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「昔、
幽霊で白金荘うろついとった人が?」
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「誰のことかなぁ?」
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「優馬〜、
洗濯物取り込んどって〜♡」
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「うわ出た!!
幽霊時代!!」
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二人、
顔を見合わせて笑う。
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あの日々から、
もう何十年も経っていた。
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一方。
爆笑発電所本部。
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「全国ツアー決定ーーー!!」
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ファイブピーチ、
全国ライブツアー始動。
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メンバーは。
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光子。
優子。
美香。
奏太。
小春。
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音楽。
コント。
トーク。
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そして。
意味不明な勢い。
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移動バス初日。
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「いぇぇぇぇぇぇい!!」
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優子、
突然通路で踊り始める。
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「なんで!?」
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「テンション!!」
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すると。
奏太も乱入。
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「俺も混ざる!!」
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「男子ぃぃぃ!!」
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さらに。
小春がタンバリン。
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美香、
頭抱える。
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「まだ福岡出て30分なんだけど!?」
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サービスエリア到着。
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「ラーメン食べる?」
「その前にライブしよ」
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「なんで!!」
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五分後。
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即席ライブ開催。
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通行客、
大混乱。
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「えっ、
ファイブピーチ!?」
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「なんでSAにおると!?」
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その頃。
博多ドンタクス体育館。
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新体制スタート。
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美鈴。
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選手引退。
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現在は――
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《博多ドンタクス女子中学部監督》
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体育館には、
中学生たちの声が響く。
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「はい!
次いくよー!!」
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しかし。
監督初日から。
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「監督、
そのメニュー何ですか?」
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「料理理論たい」
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「出たぁぁぁ!!」
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ホワイトボード。
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『今日のテーマ
“煮込みバレー”』
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「煮込み!?」
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「じっくり繋いで、
最後に味が染みる」
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中学生、
完全停止。
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「えっと……」
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「バレーですよね?」
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「もちろん」
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「たぶん」
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「たぶん!?」
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そこへ。
紗希、
コーチとして登場。
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「今日は“出汁ブロック”教えるけん」
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「増えたぁぁぁ!!」
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だが。
不思議なことに。
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強い。
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異様に強い。
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「なんでこれで勝てるん!?」
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「意味分からんのに、
守備ハマる!!」
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美鈴、
ニヤリ。
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「理論より、
まず楽しむこと」
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その目は、
昔と変わらない。
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「バレーはね、
怖がったら終わり。
仲間信じて、
笑って、
繋いでいけばよか」
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体育館が静かになる。
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その言葉には、
重みがあった。
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事故。
絶望。
幽霊だった時間。
リハビリ。
育児。
人生。
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全部乗り越えてきた人間の言葉だった。
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一方。
博多南幼稚園。
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園児たち、
謎ユニット結成。
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「ぼくら、
ミニドンタクスです!!」
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副園長、
頭抱える。
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「園庭で回転レシーブ禁止ぃぃ!!」
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「給食前にスパイク練習するなぁぁ!!」
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さらに。
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「今日の給食、
出汁弱い!!」
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「どこで覚えたその感想!!」
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完全に美鈴の影響。
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夕方。
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体育館。
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練習後。
美鈴、
一人でコートを見る。
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そこへ優馬。
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「お疲れさん、
部長さん」
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「その呼び方、
まだ慣れん」
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「監督も似合っとるよ」
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美鈴、
少し照れながら笑う。
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「選手としては、
終わったけどね」
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「でも、
まだバレーしとる顔やった」
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優馬の言葉に、
美鈴は静かにコートを見つめる。
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そこでは、
中学生たちが、
最後まで笑いながらボールを追っていた。
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「……未来、
ちゃんと繋がっとるね」
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その言葉に。
優馬も、
ゆっくり頷いた。
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次回予告 第129話「ドンタクス中学部、全国へ!」
美鈴率いる中学ドンタクス、
ついに全国大会出場決定!
だが——
「監督!!
思春期女子がまとまりません!!」
「そこも指導範囲!?」
一方ファイブピーチでは、
全国ツアー大暴走。
「大阪ライブでたこ焼き器壊した!?」
「なんでステージで焼き始める!!」
さらに幼稚園では、
ミニドンタクスが進化。
「今日の給食、
レシーブ味です!」
「意味が分からん!!」
そして美鈴、
教え子たちへ静かに語る。
「勝つだけじゃ、
意味なかよ」
次回、
第129話「ドンタクス中学部、全国へ!」
次の青春が、
今始まる。




