第十五話 紅蓮の騎士《前編》
勝手にオススメゲームソングその2
あなたの風が吹くから:名作ロックマンDASHの主題歌。全部歌詞書けないんであれですが、うぬぼれさえも~に続く歌詞が至言だと思いました(小並感)
3はどこへ……。
get the regret over:闘神都市3の主題歌。物語も後半か!?と思っていた時、まだまだ続きますと言わんばかりに流れ出すOP。聞くまでだいぶ時間がかかるがうおおおお!!!って熱くなりました。剣戟に合うカッコいい曲。
チッカーク帝国では、未だに戦争の傷跡が大きく残っていた。
普段は酒場で働くびっちゃんも、兵士たちに交じって瓦礫やゴミの撤去を手伝っていた。
「よい、しょっと」
普通の人なら持ちきれない量の瓦礫を軽々と台車に載せていく。
ふうっと、腰を叩きながら一息ついていた。
まるで農民時代に戻ったようだとびっちゃんは昔を懐かしんだ。
「大丈夫ですかびっちゃんさん?」
一緒に作業していた兵士の1人が心配そうに声をかけてきた。
「ええ。できる人がやらないとね!」
心配かけさせまいと元気を振り絞るびっちゃん。
「とても助かります」
兵士は深く頭を下げ、台車を引いて行った。
びっちゃんも他の作業へ行こうとしていると……。
「失礼、お嬢さん」
不意に後ろから声をかけられる。
老年の男性の声だ。
「はい……何でしょう―――」
「少し、お力をお借りいただけますかな?」
びっちゃんは顔を合わせた老人を見てハッとする。
「あ、あなたは……!」
その時、びっちゃんの脳裏には様々な思いが交差するのであった。
ミカータ王国、訓練所。
「ぜえぜえ……」
「はあはあ……」
《転聖戦争》に参加する面々がNBに乗って訓練していた。
ぼっくんは急遽届いた《テン・プレ》に乗っている。
クレトくんだけは生身でやっていた。
すごい。
《アー・カイブ》にはぼっちゃんに代わり、ケイさんがサポートで乗っている。
神が戦場にでるわけにはいかないので妥当だろう。
「何とか連携が形になってきたな」
あれからとにかくチーム戦の練習をしてきた。
俺とぼっちゃんは離れたところからそれを観察している。
新たに加わったぼっくんたちとの連携は今のところかなりいい線いっていると思う。
「もともと何だかんだできてたからね」
幾多の世界でめぐり会ってきた俺たちだ。
あまり心配しなくてもいいだろう。
「ちょっと休憩すっか」
全員に疲れが見えたので、いったん訓練を中断させる。
NBに乗っていた人たちが一斉に降りてきた。
ぐでーっとしている。
すると、キツカちゃんが事前に用意していたのか、水筒を何本か持ってきた。
「みんな、お水」
それらをみんなへと配っていく。
えらい。
「ありがとうサイさん」
「もうのどがカラカラだ」
ありがたく受け取っていくメンバーたち。
何だかほほえましい光景だ。
「おっさん」
するとぼっちゃんが肩に手を置いてくる。
どうした。
「ぼっちゃん? どうしたの」
「いや……少し話でもと思ってな」
何となくマジメな雰囲気をだしている気がした。
「いいね」
俺はぼっちゃんとその辺に散歩に行くことにした。
「……長い旅だった」
月を見ながら俺たちはその辺を歩く。
そしてぼっちゃんがつらつらと喋り始めた。
「俺はシスタのいた世界で神になった。その時全部思い出したよ。この世界のこともな」
ノスタルジックなことを言うぼっちゃん。
今までの記憶が、数々の《おっさん》の想いが脳裏を駆け巡っていく。
その中の1つの世界で彼は人の身から神になった。
まあ、もともと彼はそうだったのだが。
色々あってすべての神々も転生してしまったからな。
「うん……。そして、オリジンが《かつての世界》の続きを創って……俺たちはこんなことになってる」
そう、いつだっただろうか。
おっさんが王となり、道を踏み外そうとしていた世界があった。
その時はショーくんに道を正され、新たな世界へと旅立つことができた。
だからあの世界の物語が続くことはなかったはずだった。
けどオリジンは何らかの方法でおっさんの体を復活させ、新たにあの世界の続きであるこの世界を創り上げた。
「ある意味、因果応報か」
「かもね」
だからこそ、俺たちが立ち向かわなければならない問題なのだ。
そして数分、無言のまま時間が過ぎていく。
だが、気まずさを感じることも無い。
どこか心地いい時間が過ぎていった。
「なあ」
「なに?」
気が付けばぼっちゃんが俺を真剣な眼差しで見ていた。
「俺、お前に会えて本当に良かったと思う」
そして普段の彼なら絶対に言わないであろう言葉を言ってきた。
お前からそんな殊勝な言葉が出てくるのにびっくりだよ。
「何だよ、藪から棒に」
「最後かもしれないだろ?」
ハッとする。
ぼっちゃんは俺が普通の人間じゃないことを一番わかってるんだ。
「……」
そうだ。
この戦いが終わったら俺は消えるだろう。
なぜなら、奴を倒すことこそが、俺がこの世界に現れた意味なのだ。
みんなとの絆が俺をここにつなぎとめている。
でも、それももう限界が来ているのだ。
俺の中の命の灯火が消えかけているのがわかる。
「絆の力……その本当の意味を俺はお前から教わったんだ」
今までにない穏やかな笑顔でそう言ってくれた。
何だかとてもうれしい。
俺は涙が溢れそうになるのをグッとこらえた。
「それは違うよ……みんながいたから、今の俺がいる。ぼっちゃんが俺を転生させなかったら、始まらなかった物語だ」
これは俺の嘘偽りの無い気持ちだった。
「だから、俺も言うよ。ぼっちゃん」
手を伸ばし、ぼっちゃんに握手を求める。
そして目を見つめながら、俺は言う。
「君に会えて、本当に良かった」
ぼっちゃんは感慨深そうに俺の手を握り返してくれる。
しばらくそのままでいた。
やがてお互いの手が離れる。
「ちっ、目に塵が入りやがった……」
ぼっちゃんが天を仰いでいた。
それがどんな意味を現しているのか、わかっているつもりだ。
再度胸の仲が熱くなる。
「わりぃ、ちょっと顔、洗ってくるわ」
そう言ってポケットにてをっつこみ、俺の後ろへと歩いていく。
「ああいっトイレ」
俺はそれをいつものように見送る。
ツッコミは帰ってこなかった。
「ぼっちゃんさんとどんなお話をしていたんですか?」
しばらく1人で黄昏ていると、少女が俺に声をかけてきた。
「シスタ」
まるで慣れた動作で俺の横に並んできた。
いつかの光景がフラッシュバックする。
キャンプしてた思い出が蘇ってきた。
何もかもが懐かしい。
「まあ、男同士の話しをね」
「ふうん。何だかあの人が羨ましいです」
ええ……。
不安だ。
「どこが」
「私の知らないおっさんを知っているから」
シスタが少しうつむきがちにそう言ってきた。
いいねを押してあげよう。
WEB拍手のほうがいいかい?
「照れるね」
「ねえおっさん」
シスタが俺を見つめてきた。
いやん。
見ないでくだしゃい。
恥ずかしいでしゅ……。
「これが最後の戦いになるんですよね」
「ああ……決着をつけないといけない。この世界の平和のために」
何だか最終決戦前夜の会話みたいになってきた。
あながち間違ってはないが。
「せっかく会えたのに、ほんの少ししか一緒にいられないんですね」
シスタも俺がどうなるのか薄々気づいているようだ。
彼女がどんな時間を過ごし、どんな想いで俺に会いに来てくれたのか創造すると胸がいたい。
「ごめんね」
俺は謝罪することしかできなかった。
もし俺があの世界のおっさん自身だったら、ありがとうを言えたのだろうか。
「いいんです。あなたを想って旅をした時間は、私の大切な思い出ですから」
しかし、シスタはなんでもないようにそう言った。
つよい。
そして俺の体に体重を預けてきた。
「だからどうか今度は、最後まであなたの隣で一緒に戦わせてください」
そう言って、しばらく温もりを感じ合った。
変な意味じゃなくてね。
「ありがとう。頼りにさせてもらうね」
「ええ。だって私たちは……」
「真の仲間、だからね」
そう。
俺たちは心がつながっている。
それは確かなことだった。
「フフフ」
「ははは……」
何となく笑いがこみ上げてきた。
「おーい何やってるんですか!」
すると遠くからぼっくんが声をかけてきた。
みんなも一緒のようだ。
「休憩はとっくに終わってるぞ」
「ぼっちゃんが呼んでる」
クレトくんときつかちゃんがダブルアタックしてきた。
シングルタスクなんだよ俺は。
シスタと2人、顔を見合わせる。
「行きましょうか」
「うん」
そうして、みんなの元へと歩き出した……。
その時―――。
「ッ、このプレッシャーは!」
ぞくりと背筋に雷が落ちたような感覚がやってきた。
みんなも同じものを感じているようだった。
「来たのか!」
クレトくんが真っ先に駆け出し、その正体へと迫っていく。
訓練場へ戻るとそこには3人の少女と、それに対峙するぼっちゃんがいた。
「クックック……初めまして、私はオーエス・ウィンドゥ・エクスピ」
「俺はオーエス・ウィンドゥ・セブン」
「僕はオーエス・ウィンドゥ・エイト。よろしくね、雑魚のみなさん」
お姉さんタイプとボーイッシュタイプと活発タイプの少女たちだった。
オーエスと言う名のとおりならこの子たちも預言書なのか。
ぼっちゃんがざっと前に出ていつもの強気顔になる。
「一気に3人もけしかけてくる割に、肝心のギャークバーリは引きこもってんのか」
煽りよる。
「あの方はやることがあるのよ。それに、あなたたち程度私たち預言書だけで十分」
「ニセンを倒したくらいでちょーしに乗らないでよねー」
「俺たちはあんな型落ちとはワケが違うんだよ」
だが、余裕なのはあっちも一緒だった。
力を解放したのか、オーラが膨れ上がっていく。
やばい。
「この力……本当にニセンの比じゃない……!」
俺も鳥肌が立ってきた。
「口先だけじゃないってことか」
ぼっちゃんも少し表情が曇っていく。
みんながそれぞれ自分の機体へと急いで乗り込む。
「《メイガス》!」
「《アー・カイブ》!」
古代のNBに至ってはキツカちゃんとシスタの声に反応し、自分で迎えに動いていた。
「ケイさん! 頼みます!」
「全く、仕方ないわね!」
キツカちゃん、マホツさんが《メイガス》へと。
シスタとケイさんが《アー・カイブ》へと乗り込む。
「《テン・プレ》……またこの機体に乗るなんてね」
ぼっくんが懐かしそうに銀色にカラーリングされたテン・プレを見つめる。
「銀騎士復活ってやつか」
「懐かしい名だ」
クレトくんとハイタッチし、機体へと乗り込んでいった。
その姿はまるで、歴戦の戦士の風格を出していた。
戦う準備ができたのでファイトの流れになる。
「オラぁ! 死ねよ雑魚がぁ!」
いきなりボーイッシュタイプ、セブンがビームを撃ってきた。
「回避ィー!」
散開して避ける仲間たち。
訓練場の壁をつきぬけ爆発を起こした。
「ここじゃ街に被害が出る! 外へ出ろ!」
「応ッ!」
ぼっちゃんの声を聞き、一斉にブーストジャンプで外を目指す。
「逃がすか!」
それを追いかけるエクスピ達。
「おっさん! とりあえずこっちに避難だ!」
「くっ、了解」
俺たちがいても邪魔にしかならない。
外を見渡せる場所へと移動する。
《転聖戦争》の第2幕が始まろうとしていた。




