トリプルピーチ結成!爆笑と音楽の奇跡
第118話
「トリプルピーチ結成!爆笑と音楽の奇跡」
月日は流れ――。
那珂川の橋で、
「もう消えてしまいたい」
と呟いていた少女・黒木美香は、
もうそこにはいなかった。
小倉家の笑いと、
優しさと、
騒がしすぎる毎日の中で。
彼女は少しずつ、
“自分の人生”を歩き始めていた。
⸻
美香、吹奏楽の才能開花
博多南中学校。
放課後の音楽室に、
透き通るような音色が響いていた。
「……すご」
部員たちが思わず息を呑む。
美香が吹くクラリネットは、
ただ上手いだけではなかった。
音に“感情”があった。
嬉しかったこと。
苦しかったこと。
泣いた夜。
笑えた日。
全部が音になっていた。
顧問の先生が思わず呟く。
「黒木……いや、美香。
あんた、音楽に愛されとるね」
美香は少し照れながら笑った。
「えへへ……小倉家、毎日うるさいけん、
肺活量だけは鍛えられました」
「理由がおかしい」
部員、大爆笑。
⸻
そして迎えた――
吹奏楽コンクール全国大会。
博多南中吹奏楽部は、
圧巻の演奏を披露。
結果は――
金賞。
発表の瞬間。
体育館中に歓声が響いた。
「やったぁぁぁ!!」
美香は涙を流しながら、
空を見上げた。
そこには、
観客席で号泣する小倉家。
優馬、
ハンカチびしょ濡れ。
「うぅ……美香ぁ……立派になったなぁ……」
美鈴、
さらに号泣。
「うち、もう涙腺壊れた……」
光子と優子。
「おねーたんすごーーーい!!」
「きんしょーーー!!」
その直後。
光子、
勢い余って階段からズルッ。
「うにゃーーー!!」
優子、
巻き添え転倒。
「ぴゃーーー!!」
優馬。
「最後までギャグ挟まんと終われんのかお前ら!!」
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福岡高校進学
美香はその後、
福岡高校へ進学。
音楽の才能はさらに磨かれ、
今度は作曲まで始めていた。
だが――
家では相変わらずだった。
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光子&優子、小学生へ
博多南小学校。
入学式の日。
ピカピカのランドセルを背負った双子。
だが。
校門前で――
「みちゅこです!!」
「ゆうこです!!」
「「ふたりあわせて!!」」
「「ピーチブラザーズです!!」」
教師陣。
「姉妹やろ!?」
入学式開始前から、
すでに学校中が笑いに包まれていた。
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小倉家、毎日ギャグコント
朝。
「優馬ぁ〜!
食パンくわえたまま走ったら、
本当に曲がり角でぶつかるんかな!?」
「実験精神を日常に持ち込むな!!」
優子、
実践。
ドンッ!!
美香に激突。
「ぴゃああ!」
「うわぁぁ!?」
食パン、
なぜか鳩直撃。
鳩、
パニック。
「ぽっぽぉぉぉ!!」
優馬。
「朝から情報量多すぎる!!」
美鈴、
腹抱えて爆笑。
「もうこの家、
毎日がコントやん!!」
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音楽ユニット結成
ある日。
美香がぽつりと呟いた。
「……ねぇ。
うちら、ユニット組まん?」
光子と優子。
「やるーーー!!」
「うたうたう!!」
こうして誕生した――
「トリプルピーチ」
・美香:ピアノ&作曲担当
・光子:ボケ&ボーカル
・優子:ツッコミ&ボーカル
ジャンル:
「ギャグコント×音楽」
初ライブ。
光子。
「みなさんこんにちは!!
今日も元気に!!」
優子。
「騒音公害起こしに来ました!!」
会場、大爆笑。
さらに演奏が始まると――
空気が変わった。
美香の繊細なピアノ。
光子と優子の、
底抜けに明るい歌声。
笑ったあと、
なぜか少し泣ける。
そんな不思議なステージだった。
SNSでは。
「なにこの三姉妹!?」
「笑ってたのに最後泣いた」
「天才すぎる」
「情緒がジェットコースター」
瞬く間に人気爆発。
テレビ出演も増え始める。
⸻
そして、家族
夜。
リビング。
ライブ帰りの三人は、
ソファでぐでーっと倒れていた。
「つかれたぁ〜」
「ジュースぅ〜」
「だれか運んでぇ〜」
優馬。
「スターの姿勢終わっとる!!」
美鈴、
笑いながらジュースを配る。
「はいはい。
お疲れさま」
その姿を見ながら、
美香がぽつりと呟いた。
「……うち、
昔はさ。
未来なんかないって思っとった」
部屋が静かになる。
「でも今は、
毎日が楽しすぎて困る」
光子。
「それはよかった!!」
優子。
「じゃあもっと騒ご!!」
「方向性!!」
優馬のツッコミが飛ぶ。
全員爆笑。
その笑い声を聞きながら、
美鈴は静かに優馬にもたれた。
「……幸せやね」
「うん」
「騒がしいけどな」
「それが小倉家やろ」
窓の外には、
博多の夜景。
そして家の中には――
泣いて、
笑って、
歌って、
生きている、
“家族”の音が響いていた。




