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おっさんが異世界でチートする話だったのに  作者: 陰キャきっず
新世界3 ハザード・オブ・ザ・デッド
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その12

 そして出発の日を迎えた。

滞りなく準備は進み、俺たちも覚悟の表情でヘリの前に立った。


「では、健闘を祈る」


「ええ。あなたたちも」


「短い間だったけどありがとうございました」


 俺とケイさんは隊長の最後かもしれないお礼の言葉を言う。


「おっさん、ぼっくんをよろしくな。筋は良いやつだがいかんせんまだ若いんでな」


「まかしてください」


 ニートの俺に頼むことではないと思うが了承した。


「ナロウ5、しっかり送り届けてくるんだぞ」


「はっ、了解しました」


 イセカイシティへ行くにはやはりヘリで上空から行くしかなかった。

隊長の部下の人が俺たちを送っていってくれる。


「ではいこうかみんな!」


「応ッ!」


 ひとしきり気合を入れ、俺たちは再び地獄へと舞い戻るのであった。






 バララララ……。

ヘリコプターのプロペラ音が鳴り響く。


 俺たちの間に会話などない。

ただ、精神を集中させるのみだ。


 それぞれの心中は皆同じようなモノだろう。

恐怖、怒り、悲しみ、正義。


 言葉は違えど、心は確かに通じ合っていた。


「そろそろイセカイシティ上空へ入ります」


「行ってくれたまえ」


「は、は!」


 偉そうに返事をしてしまった。

皆を見ればどの口が言うのかと言わんばかりにジト目で睨んでいる。


「ぷっ」


「あははは」


 それが可笑しかったのか、皆笑い出してしまった。


「なんだよ!」


「いえ」


「なにも?」


 でも、そのおかげで少し固まりすぎた緊張をほぐすことができた。


「降下ポイント上空です。私にできるのはここまで……どうかご武運を」


「ありがとう」


 降下予定ポイント、サンブレラビル屋上へとやってきた。


 俺たち全員が降り立った後、ヘリは上昇し、やがて空の向こうへと消えていった。

もう後戻りはできない。


「まずはサンブレラビルでニューサンブレラに繋がりそうな情報を探しましょう」


「ええ」


 屋上からビル内部へと侵入する。


 ニューサンブレラの基地がどこにあるかもわからない以上、関係のある施設を片っ端から当たるしかない。


 サンブレラビルは70階もある巨大ビルだ。

イセカイシティの産業などはサンブレラが担っているといっても過言ではない。


 くまなく探すには骨が折れそうだ。


「広いわね……二手に分かれましょう」


 ケイさんも時間がかかると思ったのかそう提案してくる。


「どう分けましょうか」


「ぼっくん、ぼっちゃん、暮人。おっさんと私で行きましょう」

 

 その編成は多分、一般人の暮人くんへの配慮があるのだろう。いや、待て俺も一般人だぞ。


「分かりました。お二人のことはお任せください」


「言うじゃねぇかぼっくん」


「頼りにしてるぞ」


 ぼっちゃんは二人と肩を組んで行ってしまった。


「私たちは社長室を目指しましょう」


「は、はあ」


 何やら先行き不安になってきた。

ていうかケイさんは何故俺を選んだのだろうか。


「なんで自分が選ばれたか不思議そうな顔してるわね」


 内心が表情に出ていたのだろうか、考えていることを当てられてしまう。


「ぼっちゃんはまだしも、俺を選んでも足手まといになりかねませんよ?」


「強さで選んだのではないわ。信頼しているからよ」


「え……」


 思ってもみなかったことを言われてしまい、少し照れる。


「それはうれしいんですけど……」


「なら胸張ってちょうだい。女性をエスコートするには頼りないわよ?」


「う、うん……」


 無いものを期待されても困るのだが。

やれやれ、目立つのはDaisukeなんだけどな。






ぼっくんたちと別れ、社長室を目指す俺たち。

70階にある社長室へ入るには専用のカードキーがいるらしい。


 例によってこのビルにもセキュリティを解くためあっちこっちへ行ったり来たりだ。


 ビル内部にはセキュリティ用の機銃付きガードロボットが至る所に存在していた。

ゾンビもなかなか倒れず厄介だったが、実弾を放ってくる分、ロボットとの勝負は遠距離戦になった。


 弾薬はありったけ持ってきていたので弾切れを気にする必要は無かった。


「おっさん! 引き付けて!」


「おうよ!」


 俺が囮になり、ケイさんが弱点の背面を撃つ。

かつての戦いで自然と身についた連携プレーが生きていた。


 あっという間に5機はあったロボットたちが沈黙していた。


「やるわねおっさん」


「あれだけ撃ちまくりゃね」


「謙遜しなくていいわよ? 褒めてるんだから」


 ケイさんが屈託の無い笑顔で俺を称賛していた。

誰かに褒められたのは何年振りだろうか。


 そして俺たちはビルの一室にやってきた。

どうやら会議室のようだ。


 部屋の中は書類や椅子が散らばっていて、かなり汚かった。


「よほど急いで逃げ出したのね」


「どれどれ……」


 俺は床に散らばっている書類に目を通していく。

何かの報告資料だろうか、イセカイシティの地図にいくつかのマークをつけている。


「何かなコレ?」


 正直よくわからないのでケイさんに丸投げする。


「……! これって……ニューサンブレラの基地に関する情報よ……」


「な、なんだって!」


「サンブレラもただ踊らされていたわけではないようね。社長は社長で基地の情報を探っていたそうよ」


 ケイさんが書類に目を通しながらそう言った。


「でも簡易的な報告書ばかりで肝心の詳細が書かれてないわね……怪しいのはやっぱり社長室かしら」


「見て! カードキーがあったよ!」


「でかした!」


 俺はケイさんが書類に没頭している間、会議室をくまなく捜索した、

すると金色に輝くカードキーを拾った。


 最高レベルのセキュリティも通過できる。


 俺たちは社長室を目指したのであった。





「ここが社長室よ!」


「オラ! 開けろ!」


 道中のガードロボットを蹴散らし、何とか社長室へとやってきた。

部屋に入ると豪華な机に椅子、意味不明なオブジェなど金持ちっぽい感じだった。


 机の上にはパソコンが一台あった。


「調べてみましょう」


 ケイさんが椅子に座りパソコンを起動させる。

パスワードがあったがパスワードと入力したらいけた。

それでいいのか大企業。


「これね。ニューサンブレラ情報は……あった」


 とあるフォルダを開き、片っ端から文章ファイルを開いていく。

その中の一つに目が留まった。


「ポイントA、およびBは偽装。本物は北のクレーターに隠されている。ポイントN……それが基地の入り口……か」


「わかったの?」


「ええ。その昔、隕石が落下したと言われているイセカイシティ北部の大きなクレーターは今も立ち入り禁止区域に指定されている……確かにそこなら工事か何かが行われても変に思われない……考えたわね」


 北のクレーター。

地元民さえ近づかないそこで秘密裏に基地が建設されていたそうだ。


「じゃあぼっくん達と合流しよう」


「ええ……急ぎましょう」


 答えは得た。

ならばさっさと目的地へ向かおう。


 俺たちは部屋を出てぼっくん達を探しに行こうとした。


 だが―――。







『自爆装置が作動しました。職員は直ちに脱出してください。繰り返します……』


 フロア中に警報音が鳴り響き、赤いランプの光が照らす。


「これは一体……!?」


 俺とケイさんは目を合わせ、別れた仲間たちのことを想うのであった。

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