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笑う母の物語  作者: リンダ


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白金荘から戸建て住宅へ

この流れなら、事故の前に「白金荘を卒業し、新しい家へ引っ越す」という幸せな出来事を挟むことで、その後の展開との落差がより鮮明になります。


例えば、第118話と第119話の間に、次のようなエピソードを入れると自然です。



第118.5話「ありがとう、白金荘」


春。


桜が咲き始めた頃。


白金荘二〇一号室。


段ボールが部屋いっぱいに積まれていた。


「みちゅこ、ここ入るー!」


「ゆうこもー!」


光子と優子は、

空になった段ボールへ飛び込み、

秘密基地ごっこを始める。


「こらこら!

引っ越し屋さんが困るけん!」


美鈴が笑う。


優馬も苦笑した。


「最後まで元気やなぁ。」


部屋には、

まだ家族四人の思い出が残っていた。


美香が壁を見つめる。


「ここに、身長書いとったよね。」


柱には、

鉛筆で書かれた印。


「美香 ○歳」


「光子 ○歳」


「優子 ○歳」


少しずつ伸びた身長。


家族の時間そのものだった。


美鈴は柱を優しく撫でる。


「ここでいっぱい泣いて、

いっぱい笑ったね。」


優馬も静かにうなずく。


「美鈴が事故から帰ってきて、

家族四人でやっと暮らせるようになった家や。」


「みらいのたねも、

ここから始まった。」


「トリプルピーチも、

ここからやった。」


部屋中に、

たくさんの思い出が詰まっていた。



昼過ぎ。


引っ越しトラックへ荷物が積まれていく。


大家さんも見送りに来ていた。


「寂しくなるねぇ。」


「でも立派になったね。」


美鈴は深く頭を下げた。


「本当にお世話になりました。」


「この部屋がなかったら、

今の私たちはありません。」


大家は笑った。


「また遊びにおいで。」


「子どもたちも、

ずいぶん大きくなったからね。」


光子と優子は元気よく手を振る。


「ありがとー!」


「またくるー!」



新しい家。


庭付きの一戸建て。


玄関を開けた瞬間。


「ひろーーーい!!」


「わーーー!!」


二人が一目散に走る。


リビング。


階段。


二階。


庭。


全部が遊び場だった。


「ここ、

みんなで歌えるね!」


美香が言う。


優馬も笑う。


「今度は思い切り練習できる。」


美鈴は窓から庭を見る。


「子どもたちが走り回れる家。」


「ずっと夢やった。」


その日の夕方。


まだ家具も少ないリビングで、

家族四人が床に座る。


コンビニのおにぎり。


唐揚げ。


お茶。


豪華ではない。


でも、


四人にとっては、

最高の新居祝いだった。


「いただきます!」


笑い声が響く。


光子が突然言う。


「ここでもいっぱい笑おうね!」


優子も続ける。


「ずっとみんなで!」


美鈴は笑顔でうなずく。


「もちろん。」


優馬も照れ笑いを浮かべた。


「この家で、

いっぱい思い出作ろう。」


夕焼けが、

新しい家を優しく照らしていた。


誰も知らない。


この新しい家で過ごせる穏やかな時間が、

決して長くは続かないことを。



次回予告


第119話「止まった笑顔と、赤いサイレン」


新しい家で始まった、

幸せな毎日。


小学校。


音楽。


トリプルピーチ。


笑顔に包まれた日常。


だが、

秋の夕方。


一本の電話が、

小倉家の運命を変える。


耳を裂くブレーキ音。


赤いサイレン。


止まった笑顔。


そして、

生と死の狭間へ――。


次回、

第119話「止まった笑顔と、赤いサイレン」。

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