その3
「……こんにちわ」
「こんにちわ。ようこそチッカークの村へ」
俺はとある確信をもってこの村へやってきた。
「……今日はいい天気ですね」
「そうですね。でも、こうも雨が少ないと作物が育たなくて困ります」
ああ、思い出してきた。
あの頃も全く同じやり取りをしていたんだっけか。
俺は目を閉じて、はるか昔の思い出に浸る。
しかし、それさえもすべて幻だったのだ。
「……」
「?どうされました、旅のお方」
いきなり俺が無言になり、怪しむ青年。
そして、俺は静かに目を開く。
「思えばヒントはあったんだ」
「えっ?」
いきなりの言葉に戸惑いを見せる青年だったが、
俺はそれを意に介さず話を続ける。
「あれは何回目だったか……一回目だったかもしれない」
そうだ……。
「あんたは言ってたよな?この世界の住人が知らないはずの単語をよ」
「!!!」
ここにきて驚愕の表情を見せる青年。
「スローロリスなんてこの世界にはいなかったし、
ブラック企業やニートなんて単語も存在しない」
「にもかかわらずあんたはその言葉を理解していた」
「でもそれはおかしい!なぜなら!」
「その言葉があったのは俺の前世だからな!」
思いの丈をぶつけ続ける。
そうだ。思えばあの時から疑いを持つべきだった。
「そしていつもお前は世界にとって重要な場面に現れていた」
「多分それがこの世界の結末を分かつ分岐点だったんだろうよ」
「……」
黙って俺の推理を聞きづける青年。
「それに最後、とても重要なことだ」
「あんたはかつてこの村に住人は、いるけどいない、なんて曖昧な表現をしたな?」
いつかの日常。
こいつは何でもないかのように話したのを
かすかに覚えている。
「あの時は空気に流されてスルーしたが、常識的に考えてそんなのはおかしい」
「あんたがあんなことを言ったは、言葉通り
村人を自由に増やしたり減らしたりできるから、そうだろ」
「そして恐らく、びっちゃんも作られた存在だ」
「なあ……ぼっちゃん……いや……神様よ」
これが、俺のたどり着いた《真実》だった。




