第十六話 世界の始まりにして終わりなる者
この小説も最終局面になりました。
ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。モチベになりました。
関係ないのですが友達と新サクラ大戦のアニメを見ながらこれマジ? とずっと呟いていました。千年血戦偏じゃ(ないです)
「これであいつの手駒は大方叩いただろう」
預言書たちとの死闘から一週間。
俺たちのコンディションはベストな状態へと戻っていた。
「なら……」
「ああ。今度はこっちから攻める」
この時がついに来たのだ。
全ての始まりと終わりに決着をつける時が。
「奴がどこにいるか分かるの?」
「ああ。……ブックマーク・ドライブの力を使えば、イケるはず」
便利だなおい。
「え、でも……」
アレは何かこう友情パワーみたいなのいるんじゃなかったか。
「そうだ。ブックマーク・ドライブは絆の力。時空転移には強い思念が必要だ。仲間を想う力が」
それならどうしようもないのでは。
だが、ぼっちゃんは真剣な面持ちで空を見上げた。
「……今も、俺たちの知らないところで戦っている仲間がいる」
「まさか……」
ドクンと鼓動が脈打つ。
記憶に強く焼き付いた仲間の姿。
様々な世界で俺たちを助けてくれた最強の救世主。
「ああ。ショーだ」
「ショーくんが……」
「俺たちをつなぐ絆をたどれば、アイツの元へいける」
胸に熱いものが込み上げる。
みんなも感じるものがあるのかそれぞれ思いをはせている様子だった。
ケイさんはどうだったか、まあいいや。
「いいか……これが最後の戦いだ」
ぼっちゃんの声に皆が視線を向ける。
「この先はセーブなんてできない……それでも行くか?」
ここから先は死の領域。
かつてないほどの戦いが予想されるだろう。
だが、みんなの顔に迷いは無かった。
「当たり前だよ」
俺は強い意志を込めてそう言った。
「俺たちが戦ってきたのは……命が惜しいからじゃない」
今までのこの世界での記憶が蘇る。
訳も分からずこの世界に生まれて、心のまま動いてきた。
でも、それは……。
「守りたいものがあって、誰かを助けたいと思ったからだ」
その言葉は俺の口から出たものではなかった。
クレトくんが一歩前に出てそう言った。
しかし、俺の本心と同じことを言ったのだ。
「何も無かった僕に、そして僕たちに生まれた確かな願いです」
ぼっくんが俺たちを見回しながらそう言った。
「そしてその願いが私たちをつないできた」
キツカちゃんが俺の横に来てそう言った。
「つないできた絆が明日を生きる力になった」
マホツさんが胸に手を当ててそう言った。
「自分の信じる正義のため、それを支えてくれる仲間のために」
ケイさんが銃をクルクルパシっとしながらそう言った。
「誰かを想い続ける限り、私たちはどこまでも進んでいけます」
両手を握り、目を閉じながらシスタがそう言った。
それらの言葉はきっと、みんなの心に同じように存在したものだろう。
こんなにうれしいことは無い。
「だから……助けよう。報いよう」
俺はぼっちゃんに近づき、手を伸ばす。
「俺たちを見守り、助け続けてくれた、大切な仲間を」
ぼっちゃんは俺の手を強く握り返してくれた。
「……ああ!」
いつかどこかで同じように、こうやって握手したことを思い出す。
これが絆なんだ。
「よしみんな……行こうか」
決意は改まった。
後は進撃するのみ。
「行こうかなんて、らしくないですよ」
「フッ、だな」
すると何かおかしかったのか、ぼっくんとクレトくんが笑ってきた。
皆もそれに頷いていた。
「2人とも……みんな……」
そうだな。
俺は元々自己中でかっこよくて、最高に強いリーダーなんだ。
ありがとうみんな。
「よし、みんな……」
円陣を組み、みんなが拳を合わせる。
それは自然な流れだった。
そして高らかに叫ぼう。
「行くぜ!!!」
「応ッ!!!!!!」
みんながそれぞれ用意に移る。
「……おっさん」
そんな時、ぼっちゃんが俺に近づいてきた。
「ぼっちゃん?」
「少し、話がある」
そう言って、とある作戦を聞くのであった―――。
時の狭間にて―――。
そこでは、ショーとギャークバーリの戦いが続いていた。
「があああああ!?」
「はぁはぁ……まさか一週間も戦い続けることになるとは……さすがは世界の渡り人と行ったところか」
ゴロゴロと地面を転がりながら吹っ飛ばされていくショー。
さながら満身創痍と言ったところか。
周囲には《エターナル》だった残骸がそこら中に散らばっていた。
「ぐっ……このチート……あの時のおっさん以上だ……」
体に力を入れるが、立ち上がることができないショー。
「だが、これでトドメだ……!」
ギャークバーリが前進にオーラを纏わせる。
そして拳を一気に前に打つ。
「チートブレイカー!!!」
闇のビームがショーへ向かって放たれた。
「ッ―――」
ショーは回避できないと思い、覚悟を決め目を閉じた。
だが―――。
「させないッ!」
「何!」
ショーへと放たれたビームがせき止められる。
「「《メイガス》!」」
「「《アー・カイブ》!」」
「!」
ショーの目の前に盾として現れたのは、2機のNBだった。
激しい火花が散らされている。
「うわああああ!?」
「きゃああああ!?」
やがて、そのビームに耐えられなくなり、激しい爆発を起こした。
だが、舞い上がった黒煙から影が飛び出してくる。
数人の影がズザザと、地面へと着地した。
「くっ……NBがやられたのは痛いな」
「ですが、役割は果たしました」
「ありがとう、私の《メイガス》」
ショーを抱えているのは鴉だった。
鴉はそっと地面へとショーを下ろした。
「みなさん……」
ショーの周囲には仲間たちが集まっていた。
「待たせたな、ショー」
「あとは俺たちがやる」
「休んでてください」
ぼっちゃん、クレト、ぼっくんがショーをねぎらう。
「大丈夫ですか?」
「仲間の仲間は仲間ってね」
そしてシスタとケイがショーの応急処置を始める。
それをされるがままに受け入れる。
残りのメンバーはギャークバーリと対峙する。
「預言書を倒したか……」
「さあ! お前の駒を出せ!」
鴉は高らかに叫び、ギャークバーリへと拳を突き出した。
「フフフ……それなら目の前にいるだろう?」
「何……?」
「ま、まさか……」
「そう、ワシが最後の転生者だ」
ギャークバーリは自身を知らしめるように腕を広げた。
「なっ……」
その言葉に驚愕する鴉たち。
「お前、まさか神性を落としたのか」
「ああ。神になった《ギャークバーリ》が消えても、駒さえ生きていれば《転聖戦争》は続く」
ギャークバーリの言葉にゴクリと生唾を飲むぼっちゃん。
だが、すぐに表情が余裕のモノに変わる。
「はん。それなら好都合だぜ。これでお前を滅せられる」
「出来るのか?」
ゴウッっと嵐のような覇気がフィールドに広がる。
「ッ……なんてプレッシャーだ」
それに気押しされる面々。
「チートを持たぬお前たちが戦ってこれたのは、長い時を積み重ねた経験があったからだ」
ゆっくりと鴉たちへと近づくギャークバーリ。
「だが、ワシのチートはその全てを凌駕する時の力。つまり最強の《おっさん》ということだ」
「……!」
一瞬で姿が消え、気づけば鴉の目の前へと移動していた。
「はあ!」
「ワー!」
「ギャー!」
全体攻撃を受けて、吹き飛ばされていく鴉たち。
「つ、つよい……」
「そんな……嘘でしょう?」
キツカとマホツがボロボロになりながら立とうとする。
だが、無意識に体が震えを起こしていた。
「理解したか? お前たちではワシには勝てん」
自信満々いそう言い放つギャークバーリ。
「大丈夫か、おっさん」
ぼっちゃんがおっさんを起こす。
「ああ……けど、どうすれば」
鴉は悩んでいた。
自分たちの力を全て集めたとしても勝てる方法が浮かばない。
「……それでもやるしかねえ」
「君にしてはノープランだね」
「笑うなよ」
しかし、次第に余裕を取り戻していく。
そしてぼっくんとクレトが飛び出した。
「使い方次第でチートアタック!」
「無双アタック!」
2人の必殺技がギャークバーリにヒットする。
だが……。
「どうした? ワシはピンピンしているぞ?」
微動だにしていない様子だった。
驚愕する2人。
「はあ!」
「があ!?」
「ごほっ!?」
ギャークバーリが手を横にはらうと、大爆発が起こった。
盛大に壁に打ち付けられるぼっくんとクレト。
「クレトくん! ぼっくん!」
鴉が2人を助けようとギャークバーリの前に出る。
「ハイパーチートマジック!」
「きゃあああああ!?」
「みんなー!」
だが、ギャークバーリの攻撃は鴉には向かわず、後ろにいたその仲間たちへと降り注いだ。
全員地面へと倒れ伏している。
「フハハハハ、これで1対1だな」
「くっ」
鴉が苦渋の声を漏らした。
「おっさん、気を付けろ!」
ぼっちゃんが何とか立ち上がり、鴉へとエールを送る。
「うおおおおおおお!!!」
「うおおおお!!!」
鴉とギャークバーリ。
2人に衝突に激しいエネルギーの光が世界を埋め尽くした。
「があああああ!?」
だが、敗北したのは鴉だった。
衝撃で吹き飛ばされていく。
「かつてのワシもその程度か」
「おっさん!」
「鴉さん!」
仲間たちも駆けつけようと体を起こそうとするが、力が入らない。
「終わりだ!」
「ッ!」
ギャークバーリによるトドメの一撃が鴉へと迫らんとした―――。
「はぁ!」
―――その時だった。
「……なっ」
ギャークバーリの手刀は、何者かによって掴まれていた
「老いたわね、おっさん」
忽然と現れた謎の美少女。
その存在にギャークバーリが激しく驚く。
「そんな……まさか!」
「そうよ! そのまさかよ!」
体をひねりながら美少女はギャークバーリを投げ放った。
しかし、くるりと何なく空中で体勢を整え、地面に着地する。
だが、ギャークバーリの表情は変わらなかった。
「びっちゃんだと……!」
その正体に動揺していたのだ。
「びっちゃん!?」
それは鴉たちも同じであった。
「どうやってここに……」
ぼっちゃんが疑問を口にする。
かつての恋人が現れたことに、様々な思いを巡らせていた。
「儂じゃよ」
そしてさらに誰かが現れた。
「あ、あんたは……」
それは紳士然とした老年の男性だった。
「じっちゃん! じっちゃんじゃないか!」
鴉たちは驚愕した。
「チッカークの現皇帝が、なぜ……」
マホツがそうつぶやいた。
じっちゃんがぼっちゃんの横に並ぶ。
「ナ・ローが復活したことにより儂も全てを思い出したのだ」
「彼に誘われて加勢に来たってわけ」
びっちゃんが鴉を連れて下がってきた。
そして軽々と下ろされる鴉。
「なるほど……だが、お前が俺たちに手を貸す理由はなんだ?」
疑念を込めた質問をするぼっちゃん。
かつて願いをかけて死闘を繰り広げた間柄の2人には、因縁があったからだ。
「何、この世界を守るため……と言う理由は信じられんかね?」
「……は?」
しかし、意外な返答にぼっちゃんが気の抜けた言葉を出した。
「儂も老いたということだ」
争う意思がないことに気付いたのか、ぼっちゃんは小さく息を吐いた。
「ちっ……なら頼りにさせてもらうぜ」
これで状況が一変した。
頼もしい仲間を加えたことにより、鴉のメンタルも回復していく。
「フン……だが、1人2人増えたところで何になる」
「それはどうかしら?」
ギャークバーリの物言いにハッキリと答えたびっちゃん。
そしてぼっちゃんへと向き合い、手をの差し出した。
「ぼっちゃん……」
無言の会話がそこになされた。
2人の間にはこれまでの思い出が交錯しているのだろう。
「びっちゃん……」
目を閉じ、びっちゃんの手を取るぼっちゃん。
「一緒に、戦いましょう」
「っ……ああ!」
そして鴉と3人、横に並ぶ。
「じっちゃん。俺の神聖、一時的に預けた」
「命が惜しくないのか?」
「聞かなくてもわかれよ」
今までにないくらい晴れやかな顔をしているぼっちゃん。
「……わかった。死ぬなよ」
じっちゃんはぼっちゃんから何かを受け取り、後ろへと下がった。
「ぼっちゃん、びっちゃん」
鴉は懐かしさに浸っていた。
そして2人へ想いを込めて名前を呼んだ。
「いくぜおっさん」
「ああ!」
同時に飛び出す3人。
ギャークバーリは冷静にその攻撃を捌こうとする。
「ぬっ―――」
「ハッ―――」
「シッ―――」
しかし、想定より素早く、力強い攻撃に翻弄されていく。
パワーでは圧倒的にギャークバーリが勝っている。
だが、数の力。
そして見えない力が鴉たちに働いていた。
「何だかこうしてると、昔を思い出さない?」
「ああ……あれはおっさんが転生して間もない頃か」
「スローライフしてた時期だね」
戦闘のさなかだと言うのに、思い出話に花を咲かせる3人。
「あの時もこうやって力を合わせて戦ったわ!」
「懐かしいな!」
「ぐっ……ちょこまかと目障りな!」
「魔剣クワスカリバー!!!」
「がはっ……!?」
ぼっちゃんの攻撃により、浅い傷がギャークバーリについた。
しかし、確かな手ごたえを感じている3人。
「さあ、反撃開始だ!!!」
「「応ッ!!!」」
物語は最終局面へ突入した。
はたして、《転聖戦争》の勝利者となるのはどちらの陣営なのか。
《おっさん》の物語の最後が訪れようとしていたのであった―――。




