表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
笑う母の物語  作者: リンダ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
126/149

白金荘、夫婦げんか未満

 第109話「白金荘、夫婦げんか未満」


 2021年9月――


 フェニックス福岡・松永先輩の結婚式当日。


 会場は、

 ホテル福岡シーサイドホール。


 だが。


 開幕十分で、

 すでにカオスだった。


 新郎新婦入場前


「優馬、ネクタイ曲がっとる」


「え、うそ」


「ほら動かん」


「はい」


「……なんで犬みたいに待てしとると」


「条件反射です」


 美鈴、

 爆笑。


 そこへ。


 フェニックス後輩軍団、

 一斉接近。


「小倉先輩〜♡」


「夫婦漫才今日も絶好調ですね〜♡」


「なんで披露宴前からイジられないかんと!?」


 そして。


 新郎・佐野慎太郎。


 通称“しんちゃん”。


 新婦・松永先輩。


 幸せいっぱい。


 ……のはずだった。


 司会者。


「それでは、新婦から皆様へご報告があります」


 松永先輩、

 満面の笑み。


「実はですね〜」


 一瞬タメる。


「赤ちゃんできました♡」


 会場、

 一秒停止。


 次の瞬間。


「「「うおおおおおおお!!!」」」


 大歓声。


 しんちゃん、

 真っ赤。


 松永先輩、

 超ニヤニヤ。


「予定日は来年四月です♡」


 フェニックスOG、

 涙と爆笑が同時発生。


「めでたいこと渋滞しとる!!」


「情報量多い!!」


 だが。


 ここで終わらないのが、

 フェニックス。


 余興開始。


「それでは!

 フェニックス福岡による祝福パフォーマンスです!」


 暗転。


 スポットライト。


 そして――


「空中ブランコ準備よーし!」


「だから結婚式で何すると!?」


 優馬、

 即ツッコミ。


 松永先輩、

 腹抱えて笑う。


「やっぱフェニックス最高!!」


 さらに。


 美鈴、

 酒が少し入る。


「優馬〜♡」


「ん?」


「好き〜♡」


「ちょ、外で急に甘えるな!」


「旦那やけん問題なか♡」


 そこへ後輩。


「小倉先輩、

 完全に酔うとデレるタイプやん」


「記録しとこ」


「やめんしゃい!!」


 そして年末――


 白金荘201号室。


 静かな夜。


 ……のはずだった。


「優馬ぁぁぁぁ!!!」


「な、なん!?」


 トイレから、

 美鈴絶叫。


 優馬、

 顔面蒼白で飛び込む。


「どした!?」


 すると。


 美鈴、

 涙目で検査薬を差し出した。


「……できとる」


「……へ?」


「赤ちゃん」


 沈黙。


 数秒後。


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」


 白金荘、

 深夜絶叫。


 病院


 診察結果。


「双子ですね」


「……双子?」


 優馬、

 停止。


 美鈴も、

 ぽかーん。


「女の子です」


「女の子……二人……」


 予定日は――


【2022年7月初旬】


 優馬、

 完全に処理落ち。


「待って情報量」


「うちも追いついてない」


 帰宅後


 美鈴、

 ソファでぼーっとする。


「……母親になるんやね、うち」


 事故の日。


 死にかけた。


 幽霊になった。


 未来なんて、

 もう無いと思っていた。


 それが今。


 お腹に、

 二つの命がいる。


 優馬が、

 そっと隣に座った。


「大丈夫」


「ん?」


「絶対、

 みんなで笑える家族になる」


 美鈴、

 涙ぐみながら笑う。


「……うん」


 だが翌日


 幼稚園。


「みすずせんせぇぇぇ!!」


「はいはい!」


「せんせぇ!

 カエル逃げたぁぁ!!」


「なんで教室に持ち込むとぉ!?」


 星組、

 本日もカオス。


 皐月先生、

 半泣き。


「美鈴先生ぇぇ!!

 今度は粘土食べましたぁぁ!!」


「なんで食欲が野生なん!!」


 一方白金荘


「優馬」


「ん?」


「アイス食べたい」


「今23時」


「食べたい」


「妊婦つよい」


 コンビニへ走る優馬。


 帰宅。


「買ってき――」


「今はポテチ気分」


「早よ言えぇぇぇ!!」


 夫婦喧嘩(未満)


「優馬、靴下脱ぎっぱなし」


「忘れとった」


「何回目?」


「人類は繰り返す生き物やけん」


「壮大に逃げるな!!」


 だが数秒後。


 二人とも笑っている。


 喧嘩になりそうで、

 ならない。


 完全にボケとツッコミ。


 いつしか。


 フェニックスから、

 こんな呼び名が定着した。


【ツッコミ大魔王・小倉美鈴】


【ボケ大魔王・小倉優馬】


 本人たちは不本意。


 周囲だけ爆笑。


 夜


 ベッド。


 美鈴、

 優馬の肩にもたれる。


「優馬」


「んー?」


「うち、

 死ななくてよかった」


 優馬、

 少しだけ黙る。


 そして。


「俺も」


 静かな夜。


 白金荘201号室には、

 今日も笑い声があった。


 次回予告 第110話「双子ちゃんと白金荘大騒動」


 妊婦・美鈴、

 つわり開始。


「うぅ……」


「大丈夫!?」


 だが次の瞬間。


「焼きそば食べたい」


「情緒どうなっとるん!?」


 一方幼稚園では。


「みすずせんせぇぇ!!

 どんぐり鼻に入ったぁぁ!!」


「なんで入れる文化が続いとると!?」


 さらにフェニックスでは、

 “双子命名会議”が大暴走。


「バレー用語入れたい!」


「やめんしゃい!!」


 そして優馬、

 ついに父親の自覚が芽生え始める。


「……俺、

 ちゃんと守れるかな」


 次回、

 第110話「年末の報告と、小さな命」。


 笑って泣いて、

 家族は少しずつ増えていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ