卒業の日、次のコートへ
第12話
卒業の日、次のコートへ
1年生として過ごした一年が、終わろうとしていた。
入学式の日には大きく見えた教室も、今ではすっかり見慣れた場所になっていた。
初めての授業。
初めての宿題。
初めての給食当番。
初めての学芸会。
笑った日もあった。
失敗した日もあった。
悔しくて泣いた日もあった。
けれど美鈴は、そのたびに少しずつ前へ進んできた。
*
終業式の日。
1年1組の教室では、先生が一人ひとりに声をかけていた。
「黒崎さん、この一年、よく頑張りましたね」
美鈴は通知表を両手で受け取った。
「ありがとうございます」
少し前なら、元気いっぱいに「みーすず、がんばった!」と言っていたかもしれない。
けれど最近、美鈴の中で小さな変化が起きていた。
自分のことを「みーすず」と呼ぶことが、少しずつ減っていたのだ。
完全になくなったわけではない。
家ではまだ、ふとした時に出る。
「みーすず、お腹すいた」
と言ったあとに、少し照れたように言い直す。
「……美鈴、お腹すいた」
佳代はそのたびに、何も言わずに笑っていた。
正一は少し寂しそうだった。
「みーすず、減ってきたな……」
佳代が言う。
「成長しよるんよ」
「分かっとる。分かっとるけど、父親としては少し寂しか」
「そこも成長せんとね」
正一は何も言い返せなかった。
*
終業式の帰り道。
美鈴はランドセルを揺らしながら歩いていた。
隣には、同じ1年1組の友達がいる。
「2年生になったら、クラス替えあるとかいな」
「どうやろ」
「また一緒がよかね」
「うん」
美鈴は少し空を見上げた。
春の匂いがした。
「でも、2年生になったら、もっといろいろできるようになるよね」
「美鈴ちゃん、何したかと?」
美鈴は少し考えてから言った。
「バレー」
「やっぱり?」
「うん。いつか本気でバレーしたか」
その言葉は、前よりもはっきりしていた。
父の背中。
体育館の光。
友達とつないだボール。
悔し涙。
学芸会でみんなを支えたピアノ。
全部が、美鈴の中でつながっていた。
*
春休み。
美鈴は毎日のように父に頼んだ。
「お父さん、バレーの相手して」
「今日もか?」
「今日も」
「昨日もしたばい」
「昨日は昨日。今日は今日たい」
正一は笑った。
「言うようになったなあ」
近くの空き地や公園で、正一は美鈴の相手をした。
本格的な練習ではない。
柔らかいボールを使って、構え方を教える。
ボールを見ること。
足を動かすこと。
怖がって手を引かないこと。
「美鈴、ボールが来たら逃げん」
「うん」
「怖い時ほど、一歩前」
「一歩前」
「そうたい」
美鈴は何度も失敗した。
ボールを落とす。
横へ飛ばす。
顔に当たりそうになって、思わず目をつぶる。
でも、そのたびに笑った。
「今の、鼻がレシーブしそうやった!」
「鼻でレシーブしたら反則以前に痛かばい」
「じゃあ、鼻はベンチ?」
「鼻は応援席やな」
二人で笑う。
笑って、また構える。
*
夕方まで体を動かした日は、ご飯がいつもよりおいしかった。
「いただきます!」
美鈴は茶碗を両手で持ち、勢いよく食べる。
佳代が目を丸くした。
「今日もよく食べるね」
「いっぱい動いたけん!」
正一がうなずく。
「運動したら、食べることも練習のうちたい」
「ご飯も練習?」
「そう。体を作る練習」
美鈴は真剣な顔でご飯を見た。
「じゃあ、このご飯はバレーの仲間やね」
佳代が吹き出した。
「ご飯をチームメイトにする子、初めて見た」
「お味噌汁は?」
誠一が聞く。
美鈴は考え込む。
「お味噌汁は監督」
「なんで?」
「全部まとめとるけん」
正一が腹を抱えて笑った。
「その発想はすごか!」
夕食の食卓は、いつも賑やかだった。
たくさん動いて、たくさん食べて、たくさん笑う。
それが黒崎家の春休みだった。
*
お風呂では、佳代が美鈴の髪を洗いながら言った。
「今日はいっぱい動いたね」
「うん。足、ちょっと疲れた」
「無理しすぎたらいかんよ」
「うん。でも、楽しかった」
「バレー、本当に好きなんやね」
美鈴は湯気の中で少し考えた。
「うん。好き」
そして、前よりもはっきり言った。
「美鈴、もっと上手くなりたか」
佳代はその言葉を静かに受け止めた。
「そっか」
「お父さんみたいに、ばーんってしたか」
「うん」
「でも、ばーんだけじゃなくて、みんなでつなぎたか」
佳代は微笑んだ。
「それなら、きっと美鈴らしいバレーになるね」
*
夜。
布団に入ると、美鈴はすぐに眠くなった。
一日中体を動かした疲れが、心地よく体に残っている。
隣の部屋から、正一と佳代の声が聞こえた。
「美鈴、本気やな」
「うん」
「無理にはやらせん。でも、あの目は本気たい」
「正一さん、嬉しかろ?」
「嬉しか。ばってん、それ以上に、ちゃんと支えんとなと思う」
「そうね」
「勝つことだけやなくて、続けること、考えること、仲間を大事にすること。ちゃんと伝えたい」
美鈴は半分眠りながら、その声を聞いていた。
父の声。
母の声。
安心する声だった。
美鈴は小さくつぶやいた。
「美鈴、がんばる……」
もう、「みーすず」ではなく、「美鈴」と。
その呼び方の変化は、小さなものだった。
けれど、確かに成長の証だった。
*
春休みが終われば、美鈴は2年生になる。
まだ正式にバレーを始めるのは少し先。
けれど、心はもう次のコートへ向かっていた。
父の背中を見て芽生えた憧れ。
体育館の光に照らされた夢。
友達とつないだボール。
悔し涙のあとに知った強さ。
学芸会で味わった、みんなでやり遂げる喜び。
そのすべてが、美鈴の中で一本の道になっていく。
走るのが好き。
笑うのが好き。
そして、バレーが好き。
黒崎美鈴、7歳目前。
次の春、彼女はまた一歩、大きくなる。
第12話 続編
次のコートへ ― 少年バレー団編
春休みが終わり、美鈴は2年生、3年生と進級していった。
相変わらず、教室の中心には美鈴がいた。
笑いがあって、安心があって、誰かが置いていかれない空気。
けれど――
その中で、美鈴の中にずっと残り続けているものがあった。
体育館の光。
父のスパイク。
あの日の「ばーん」。
*
4年生の春。
ある日の放課後。
体育館で、上級生たちが本格的なバレーボールの練習をしていた。
ネットが張られ、コートが区切られている。
サーブ。
レシーブ。
トス。
スパイク。
すべてが、これまで見てきたものより速く、強く、正確だった。
美鈴は、その光景から目を離せなかった。
「……かっこよか」
その言葉には、もう迷いはなかった。
ただの憧れではない。
“やりたい”という意思。
*
その日の夜。
「お父さん」
「ん?」
「美鈴、本気でバレーしたか」
正一は少し黙った。
そして、ゆっくりうなずいた。
「そうか」
「できる?」
「できる。ただし――」
「ただし?」
「楽しいだけやないばい」
美鈴はまっすぐ見た。
「きつくても、やる?」
少しの間。
そして――
「やる」
その答えは、はっきりしていた。
*
美鈴は、地域の少年バレー団に入った。
最初の練習日。
体育館の空気は、これまでとは違った。
厳しい声。
繰り返される基礎練習。
止まらない動き。
「走れ!止まるな!」
「声出せ!」
「今のは何や!」
コーチの声が響く。
美鈴は、最初からついていけたわけではなかった。
レシーブはまだ不安定。
サーブも思ったところに飛ばない。
動きも遅れる。
何度も怒られた。
「黒崎!足が止まっとる!」
「はい!」
「声が小さい!」
「はい!」
息が上がる。
足が重い。
それでも、美鈴は止まらなかった。
*
ある日の練習後。
美鈴は一人、体育館の端でボールを見ていた。
「なんで、あそこで取れんかったっちゃろ」
自分に問いかける。
答えを探す。
そして、ボールを軽く投げる。
受ける。
また落とす。
「今のは……目が離れとった」
もう一回。
「今のは……足が遅れた」
誰に言われたわけでもない。
自分で考え、自分で修正する。
その姿を、コーチが遠くから見ていた。
「……あの子、面白いな」
*
数ヶ月後。
チーム内での紅白戦。
美鈴はまだ控えだった。
ベンチからコートを見つめる。
出たい。
でも、まだ足りない。
その時、コーチが声をかけた。
「黒崎」
「はい!」
「次、行け」
心臓が跳ねた。
「はい!」
コートに入る。
最初のプレー。
ボールが来る。
(前に出る)
受ける。
少し高く上がった。
「ナイス!」
先輩の声。
次のプレー。
またボールが来る。
(怖くない)
手を前に出す。
受ける。
つながる。
その瞬間、何かが変わった。
*
それから、美鈴は急速に伸びた。
ただ運動神経がいいだけではない。
考えている。
見ている。
修正している。
「黒崎、今の何で取れたか分かるか?」
「はい。最初に一歩前に出たけんです」
「そうや。それが大事や」
コーチがうなずく。
美鈴は、ただ言われたことをやるだけの選手ではなかった。
自分で理解し、自分で変える選手だった。
*
そして――
レギュラー争い。
同じポジションに、もう一人上手い選手がいた。
技術ではまだ上。
経験もある。
でも、美鈴は諦めなかった。
練習のあとも残る。
家でも正一と練習する。
「もう一回!」
「まだやると?」
「まだやる!」
何度も、何度も。
失敗しても、止まらない。
*
ある日の紅白戦。
美鈴は、ついにレギュラーとして呼ばれた。
「黒崎、スタートから行け」
「はい!」
コートに立つ。
空気が違う。
責任が違う。
ボールが来る。
受ける。
つなぐ。
仲間の声が聞こえる。
「ナイス!」
「いいよ!」
試合が終わった。
コーチが言った。
「黒崎、次からスタメンや」
一瞬、時間が止まった。
「……はい!」
美鈴は深く頭を下げた。
*
そこから、美鈴はチームの中心選手になっていく。
声を出す。
流れを変える。
ミスしても、次をつなぐ。
「今のは切り替え!次いこ!」
「大丈夫たい!」
気づけば、みんなが美鈴の声を聞いていた。
小さなキャプテン気質は、ここで一気に形になる。
*
福岡県大会。
強豪が集まる大会。
試合は簡単ではなかった。
点を取られる。
流れが悪くなる。
空気が沈む。
その時。
「まだ終わっとらん!」
美鈴が叫ぶ。
「一人じゃなか!つなぐばい!」
その声で、チームが動く。
つなぐ。
拾う。
もう一回。
試合をひっくり返す。
そして――
優勝。
「やったー!」
「全国行くばい!」
美鈴は涙をこらえながら笑った。
*
全国大会。
知らないチーム。
強い相手。
初めての大舞台。
それでも、美鈴は変わらなかった。
「いつも通りやるだけたい」
試合は激しかった。
何度もピンチになる。
でも、そのたびに――
つなぐ。
笑う。
声を出す。
決勝戦。
最後の一本。
ボールが上がる。
美鈴が受ける。
つながる。
スパイク。
決まる。
試合終了。
――優勝。
*
表彰式。
メダルを受け取る。
仲間と抱き合う。
笑いながら、泣く。
「やったな……!」
「やったばい……!」
美鈴は空を見上げた。
あの体育館の光。
父の背中。
最初の“ぽーん”。
全部がつながっていた。
*
小学校卒業。
美鈴はもう、ただの“明るい子”ではなかった。
考える力。
つなぐ力。
空気を変える力。
そして、勝つ力。
すべてを持った選手へと成長していた。
黒崎美鈴。
次のステージへ。
その足は、もう迷っていなかった。
卒業式 ― 次のコートへ
卒業式の日。
宗像市立東郷小学校の体育館には、少し冷たい春の空気と、花の香りが満ちていた。
壇上には校旗。
壁には「卒業おめでとう」の文字。
椅子に座る卒業生たちは、どこか誇らしげで、どこか寂しそうだった。
黒崎美鈴は、卒業生代表として答辞を読むことになっていた。
名前を呼ばれ、美鈴は立ち上がる。
「卒業生代表、黒崎美鈴さん」
「はい」
体育館が静まり返る。
美鈴は壇上へ向かう途中、客席にいる正一と佳代を見つけた。
正一はもう泣きそうだった。
佳代が小声で言う。
「まだ始まっとらんよ」
「分かっとる」
「もう泣いとるやん」
「これは準備運動たい」
美鈴は少し笑いそうになったが、ぐっとこらえた。
壇上に立つ。
深く一礼する。
そして、ゆっくり言葉を読み始めた。
「春のあたたかい光の中、私たちは今日、宗像市立東郷小学校を卒業します」
声は、はっきりしていた。
「入学したばかりのころ、私は小学校がとても大きく見えました。教室も、校庭も、体育館も、全部が知らない場所でした」
美鈴は少しだけ顔を上げる。
「でも、友達と笑い合い、先生に教えていただき、失敗して、泣いて、また立ち上がって、この学校は私たちの大切な場所になりました」
卒業生たちが、静かに聞いている。
「私は、この小学校でたくさんのことを学びました。勉強すること。友達と助け合うこと。間違ったことをした時は、ちゃんと謝ること。そして、うまくいかない時でも、もう一度やってみること」
美鈴の声が、少し強くなる。
「私は、バレーボールに出会いました。最初はボールを落としてばかりでした。悔しくて泣いたこともあります。でも、仲間と一緒にボールをつなぐ楽しさを知りました」
客席で、少年バレー団の仲間たちも見ていた。
「私は将来、バレーの選手になりたいです」
体育館の空気が、少し動いた。
「強い選手になりたいです。でも、ただ強いだけではなく、仲間を支えられる選手になりたいです。失敗した人を責めるのではなく、次につなげられる人になりたいです」
美鈴は、まっすぐ前を見た。
「小学校で学んだことを忘れず、中学校でも努力します。先生方、家族のみなさん、地域のみなさん、そして友達のみんな、本当にありがとうございました」
最後に深く頭を下げる。
「私たちは、今日、東郷小学校を卒業します」
一瞬の静寂。
そして、大きな拍手が体育館を包んだ。
正一は完全に泣いていた。
「佳代……美鈴が……」
「うん。立派やったね」
「バレーの選手になりたいって……」
「聞いたよ」
「俺、もうだめかもしれん」
「卒業式で倒れんでね」
佳代も、目元をそっと拭っていた。
*
式が終わると、校庭では卒業生たちが写真を撮り合っていた。
「美鈴ちゃん、答辞すごかった!」
「泣きそうになった!」
「いや、うち泣いた!」
友達たちが美鈴を囲む。
美鈴は少し照れたように笑った。
「そんなに言われたら、こっちが照れるやん」
「バレー選手になるとよね?」
「なる。絶対なる」
「じゃあ、テレビ出たら言ってね。『小学校の友達です』って自慢するけん」
「その時は、みんなで応援席に来てよ」
「行く行く!」
そこへ、少年バレー団の仲間たちもやって来た。
「美鈴、中学でもバレー続けるっちゃろ?」
「もちろん」
「また全国行こうや」
「行く。今度はもっと強くなって」
美鈴は力強くうなずいた。
*
正一と佳代も近づいてきた。
正一は目を真っ赤にしていた。
「お父さん、泣きすぎやろ」
「泣いとらん」
「目、真っ赤ばい」
「花粉たい」
「体育館の中やったよ」
佳代が笑った。
「美鈴、立派やったよ」
「ありがとう」
正一は少し真面目な顔で言った。
「夢を口にしたな」
「うん」
「言葉にしたら、責任も生まれる」
「わかっとる」
「でも、それ以上に力になる」
美鈴はうなずいた。
「美鈴、頑張る」
その言葉に、正一は静かに笑った。
「応援する」
*
その日の夜。
黒崎家では、ささやかな卒業祝いが開かれた。
佳代の手料理。
美鈴の好きな唐揚げ。
誠一が選んだケーキ。
「お姉ちゃん、卒業おめでとう!」
「ありがとう、誠一」
「中学生になったら、宿題増えると?」
「たぶん増える」
「いややね」
「誠一もそのうち増えるばい」
「えー!」
正一が笑う。
「まあ、宿題も練習も、全部つながっとるたい」
美鈴はご飯を食べながら言った。
「中学でも、バレー頑張る」
佳代が優しく言う。
「無理しすぎんようにね」
「うん。でも、本気でやる」
正一はうなずいた。
「本気なら、支える」
*
夜、布団に入った美鈴は、卒業証書を机の上に置いていた。
その横には、バレーボール。
小学校の思い出と、これからの夢が、同じ机の上に並んでいる。
美鈴は小さくつぶやいた。
「次は、中学校」
胸の中には、不安もあった。
でも、それ以上に楽しみだった。
小学校で出会った仲間。
先生たち。
少年バレー団での勝利。
悔し涙。
答辞で語った夢。
すべてを抱えて、美鈴は次のステージへ向かう。
黒崎美鈴、小学校卒業。
笑いと涙とボールを胸に、彼女は中学生になる。
次のコートは、もう目の前にあった。
次回予告
第13話「宗像中学校、開幕」
時は流れ、美鈴は小学校生活の中で本格的にバレーを始め、仲間とともに成長していく。
そして2011年春。
黒崎美鈴、宗像中学校へ入学。
小学校とは違う練習量。
先輩たちの厳しさ。
初めて感じる、本格的な競争。
それでも美鈴は、笑いと根性で前に進む。
「ここからが、本当の勝負たい」
次回、第13話「宗像中学校、開幕」。
美鈴のバレー人生は、新しいステージへ入る。
次回予告
第13話「宗像中学校、開幕」
2011年春。
黒崎美鈴、宗像中学校へ入学。
小学生時代、少年バレー団の中心選手として全国制覇を果たした美鈴の名前は、中学校でもすでに知られていた。
「あの子が黒崎美鈴?」
「小学生全国大会で優勝した子やろ?」
「キャプテンやったって聞いたばい」
だが、中学校のバレーは小学校とは違っていた。
練習量。
スピード。
先輩たちの迫力。
そして、レギュラーをめぐる本格的な競争。
初日から美鈴は、ついていくだけで精いっぱいになる。
放課後は厳しい練習。
帰宅後は宿題。
夕食を食べ、風呂に入ると、布団に入った瞬間に眠ってしまう毎日。
それでも、美鈴は立ち止まらない。
宗像中女子バレー部顧問・小森一香先生は、その動きをじっと見ていた。
「黒崎さん、まだ体は中学生の練習に慣れとらん。でも、ボールへの入り方がうまかね」
先輩たちも気づき始める。
3年・主将 松永沙紀/セッター
3年 原田千尋/ミドルブロッカー
3年 井上玲奈/リベロ
2年 古賀真帆/アウトサイドヒッター
2年 田浦若菜/オポジット
そして同級生たち。
1年 黒崎美鈴/アウトサイドヒッター
1年 西村遥/セッター
1年 宮田紗英/ミドルブロッカー
1年 江藤里奈/リベロ
1年 藤原菜月/オポジット
1年 坂井美空/アウトサイドヒッター
同級生たちにとっても、美鈴は刺激だった。
「美鈴ちゃん、きつくなかと?」
「きつかよ。でも、ここからが本当の勝負たい」
身のこなし。
ボールへの反応。
ミスしてもすぐ修正する分析力。
そして、苦しい空気を笑いに変える力。
美鈴は一年生でありながら、レギュラー候補に名を連ねる。
厳しさに泣きそうになる日もある。
体がついていかない日もある。
それでも、笑いと根性で前に進む。
次回、第13話「宗像中学校、開幕」。
美鈴のバレー人生は、新しいステージへ入る。




