その2
「くっ。どうせ俺なんかケモミミ奴隷といちゃこらさっさ!」
「くーんまってほしいわんご主人様ー!」
「ワンワン!」
「本物いるぞ!」
何やらわいわいしている人たちがいた。
恐らくあれが目的の人物だ。
「おーい待てよー!」
俺たちはケモミミ奴隷と一緒にいる少年に
声をかける。
「あなたたちは?」
「俺たちはしがない用心棒さ」
「あなたの護衛よ坊や」
なんのこっちゃ分かってない少年に
これまでのあらましを説明する。
「俺は日根 暮人です」
「こいつはおっさん」
「こいつはびっちゃん」
「えっ」
お互い自己紹介をし、色々世間話に花を咲かせる。
「では行こうか暮人君」
「はい」
ひとしきり仲を深めた俺たちは
魔王討伐の旅に出かけるのであった。
「魔王ってのはどこにいるんでしょうか?」
「魔王城でしょうね」
「情報を集めないと!」
とりあえず街をうろつきながら
魔王についての情報収集をしていく。
すると、何やら中央の広場の方が騒がしい様子だ。
何事かと思い俺たちは様子を見に行くと……。
「クックック、俺は魔王四天王の一人炎のエンだ」
「なんてこった!こんな町中に四天王が!」
「やべーぞ!逃げろ!」
なんと街の中に四天王の一人がいたのだった。
まさに、木を隠すなら森の中とはこのことだろう。
すでに暮人くん以外の勇者は戦闘中だ。
しかし、彼らの経験の浅さからか、
しだいに劣勢に追い込まれていく。
「つ、強い!」
「僕たちだけでは太刀打ちできません!」
「こんな時、日根くんがいてくれたら!」
「あんなやついらねーよ!俺一人でぐわああああ!!」
「あ、池くーん!」
中心人物っぽいイケメンの子が吹き飛ばされていく。
「我利くん!どうしよう!」
「ここは素直に日根にたよるしかありません!」
すると、その会話を聞いた暮人くんが
あの子たちをかばうように飛び出していった。
「見てられないから仕方なくやってきたぞ」
なんとも上から目線な一言を放つ。
「日根くん!来てくれたのね!」
「やれやれ目立つのはあまり好きじゃないけど!ふん!」
「ぐ、ぐわあああああ!馬鹿な、魔王四天王最強の俺様があああ!」
暮人くんが剣を一振りすると
四天王である炎のエンを、いともたやすく倒してしまう。
「きゃー!素敵!抱いて!」
「ふ、ふん!お前がいなくても勝てたんだからな!」
「池、もう意地を張るのはやめましょう」
それぞれ反応はばらばらだったが
暮人くんの評価はうなぎのぼりのようだった。
「今更もう遅い!ケモミミ奴隷といちゃこらさっさ!」
「ご主人様ー!」
「ワン!」
しかし、追い出されたことによって
ちょっと捻くれてしまった暮人くんの心は
すさんでいく一方のようだ。
「クックック、魔王城はこの都市を出てすぐにある湖の向こう側にあるぞ……」
すると、瀕死の状態の炎のエンはありがたくも
魔王城の場所を教えてくれた。
「なんだって!すぐ行こう!」
俺達は炎のエンの情報を信じ、
湖の向こう側を目指すのであった。




