第十五話 紅蓮の騎士《後編》
2020年春アニメがはじまりましたね。
個人的には、《かくしごと》が非常に安定感があって良いなと思いました。
なろう的には、《はめふら》と《八男》がホットなワードでしょうか。
《はめふら》は作画も良くてOPもangelaが歌ってて色んな意味で笑いました。
流石にファフナーにはならなかった……。
街の外、暴れても大丈夫そうな場所まで移動したぼっくんたち。
激しい戦いが始まっていた。
「エンジェルダイナマイト!!!」
エイトから光のミサイルが雨のように放たれる。
それを見たマホツが《メイガス》の周囲にバリアを展開させる。
キツカたちへと降り注いだミサイルはバリアへと着弾し爆発していく。
黒煙と土煙が視界を閉ざしていた。
「無双アタック!」
その煙を抜け、クレトが剣を構えて飛び出してきた。
セブンへと切りかかる。
「効かねえなっとぅ!」
「がはっ……!?」
「クレトー!!!」
開幕クレトはセブンのカウンターキックを食らってしまう。
スーパーボールのようにバウンドしながら彼方へと吹き飛んでいった。
「これがチートを持つ者の力……!」
キツカは戦慄していた。
自身が持つ力とは次元が違うと肌で感じる。
「はああああああ!!!」
ぼっくんが駆る銀色の《テン・プレ》が剣を構え突進する。
「愚直な……そんな攻撃が通用するとでも―――」
エクスピが迎撃しようと光の盾を召喚する。
その光の盾が巨大なロングソードの一撃を防ごうとしたその時。
「―――なっ」
盾が剣を弾いた瞬間、《テン・プレ》の背後から何かが飛び出し、エクスピが驚きの声をあげた。
ニヤリと笑みを浮かべるぼっくん。
「甘いですね……!」
「オールレンジユニットッ!」
《テン・プレ》の背に隠れていた《アー・カイブ》の6つのオールレンジユニットが、エクスピの背後を捉えた。
いろんな角度から光のビームがエクスピを焼いていく。
「ちっ!」
エクスピは即座に盾を複数個召喚する。
当たっていたビームはそれに全て防がれていく。
「少しはやるようですね」
後方にいた《アー・カイブ》が《テン・プレ》の横へとやってくる。
「どんな力も使い方次第でチートになりえるんです。勉強になったでしょう?」
ぼっくんが誇らしげにそう言った。
「ええ。ムカつくくらいには、ね!!!」
「ッ!」
エクスピは《テン・プレ》の背後へ一瞬で出現した。
突然の出来事にぼっくんとシスタは驚愕の表情を浮かべながらも、素早い反応で距離を取る。
「一体、いつの間に……」
「これが私のチート。時の力を使い、ここまで来る時間を限りなくゼロにしました」
「くっ……まあそれくらいはできちゃいますよね」
「ファンタジーにもほどがあるんじゃない?」
焦るぼっくんとシスタとケイ。
さっきまでの勢いが落ちていった。
「アハハハハ! 戦うのって最高ッ!」
「きゃああああ!!!」
エイトとセブンの猛攻が《メイガス》へと襲い掛かった。
光の槍が何本も作り出されてはセブンがそれをポイポイと投擲していく。
積み重なるダメージを受け吹き飛ばされていく《メイガス》
「くっ……キツカ、頭とか打ってませんね?」
「大丈夫……それよりも、《メイガス》の力がまったく通用してない」
「ええ……まさかここまでとは」
機体を起き上がらせながら思案する2人。
まるで勝てる手段が思い浮かばないといった顔をしている。
「おい、エイト。俺の分も残しとけよ」
「ええ、さっきあの雑魚いのやらしてあげたじゃん」
「弱すぎてつまらなかったんだよ」
余裕の表情を浮かべるエイトとセブン。
無邪気な子どもが遊んでいるかのような光景に、キツカとマホツはゾッとした。
「サイキックパワー!」
キツカの超能力が《メイガス》を通じて増幅される。
物体を切り裂く風の刃となり、エイトとセブンへと切りかかる。
「はっ、それだけか。避けるまでもねえぜ」
「そんな……あれだけの威力を防ぐなんて」
「これがチートの力だ!」
「くそ!」
だが、その力もチートを持った2人には傷をつけることにも至らなかった。
「デカい図体でも大したことないな!」
「僕知ってる。そういうのって宝の持ち腐れって言うんだよね~」
煽りが止まらない。
ぐぬぬとうなるキツカとマホツ。
「落ち着こう。焦ったらあの人と同じで横格しか振らなくなる」
「ですね……」
しかし、どこかの誰かを反面教師に冷静さを取り戻した!!!
やった!!!
「だけど……どうすれば……」
依然戦況は変わらない。
2人は悩む。
「私が……」
キツカが声を漏らす。
「私が《メイガス》の性能を100%引き出せれば……」
「キツカ……」
悔しさのあまり、唇をかむキツカ。
「あなたたちの仲間もちゃんと殺してあげるから、安心して死んでいいよ!」
無邪気な笑みを浮かべなら、エイトがそう言った。
その言葉を聞いたキツカは目を見開いた。
怒りを感じているのか、操縦桿を握る手が震えていた。
キツカを覆っていた焦りが消えていく。
「《メイガス》……あなたに人の心を感じる力があるのなら……」
誰でもない。
《メイガス》というNB、兵器へと語りかけるキツカ。
「私に力を貸して!!!」
だがその時、キツカの言葉に答えるかのように《メイガス》の目が淡く光りを放った。
そして《メイガス》の全身から赤いオーラが噴き出していく。
「こ、これは……」
マホツの目の前につけられたモニターに表示されていた数値が変動する。
「ブックマーク・ドライブの出力がさらに上がっていく……」
《メイガス》の全身から赤い光がほとばしる。
「やっと分かった……あなたの力の意味」
キツカの瞳に強い意志が宿る。
「はああああああ!!!」
雄たけびを上げるキツカ。
ロッドメイスを握りしめ、天高くかかげる。
赤いオーラがメイスへと注がれていった。
「っ、セブン」
「わぁってる!」
それに何か危険を察知したのか、セブンとエイトが瞬時に《メイガス》との距離を縮める。
「何かわかんないけど、これでおしまいだ!」
エイトが巨大な光の槍を造り出した。
「死ねぇ!」
それをセブンが持ち上げ、天高く飛び上がり投擲した。
高速で飛来する光の槍。
「キツカァ!」
「うおおおおおおお!!!」
《メイガス》が赤く変色したロッドメイスを構え、少し位置をずらす。
そしてジャストタイミングでその光の槍をバッティングする。
「なっ……!?」
「いっけぇぇぇぇぇぇーーー!!!」
視認できないほどの速さで、打ち返された光の槍がセブンにクリティカルヒットした!!!
「そんなバカなアアアア!?」
「セブン!?」
チートに匹敵する一撃を食らい、光の粒子になって消えていくセブン。
「はぁはぁ……やった……」
「これで残るはエイトとエクスピだけです!」
「よくもセブンをぉぉぉぉ!!!」
「あきゃああああ!?」
だが、力を使い尽くしてしまったのか、《メイガス》の動きが鈍くなっていた。
エイトの攻撃を食らい吹き飛ばされていった。
「まずっ―――」
エイトの追撃を回避できない―――。
そう直感するキツカ。
ドクンと心臓が跳ねる。
「死ねよぉ!」
《メイガス》の胴体をエイトの攻撃が貫かんとした―――。
「なっ……」
その時だった。
「無双……アタック」
満身創痍の体を引きずり、クレトが全速力で間に入って必殺技を繰り出したのだ。
「クレト!」
「クレトさん!」
一瞬呆気にとられたエイトだったが、すぐに余裕を取り戻す。
カウンターを決めようと射程圏外に一歩下がった。
「その技は、もうみ―――」
だが―――。
「卍バースト!!!」
剣からエネルギーの奔流がエイトへ向かって放出される。
それをもろに食らい、何が起こったのか分からないといった顔にエイトがなった。
「き……った?」
まるで想定していない行動に未だ思考がまとまっていないエイトに追いつくクレト。
「……終わりだ」
そしてエイトに向かって剣を全力で振るった。
「そ、ん……な」
チート級の一撃を食らい、光の粒子になって消えていくエイト。
そしてクレトが血だらけになったその腕を天へと突きあげた。
「これが、真の無双だ……!」
クレトはフラフラと倒れこんでいく。
それを見たキツカとマホツが機体から出てクレトの元へ駆けつけた。
マホツが体を抱え起こし、息があることを確認する。
「はは……」
「全く……無茶する人ですね」
「誰かに似てきたね」
何とか2人の敵を倒した3人であった。
「アハハハハ!!! さぁ、踊り狂いなさい!」
いくら攻撃しても一瞬で離れた場所へ移動していくエクスピ。
翻弄され、ぼっくんとシスタたちはいつしか背中合わせに機をうかがっていた。
「どうします……あの力、厄介にもほどがある」
「こっちはこの図体であっちは人間サイズ。攻撃を当てるのも大変なのにそのうえ瞬間移動だなんて」
相談タイムに突入した。
「あれが時の力の真髄、ですが……」
しかし、意外にもシスタの表情に曇りは無かった。
「何となく分かってきました。エクスピが瞬間移動する時、時の力の流れが生じます」
「それを、あなたは読むことができる?」
はい、と答えるシスタ。
「操縦を止めて全神経を集中すれば、何とか」
具体的な作戦が決まり、気合が戻ってきた3人。
「なら、その間私と」
「僕が時間を稼ぎますか」
「お願いします」
覚悟を決め、再び敵へと向き合う。
「何をコソコソやってる!」
エクスピから放たれたビームを《テン・プレ》が盾で防ぐ。
そして《アー・カイブ》の背部についたままのオールレンジユニットによる射撃で牽制していく。
一瞬で回避されるが、再度現れた場所を狙い撃ち続けていく。
「ちっ、なんて正確な射撃……!」
エクスピが舌打ちをしながら瞬間移動を繰り返す。
「でやああああ!!!」
さらに《テン・プレ》が剣を振るい続け、さらに攻撃の隙を与えない。
「何度やっても無駄です。あなたたちが私の先を行くことはあり得ない」
エクスピが手をゆらりと振るうと、光の球体が無数に現れた。
「なに……!」
無軌道に動く球体が《テン・プレ》に当たると、激しい爆発を起こした!!!
「がああああ!?」
ぼっくんの悲痛な声が響く。
《テン・プレ》の装甲が穴だらけに変貌していった。
「ぼっくんさん!」
「集中して!」
「くっ」
「所詮は人の身。チートを持った上位存在には敵う道理もない」
「……それ、でも」
「む」
ボロボロになりながらも、何とか剣を支えに起き上がる《テン・プレ》
「僕は……諦めない」
「愚かな……」
「そんなこと……勝手に決めつけるなぁぁぁーーー!!!」
爆発の嵐を抜け、くすんだ銀色の《テン・プレ》が駆ける。
「使い方次第でチートアタックッ!!!」
「遅い!」
満身創痍の体で放たれた《テン・プレ》の攻撃は、難なく回避されてしまう。
攻撃が空振り、地面に倒れ、パーツが分離しながら滑っていく。
「ッ! ケイさん! 3時の方向! 上空に来ます!」
その時、《アー・カイブ》のオールレンジユニットが機体から分離し、今は誰もいないポイントを取り囲む。
「な―――」
「くらいなさい!」
360度からのレーザー照射がエクスピへと迫る。
「―――んてね、それくらい反応できるんだよぉ!!!」
だが、一瞬で光の盾を周囲に展開する。
オールレンジ攻撃はすべて弾かれてしまう。
「残ッ! 念ッ! でしたッ!」
エネルギーが切れ、オールレンジユニットが停止する。
それにともない、光の盾も役目を終え消える。
「そう、あなた、残念ね」
エクスピのすぐ後ろから、ケイの声が響いた。
「え」
エクスピが自分の体の異変に気づき、目を見開いた。
「最後の切り札は、最後までとって置くものですよ」
「それがあなたの敗因」
《アー・カイブ》は一瞬でエクスピの背後に転移し、腕に展開させた光波剣でその胴体を断ち切っていた。
ブックマーク・ドライブによる時空転移を発動したのだ。
「そ、んな、ばか―――」
体が崩壊を始め、地面へと落下するエクスピの体。
「ブックマーク・ドライブ。思いの結晶体。これが、人間が持つ思念の強さよ」
「ギャーく……バーリさ……」
「眠りなさい、その力は、あっても不幸なだけです」
そして、最後の1人エクスピも光の粒子になって消えていった。
ぼっくんは頭から血を流し、体中を傷めながらも機体の外へ這い出る。
「やれやれ……ホント、頼りになる仲間たちだ」
《テン・プレ》の残骸に背中を預けながら、ぼっくんはそうつぶやいた。
「おーい! 大丈夫かお前ら!」
「みんな! よくやった!」
気が付けば街の方から鴉とぼっちゃんが手を振りながらこっちへと来ていた。
戦った全員が腕を天に突き上げ勝利を告げる。
こうしてこの戦いは終わった。
だが、さらなる脅威が待っていることを、彼らはまだ知る由も無かったのだ―――。




