第壱章〈中国盗賊団戦争〉第一話 新人
〜前回のあらすじ〜
時というのは、過ぎるのは早いものだ。俺は極秘国際防衛隊〈八咫烏〉に所属する戦闘員兼事務員だ。そんな俺は、殉職率の高いこの職場で気づけば上から数えたほうが早い年齢となった。そんな俺にある日、人生を変える奴がやってくる。
「俺に…新人教育…?」
「あぁ、壊野君。君に任せたい。」
このハゲは俺の上司。国に三人しか居ない白烏の一角 騎馬悠介。使用プリズムはナイトプリズム。騎士の力を宿すプリズムだ。ちなみに結構強い。いや、だいぶ強い。
「無視ということは、OKと受け取るぞ。これが資料だ。」
薄っぺらい、6枚ほどの紙がホチキスで留められた資料を机に置く騎馬。そして、会議室を去る。俺はため息を付き、資料をペラペラと読み始める。〈出雲 神無〉。上にカタカナで〈イズモ カンナ〉と書かれている。神は無い。人の名前にケチ付けるのは違うと思うが、なかなかにひどい名前である。俺はそっとプリズムの適正が書いてあるページを捲る。適性はドラゴンにあった。今まで一度も現れなかったドラゴンプリズムの使用者がついに現れたのだ。嬉しい限りである。俺はこの新人に胸を躍らせた。
「君が…出雲くん?」
「あなたが僕の教育係ですか?」
「そう…だけど?」
「なら、上に伝えといてください。僕には教育係なんていらないってね。僕より弱い人に教えてもらうことなんて無い。」
こいつと話すと、つくづく頭にくる。俺は苛立ちを抑え、実力でわからせようと考えた。
「じゃあ、ついてきて。模擬戦室で俺を倒してみてよ。」
出雲は静かに頷く。俺は黙って模擬戦室に向かい、入る。人が一人入れるくらいのポッドが10個おいてある。俺と出雲は一人ずつ、酸素マスクを付け、そこに入る。液体でポッドの中が満たされ、目の前には真っ白の仮想現実の世界が広がる。出雲はその光景に目をかっぴらいている。ちなみに液体でポッドを満たす理由は、液体の流れによって痛みを再現するためである。模擬戦の開始を告げるコングの音。俺は瞬時にプリズムを握りつぶす。
「結晶!」
俺の後ろに禍々しい死神骸骨が現れ、俺を包み込む。これは俺の使用するプリズム、ブレイクプリズムのパワーが具現化したものである。プリズムが結晶者を認めた場合のみ顕現するとされる。俺はプリズムのパワーによって体中に結晶が生えるが、瞬時に体内に吸収される。プリズムによって強化された脚力で急加速。俺は出雲に結晶化する刹那すら与えず、間合いを詰める。
「ブレイク!」
俺は勢いよく出雲の金玉を蹴る。出雲は失神する。審判をしているAIが出雲の戦闘不能を確認。俺らは現実の世界へ引き戻される。一瞬であった。あそこまで豪語してたくせに一瞬であった。こんな先輩はゴミだと自負しているのだが、心の中でガッツポーズをシている自分が居た。
「出雲、これがお前と俺の差だ。」
出雲は反応がない。俺はため息を付き、出雲を医務室へ抱え、向かうのであった。
〜次回予告(変更になる場合がございます)〜
東京渋谷にて、謎のプリズム反応を確認。そこへ向かう出雲と壊野であったが、この間の模擬戦室でのことをお互い気にしている様子。渋谷に向かいいたのは、クジラのプリズムを操る謎の青年。二人は、この青年を倒せるのか?
次回 東京渋谷スクランブル交差点上空にて




