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笑う母の物語  作者: リンダ


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143/149

全国ママさんバレー開幕!

 第123話

「全国ママさんバレー開幕!」


 2045年秋。


 ついに始まった。


 全国ママさんバレー福岡予選。


 会場となる体育館には、

 異様な熱気が漂っていた。


「えっ……

 本当に黒崎美鈴出ると?」


「いや今は小倉美鈴やろ」


「でもあのフェニックスの!?」


「高校時代、

 全国荒らした人やん……!」


 観客席がざわめく。


 そこへ。


 黒と赤を基調としたユニフォーム姿の集団が現れる。


 《博多ドンタクス》。


「よし!

 忘れ物ない!?」


「湿布!」


「サポーター!」


「老眼鏡!」


「最後なん!!」


 美鈴、

 即ツッコミ。


 さらに。


「園長先生ぇぇぇー!!」


 幼稚園児軍団まで来ていた。


 保護者席では、

 若手先生たちが応援うちわを持っている。


『みすず園長がんばれ♡』


『ドンタクス優勝!』


『湿布は友達!!』


「最後誰作ったん!!」


「副園長です」


「止めんね!!」


 一方。


 実況席。


「注目はやはり、

 元フェニックス福岡の小倉美鈴選手ですね」


「46歳とは思えない動きです」


「しかも監督兼任」


「伝説の選手復帰に、

 会場も大注目です」


 そして試合開始。


 ドンタクス初戦。


 相手は、

 全国常連の強豪。


 《大阪ナンデヤネンズ》。


 平均年齢はほぼ同じ。


 だが、

 全員クセが強い。


「大阪のおばちゃん軍団や……!」


「気迫すごっ!」


「飴ちゃん飛んできた!」


 試合開始直後。


 美鈴がサーブ位置へ向かう。


 体育館が静まり返る。


「……来るぞ」


「あのサーブ……」


「フェニックス時代の……」


 トス。


 踏み込み。


 そして――


 ドォォォンッ!!


 爆音。


 相手レシーバーの腕が弾かれる。


「うわぁぁ!?」


「まだ現役やん!!」


「46歳の球ちゃう!!」


 観客席、

 総立ち。


 その瞬間。


 実況席。


「帰ってきました!!

 小倉美鈴!!」


「いや……

 これはもう芸術ですね……!」


 会場後方。


 正一と佳代も、

 静かに試合を見つめていた。


「……戻ったな」


 正一が呟く。


「うん」


 佳代が笑う。


「やっぱり、

 あの子の居場所はコートやねぇ」


 一方その頃。


 観客席上段。


 光子、

 優子、

 そして美香。


 三人は別の意味で忙しかった。


「グッズ売り場列できとる!」


「追加タオル持ってきて!」


「アクスタ完売です!!」


 実は。


 《ファイブピーチ》として活動する

 光子と優子。


 そして美香の提案で、

 ドンタクス公式グッズ販売が始まっていた。


 ・レプリカユニフォーム

 ・応援タオル

 ・サイン入りボール

 ・「出汁レシーブ」Tシャツ

 ・湿布風デザインキーホルダー


「なんで湿布グッズが一番人気なん!?」


「ネタとして強い」


「あと普通にかわいい」


「世の中分からん!!」


 だが。


 その売上は、

 チーム運営を大きく支えていた。


 遠征費。


 体育館使用料。


 若手育成。


 地域交流イベント。


 全部、

 その収益で回り始めていた。


 試合終盤。


 長いラリー。


 全員が飛び込む。


 繋ぐ。


 拾う。


 叫ぶ。


「出汁切らすなぁぁぁ!!」


「まだ料理言うとる!!」


 最後。


 美鈴のトス。


 紗希のスパイク。


 ドォン!!


 試合終了。


 博多ドンタクス、

 勝利。


 歓声。


 拍手。


 涙。


 笑い声。


 美鈴は、

 汗をぬぐいながら、

 静かに空を見上げた。


 あの日。


 幽霊だった自分は、

 こんな未来、

 想像できただろうか。


 でも今は分かる。


 命は。


 笑いは。


 繋がっていく。


 ずっと。


 次回予告 第124話「全国大会と最強おばちゃん軍団」


 ついに開幕、

 全国ママさんバレー全国大会!


 だがドンタクスは——


「ホテルで湿布足りん!!」


「まずそこ!?」


 一方幼稚園では、

 副園長が大混乱。


「園長おらんだけで、

 カオス倍率3倍なんですけど!?」


 さらにファイブピーチ、

 まさかの全国大会ライブ決定!


「応援なのか営業なのか分からん!!」


 そして美鈴、

 因縁の強豪チームと激突。


「まだ終わっとらんよ。

 私らの青春は」


 次回、

 第124話「全国大会と最強おばちゃん軍団」。


 40代、

 筋肉痛、

 でも魂は全盛期。

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