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笑う母の物語  作者: リンダ


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美鈴先生 幼稚園に帰る後編

フェニックス福岡サイド――


 もちろん。


 小倉美鈴が幼稚園へ復帰した頃、

 フェニックス福岡でも、

 相変わらず美鈴ネタで大騒ぎだった。



フェニックス福岡・体育館


 バシィィィン!!


 強烈なスパイクが決まる。


「ナイスコース!!」


「切り替えていこー!!」


 熱気あふれる練習。


 そのコート脇。


 松永先輩、

 スマホ片手にニヤニヤしていた。


「おーい、

 小倉先生ぇぇぇ♡」


「だからその呼び方慣れんって!!」


 ビデオ通話越しの美鈴、

 即ツッコミ。


 園児のお迎え終わりで、

 まだジャージ姿だった。



フェニックス女子たち


「みすず先生〜♡」


「今日も園児泣かせました〜?」


「誰が鬼教師や!!」


「違います、

 可愛すぎて園児が離れんのです」


「なんそのフォロー」


 体育館、

 爆笑。



さらに。


 後輩・奈緒。


「小倉先輩、

 最近完全に“ママ感”ありますよね」


「は?」


「包容力っていうか」


「あと怒り方が完全に幼稚園モード」


「それ食べんと大きくなれんよ〜、

 とか言いそう」


「言うとるわ!!」


 一同、

 崩壊。



松永先輩、


 ニヤニヤ。


「優馬くん、

 完全に尻に敷かれとるやろ?」


 その瞬間。


 画面外から優馬。


「いや、

 最近ほんと強いんですよこの人!!」


「ちょっと優馬!?」


「朝とか、

 “起きんとお弁当タコさんウインナー減らすよ?”

 って脅されるんです!」


「教育的指導!!」



フェニックス、


 さらに爆笑。


「完全に夫婦漫才やん!!」


「試合前より連携取れとる!!」


「もはやクイック攻撃レベル!」


「誰がコンビバレーや!!」



そこへ。


 監督、

 静かに登場。


「小倉」


「はい?」


「……戻ってこんの?」


 一瞬、

 空気が変わる。


 体育館が静かになる。


 美鈴は、

 少しだけ笑った。


「戻りたい気持ちは、

 今でもあります」


 でも。


「まだ、

 幼稚園の仕事で精一杯です」


 右手。


 右脚。


 長時間の移動。


 試合の遠征。


 現実は、

 やっぱり簡単じゃなかった。


「それに」


 美鈴、

 ふっと笑う。


「今は、

 園児のレシーブの方が難しい」


「どんな魔球来るん!?」


「鼻水付き高速タックル」


「競技違う!!」


 空気が戻る。


 笑いが戻る。



だが。


 監督は静かに言った。


「でも、

 席は空けとく」


 美鈴、

 少し目を見開く。


「戻りたくなったら、

 いつでも戻ってこい」


 体育館の空気が、

 優しくなる。


 松永先輩も、

 笑いながら頷いた。


「うちら、

 ずっと待っとるけん」


 美鈴、

 目を潤ませながら笑う。


「……ありがと」



しかし次の瞬間


「ところで小倉先輩」


「ん?」


「優馬くんとの夜の夫婦生活は——」


「奈緒ぉぉぉぉぉ!!!」


 画面越し絶叫。


 体育館、

 大爆発。


「聞きたい聞きたい!!」


「白金荘どうなっとるん!?」


「膝枕毎日!?」


 優馬、

 画面外でむせる。


「お前らほんとバレー部か!!?」



美鈴、


 真っ赤。


「もう切る!!」


「逃げたぁぁぁ!!」


 通話終了。



白金荘


 優馬、

 腹抱えて笑う。


「お前、

 フェニックス行ったら毎回こうなるな」


「後輩が育ちすぎた」


「完全に先輩いじり文化継承されとる」


 美鈴、

 ため息をつく。


 でも。


 その顔は、

 どこか嬉しそうだった。


 自分の帰る場所が、

 まだちゃんとある。


 それが、

 何より幸せだった。



次回予告 第107話「星組パニック大作戦」


 みすず先生、

 ついに遠足へ!


 だが星組は——


「せんせぇぇ!!

 だんごむし食べたぁぁ!!」


「なんでぇぇぇ!!」


 一方フェニックスでは。


「小倉先輩、

 ママさんバレー似合いそう♡」


「まだ現役やけん!!」


 さらに白金荘では、

 優馬がまさかの料理挑戦。


「よし、今日は俺が作る!」


 三十分後。


「……なんでキッチン黒焦げ?」


「火力を信じすぎた」


 次回、

 第107話「星組パニック大作戦」。


 幼稚園も、

 白金荘も、

 今日も平和にカオスです。

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