その3(終)
「ここが、魔王城か」
数々の冒険を得て
俺たち勇者一行は魔王の居城へとたどり着くことができた。
今まで出会った人たちのためにも
この先の戦いは絶対に負けられない。
俺たちは慎重に歩を進めるのであった。
「へいらっしゃい!」
「えっ」
「よく来たな勇者達よ」
愛想のいい言葉と共に姿を現したのは
豪華な衣装に身を包んだ男だった。
「!!??お前が魔王か!!??」
「そうだ。我が名はぼっちゃん!!!!」
高らかに名乗りを上げる魔王。
しかし、その姿を見た時に俺は奇妙な感覚に襲われる。
「!!??何故だか知っている気がするよびっちゃん!」
「私もよおっちゃん!」
どうやらびっちゃんも同様に感じたようで
二人で困惑する。
「死ね!勇者ども!」
そんな俺たちの心情も知らずに
最後の戦いが幕を開けたのであった。
「うわああああああ!」
数々の経験を得て強くなった俺たちでさえ
魔王の力の前ではなすすべもなかった。
このままでは―――。
絶望しかけたその時だった。
今まで後ろに下がっていた暮人くんが
俺たちをかばうように先頭へ赴く。
「やれやれ目立つのは好きじゃないんだけどな」
そして魔王との激しい攻防が繰り広げられた。
するとみるみるうちに形勢が逆転していく。
「!!??日根くんが圧倒している!!??」
超ステータスで圧倒していく暮人くん。
それなら最初からやってくれと思ったのは
俺だけではないだろう。
「ぐわあああああ!魔剣クワスカリバーをもってしてもかなわぬとは……」
やがて決着がついた。
強大な力も俺たちの結束の力の前では
無に等しいものだった。
「これが絆の力だ!」
「やったねみんなの結束のおかげだね!」
「ああ!」
「ええ!」
「ふん!」
「せや!」
「そや!」
今までの旅の思い出が頭をよぎる俺たち。
俺たちは勝利の喜びを分かち合い
飲んだくったの大騒ぎをして
これまでの苦労を洗い流すのであった……。
「じゃあ日本に帰ろう!」
意気揚々と故郷へと帰還する勇者たち。
けれど、暮人くんの答えは違った。
「俺はこの世界に残るよ!こいつもいるし!」
「わんわん!」
暮人くんは自分を支え続けてくれたワンちゃんを
放っておけないそうな。
これからこの世界を安住の地として生きていくらしい。
「そうか!!元気でな!!」
別れを惜しみつつ三人は元の世界へと帰ってしまった。
「さあこれからせっこらドッグスだ!」
「ワオーン!」
暮人くんはなんか怖いことを言いながら
ワンちゃんとともにどこかへと走り去っていくのであった。
「終わったねびっちゃん……」
「そうね……。帰りましょう」
こうして世界は救われたかに見えた。
しかし、運命はまたも流転する。
そして、ついに真実が手の届く場所へと近づいていることに
この時の俺はどこかで感じていたのだ―――。
新・真章へ……




