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おっさんが異世界でチートする話だったのに  作者: 陰キャきっず
新世界3 ハザード・オブ・ザ・デッド
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その16


 この基地へ来てから数時間。

かなり疲弊してきた。


 じっちゃんがいるところへは巨大なエレベーターを使わないといけないらしい。


「ここね……それにしても現代の光景とは思えないわ」


 ケイさんの言うことももっともだ。

清潔すぎる気がする白い天井や床。


 いくつものよくわからない電子機器。


 そしてマッドサイエンティストが住んでいるといわんばかりの実験道具の数々。


 今の科学技術をはるかに超えたこの光景はまるでSF映画の中の世界だ。


「エレベーター動かせそう?」


「問題ねぇ。よっと」


 何かのボタンをポチポチ押していくぼっちゃん。


 すると、ガコン! という音と共にエレベーターが動き始める。


 俺たちを乗せた特急便はゆっくりとさらに地下へと降りていく。


「みんな、弾はちゃんと持った?」


「はい、さすがは世界制服を掲げるだけはありますね。銃器や弾薬の類も最新のものばかり揃ってます」


 ここに来る道中、武器庫などを襲撃してどんどん武器を補充していった。


「暮人もほら……」


「俺にはこれがある」


「ハンドガンぐらい持ってて」


「……仕方ない」


 皆、戦闘準備を行う様子が、まるでこれが日常とばかりに見慣れた光景になってしまった。


 これが最後になってほしいものだが。


「どうしたおっさん、変な顔して」


「いや、どうにも遠いところへ来てしまったなと」


「はっ、違いない」


 ぼっちゃんがタバコを吹かしながら話しかけてきた。


「まっず……やっぱアレじゃないとだめだな」


「じゃあ吸わなきゃいいじゃん」


「吸わないよりは吸った方がマシなんだよ」


 流石は生粋のヘビースモーカー。

好みの銘柄じゃなくてもしっかりと喫煙を続けてるらしい。

きっと十年後ぐらいには肩身の重い狭いをするに違いないが。


「なんだかずっと前から一緒に戦っているような気がするな」


 ぼっちゃんがどこか遠くを見るような眼をしながらつぶやいた。


「そう、かもね」


 俺も同じように思っていた。

出会ってひと月も経っていないが、コイツとは腐れ縁のような関係になっていった。


「戦いが終わったらどうするんだ?」


 急にそんなことを聞いてきた。


 ニューサンブレラをぶっ潰し、すべての戦いが終わった後、俺は何をするのだろうか。


 仕事をしろとか言うなよ。


「うーん、今はとくに思いつかないかな」


「ニートはつらいな」


 運が良かったな貴様。

平常であれば殺していたぞ。


 という心の内は秘めたまま、俺たちを乗せたエレベーターは下層へと降りていった。






 だが、その時だった。





「火のカを倒して調子に乗っているようだが……滑稽だな」


「彼は四天王の中でも最弱……それをわかっていて?」


 ドスン!!! と、上から二人の男女が降ってきた。


「なっ―――」


 いきなりの登場に俺たちは面喰ってしまう。


「さぁ、あの時の借りを返しに来たぞ、人間ども」


「すべてはニューサンブレラのために……!」


 逃げ場のない巨大エレベーターでかつてない戦闘が始まろうとしていた。








「ふっはっくらえ!」


「ごはぁ!」


 まるでどんな特技よりもつよい通常攻撃が俺たちを襲う。

隙の無い動き、とんでもない身体能力。

これが強化兵士か。


「おっさん!」


「あなたの相手は私ですわ!」


「くっ」


 水のスイもケイさんの射撃をことごとく躱していく。


 どうやって戦えばいいんだ。


「俺が行く!」


「暮人くん!!?」


 刀を構え、単身炎のエンに突っ込んでいくバカ。


「無双アタック!」


「ぬっ!?」


 だが、意外にもその攻撃は炎のエンの動きを止めた。


「こいつ……本当にただの学生なのか……!」


「でやああああ!!!」


 彼は炎のエンと競り合うまで成長していた。

この短期間にすごいレベルアップだ。


「ぐっ……ごふっ!?」


 その隙を狙ってぼっくんが狙撃する。

ヘッショを防ぐためには頭を守るために拳を構えなければならない。


 しかし、そうすると暮人くんの攻撃を防ぐことは出来ない。


 押していた。


「ば、ばかな……なんなんだお前たちは!」


「ただの人間だ……お前たちが虫けらだと言ったな!」


「戦いの中で成長しているとでもいうのか……!」


 過去最高にかっこいい暮人くん。

捻くれた男の中二病が今、本領を発揮していた。


「エン!」


「オラ!」


「逃がさないわよ?」


 敵の二人を分断させ、連携をさせないようぼっちゃんとケイさんが水のスイを足止めする。


「小賢しい真似を……!」


 あの二人も、水のスイがあらかじめ回避する先を読み、一人が狙い撃ち、もう一人が回避後の場所へ弾丸を放っていた。


 インテリ班の能力が発揮されていた。


「調子に……乗るな!」


「なに!?」


 だが、その快進撃もここまでだった。


 炎のエンは自分の周りに炎を纏わせたのだ。


「こいつ……一体どういう仕組みで……!」


「これが強化兵士の真の力、世の理を超えた超常の力だ!」


 炎を纏った炎のエンはその名に恥じぬ力を見せてきた。


 一発喰らえばやけどじゃすまない。

鬼神の如き形相で攻撃してくる。


「ぐっ……」


 さっきまで威勢の良かった暮人くんもこれにはうかつに攻撃に出られない。

防戦へ追い込まれていく。


「このおおおおお!!!」


 ぼっくんが怒りの連射攻撃を放つ。


「ふん」


 だが、その全てが炎により溶けていった。


「そ、そんな」


「クックック……俺にこの能力を使わせたのはお前たちが初めてだ……誇っていいぞ」


 不敵に笑みを浮かべる炎のエン。

もう俺たちに打つ手はないのか……。


 俺はみんなから一歩離れたところで絶望感に打ちのめされていた。


 これがニューサンブレラ四天王……。


 恐らく炎のエンだけでなく水のスイも何らからの力を持っているだろう。

だとすればもう勝ち目なんて……。


 ……能力?


 その時、俺の頭に閃きが走った。


 ぼっくん、暮人くん、もう少しだけ持ちこたえてくれ!


「水のスイ! 勝負だ!」


 俺は二人から離れて水のスイへと突撃する。


「受けて立ちますわ!」


「うおおおおおお!!!」


「うおおおおおおお!!!」


 激しい猛攻が水のスイと繰り広げられる。


「加勢するぜ!」


「私も!」


 ケイさんとぼっちゃんも加わり大乱闘が始まった。


「くっ、動きが読まれ始めているとでも……!?」


 徐々に追い込まれていることに気付いたのか、焦りの表情を浮かべる水のスイ。


「強化兵士と言っても脳は人間。無意識のうちにパターンが出来ているのよ!」


「舐めるな!」


「うお!?」


 ややこちらが優勢だったが、やはり水のスイも超能力を使ってきた。

水のビームともいうべき攻撃を俺たちは散開して避ける。


 これだ、これを待っていたのだ。


「暮人くん! ぼっくん!」


「!」


「なるほど、そういうことですか」


 俺は二人に無言で思惑を伝える。

頷いていたので俺の意図は伝わっているはずだ。


「こっちだ! 炎のエン!」


「ちっ、ちょこまかと!」


「水のスイ、どこに目をつけているんだい?」


「ハゲのくせに素早い!」


 ハゲは余計だろハゲ。


 俺たちは敵二人を誘導していく。

そしてワザと隙を晒す。


「そこですわ!」


 水のスイのビームが俺に迫る。

でも、それは大きなミステイク。


「フッ」


「!」


「暮人くん! 飛べ!」


「ああ!」


 炎のエンを引き付けていた暮人くんが地を蹴り大きく飛翔する。

俺も即座に回避行動をとる。


「な―――」


「しまっ―――」


 すると水のスイが放った水のビームが炎のエンへと飛んでいく。


「ぐわあああああ!!?」


 炎のエンの炎のバリアを水のビームがたやすく貫いた。

こうかはばつぐんのようだ。


「ぐっ、エン!」


「お前は間違っちゃいない……」


 炎のエンはさっきの一撃で倒れていく。

流石の強化兵士も同じ強化兵士の攻撃には耐えられなかったようだ。


「後は水のスイ一人だ!」


「応ッ!」


「く、うわあああああ!?」


 強化兵士と言えど、地獄を生き抜いてきた俺たち5人を相手に勝てる道理は無かった。

俺たちを乗せたエレベーターは間もなく終着を迎えるのであった。


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