新たな出会いと夢
ロケットはどんどん空を上がっていき、とうとう雲の中に入って見えなくなる。
「……おじいちゃん、ロケット見えなくなったね……おじいちゃん?」
返事が無いのでおじいちゃんの方を見る。
おじいちゃんは何だか慌てたような様子で機械を操作していた。
「こ、こりゃ、まずい! マルコム、伏せろ!」
僕は訳がわからないまま、おじいちゃんに言われた通りにすぐに地面に伏せた。
すると、すぐに空の方から耳が痛くなるような大きな音が鳴り響いてくる。
僕は、思わず空を見上げると周りが昼間よりもずっと明るくなった。
「な、何が起きてるの!?」
「爆風が来る、おじいちゃんにもつかまれっ!」
僕は隣で伏せていたおじいちゃんにつかまる。
次の瞬間、空の方からすごく強い風が僕たちに襲いかかった。
おじいちゃんにつかまっていなければ僕は吹き飛ばされていたと思う。
「……うぅ」
「マルコム! 無事か!? 痛いところはないか!?」
「大丈夫だよ、おじいちゃん。一体何が起こったの?」
「……ロケットが爆発したんじゃ、こんなことなら先にお前を帰らせるべきじゃった。マルコム、怖い思いをさせてすまない」
「謝らないでよ!」
おじいちゃんは暗い顔をしたまま、さっきの風で壊れてしまったらしい機械に触っていた。
「……ん?」
その時だった僕が異変に気が付いたのは。
もう、爆発は終わったのに周りが妙に明るい。
僕は、また空を見上げた。
「えっ!?」
そこに見えたのは優しく僕を照らす無数の光。
「お、おじいちゃん、あれ何!?」
僕は急いでおじいちゃんの方を向く。
おじいちゃんも驚いたように空を見ていた。
「こ、こりゃ驚いた……何十年ぶりだ、こんな夜空を見たのは?」
「おじいちゃん、あの光っているのは何なの!」
「あぁ、マルコムは初めて見るんじゃったな。あれは「星」じゃよ」
「……「星」? もしかして、さっきおじいちゃんの言っていた「宇宙」ってやつと関係あるの?」
「そうじゃ、あの星々の光は遠い宇宙から来ているんじゃ」
「へぇ、不思議だ」
「あれが本来の夜空なんじゃよ。それにしても、まさかロケットの爆発で決して晴れることのないと言われた黒雲が吹き飛んだとは……」
「あっ……」
そんなことを言っていると夜空は、また黒い雲が覆っていき星の光は消えてしまった。
「やはり、一時的なものか。しかし、良いものが見れた」
「……おじいちゃん、僕見つけたよ」
「ん? 何をじゃ?」
「僕、夢を見つけた! 僕、宇宙に行きたい! それで、もっと星の光を見たい!」
「……マルコム」
おじいちゃんはマルコムを見る。
その瞳は星々の光に負けないほどに輝いていた。
それを見て、おじいちゃんは安心する。
こんな暗い世界で生きるためだけに生きる暗い目をしたマルコムのことが心配で仕方なかった。
だから、おじいちゃんはマルコムに何があっても生きていたいと思える何かを見つけてほしかったのだ。
「そうか……そうか、それなら明日から新しいロケット作りを手伝ってくれるか?」
「うん!」
僕はおじいちゃんと共に家に帰った。
ベッドに横になり目を閉じる時、今までにない感覚があった。
「明日が来るのが楽しみだ」
そう思いつつ僕は眠りにつく、明日からの未来に胸をときめかせながら。
僕の世界は暗くて、とても狭くって苦しいものだった。
けれども、たった一つの出会いで僕の世界は大きく変わった。
これを読んでいる人にも、そういった出会いがあることを僕は心から願います。
「星と夢ロケット」終わり
最後まで読んで下さり誠にありがとうございます。
その後、マルコムがどうなったのかは、あえて書きませんでした。
どうか、読者の皆様の想像の中で補完してください。
改めてになりますが数ある作品から本作を呼んでくださりありがとうございました。




