その4
クレトくんが仲間になって数週間。
深淵探索は順調に進んでいった。
俺も順調に実力をつけていき、今では
2階でもなんとか戦っていけるようになった。
クレトくんのステータスを見せてもらったのだが、
それはもう相当な実力者だった。
なんでもパーティーを追い出されたから
頑張って鍛えたそうな。
マウントを取りたいがために努力した男だった。
「そろそろ3階に行ってもいいんじゃない?」
やっと安定して稼げるようになってきたが、ここまで来ればもっと成り上がれるはずだ。
そう思ってクレトくんに相談してみた。
「いや、俺たち二人じゃあとてもじゃないがやっていけないぞ」
なんと、クレトくんの実力をもってしても3階は
難しいらしい。
じょ、冗談じゃ……誰か加勢してくれ!。
「せめて後方支援がいれば話は別だがな」
「後方支援か……魔法使いとか?」
《アビス》に来て間もない頃に助けてくれたマホツさんのことを思い浮かべる。
「そうだな。けど魔力を持った人間なんてそうそういないがな」
そうか、魔法使いはめったにいないのか。
なら、答えは一つだ。
「いや、俺に心当たりがあるよ」
「何?本当なのか?」
「ああ。とりあえずギルドへ行こう」
あの時は一人で行動していたマホツさん。
今でもフリーだとしたら勧誘してみよう。
俺たちは期待を胸に冒険者ギルドへと向かった。
ギルドへやってきた俺たち。
さっそくマホツさんがいないか見渡してみる。
普通にいた。
美少女なので見つけやすかった。
「ほら、あの人だよクレトくん」
「ん……?ま、まさかマホツ・カイか!?」
「知ってるの?」
何やら予想外に驚いているクレトくん。
どうしたというんだ。
「《アビス》でも五指に入る有名な冒険者だ……類まれなる魔法の才能と冷静な判断力を持つ実力者だぞ」
ほーん、そうなんだ。
思ったより有名人なのか。
「あら、あなたはこの前の……」
気が付けば、本人の方から俺たちの方へやってきていた。
「ああ、その節はお世話になりました」
「いえいえ、お元気そうで何よりです」
まずは挨拶だ。
「単刀直入に言います。俺たちの仲間になってくれませんか?」
俺はあれこれ説明せずに本題を言った。
「……失礼ですがあなた方の最高到達階は?」
なにやら値踏みをするように質問してくる。
「俺は2階です」
「……以前、野良パーティーで3階まで潜った」
「話になりません」
きっぱりと断られてしまった。
「私は一人でも5階までなら戦えます」
「えっ……」
なんと、彼女は単騎で5階という
俺たちには予想も出来ないところまで行けるというのだ。
俺たちの間には相当な実力の差があった。
「厳しい言い方ですが……頼りない仲間は身を滅ぼすだけですので」
どうしようもない正論だった。
仕方ない、ここは諦めるとしよう。
「そうですか……すいませんお時間をとらせました」
「いえ、それでは」
マホツさんは無常にも去っていった。
美少女やから調子のっとんか?。
若干の怒りと戸惑いを抱きながらもそれを見送る。
「……どうしようか?」
「……」
「クレトくん?」
「ああ。なんだ?」
少し考え事をしていたのか一瞬遅れて返事を出すクレトくん。
「クレトくんには他に当てとかない?」
望みは非常に薄いだろうが一応聞いてみよう。
「うーん。ないことはないが」
あるのか……。
こんなやつと関係を持ちたがるもの好きがいるとは。
「このさい誰でもいいから紹介してよ」
「……わかった。あまり期待はしないでくれよ?」
頼りなさげなことを言いながら
俺は彼について行くのであった。
「えっ、僕に仲間になってほしいって?」
彼がクレトくんの当て―――、イケメンの優男風の男だった。
現在、俺たちは酒場にやってきているのだが……。
「ああ。どうせまたウザすぎてパーティーを組んでもらえないんだろ?」
「ハハ、なんとまぁストレートに……ま、そうなんだけど」
どうやら一癖も二癖もありそうだ。
類は友を呼ぶってこだな。
「どうも。ぱっくんと言います。よ・ろ・し・く」
「おっさんです」
うざ。
互いに自己紹介をして、飯でも食べながら話しをしていく。
「へぇ、前に野良で一緒になったっていうのはぱっくんのことだったんだ」
「ああ……、その時からこいつはこんな感じで……」
「ええ?クレトこそ捻くれすぎて愛想ないし、陰キャだし……」
どうやらベクトルは違えど似た者同士のようだ。
互いが互いをけなし合う。人間の底のような男たちだった。
その後、なんやかんやあって
ぱっくんは正式に俺たちの仲間になるのであった。




