ロケット
「むっ、誰だ!?」
僕の後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。
びっくりした僕はゆっくりと後ろに振り返った。
「……マルコム? どうして、こんな場所におるんじゃ!」
おじいちゃんだった。
僕の姿を見て頭を抱えている。
「マルコム、お前どうして来たんだ。危険だから来ちゃだめだと言っただろう?」
「……ごめんなさい」
「……いつも言うことを聞いてくれるお前がな……とりあえず、怪我は無いか? 獣には出会わなかったか?」
「うん、大丈夫だよ」
「なら……そうじゃな、ひとまずは良しとしよう。次からは絶対に一人で出歩いちゃだめじゃぞ。いいな?」
「うん、わかったよ!」
「それにしてもマルコム、お前運が良いのう。今夜、完成する予定じゃったんじゃ」
「完成? この大きな柱の機械が?」
「ふふふ、これはな「ロケット」と言うんじゃ。昔、人が宇宙に飛び出すために作った機械じゃよ」
「……「ロケット」「宇宙」!」
僕は聞き覚えのない言葉を聞いて胸をときめかせた。
「まぁ、この星には、もう「ロケット」は一つも残っていないから、これはワシのお手製だがな」
そう言うとおじいちゃんは歩き出した。
「来い、マルコム、もっと良いものを見せてやる」
「うん!」
僕は飛び跳ねながらおじいちゃんの後に付いて行った。
おじいちゃんは空っぽの街で一番高い建物の屋上に連れて行ってくれた。
高いけど、暗くて景色はあまり良くない。
「おじいちゃん、ここで何かが起こるの?」
「ちょっと、待っとれ」
そう言いながらおじいちゃんは色々な機械を操作していた。
少し待っているとどこからか大きな音が聞こえてきた。
その音はさっきまで僕とおじいちゃんがいた建物の方向から聞こえてくる。
「ちゃんと見ておけよ」
おじいちゃんの言う通り僕は暗闇の中でしっかりと目を開けていた。
すると建物の方向から灯かりが見えた。
それは僕が持っている灯かりなんかよりもずっと大きくて眩しいものだ。
次に地面が揺れて、先ほどの大きな音が更に大きく聞こえた。
「カウント……3……2……1……」
建物から何かが出てくる。
それはさっき見た機械の柱「ロケット」だ。
すごい勢いで空に向かって上がっていく。
「すごい……けど、おじいちゃん雲にぶつかっちゃうよ!」
「何言っとるんじゃ、ロケットはあの忌々しい黒雲を突き破って宇宙に出ていくんじゃよ!」
「宇宙……」
僕は、ただじっと空に上がっていくロケットを見つめた。




