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6.生活の向上

切っていると、ある事が分かった。

この大きな玉は、中に空間があってその中に水分がたっぷり入っているという事だ。

切っている途中で、水が溢れてきた。


そこで気付いた。


これ何かに似てると思ったら、ヤシの実だ。

大きさが全然違うけど、似てる。

もし、ヤシの実ならこの水分は飲めるはず!


もう、喉もカラカラで水分を(ほっ)していた所、やっと飲めると思い、口に付けようとした。


…いや、待てよ?


口を付ける一歩手前で止める。

もし、ヤシの実と違って別の何かだとしたらそれに毒があるとしたらと最悪の場合を予測する。

この実が密封されているとはいえ、この世界は全然知らない事ばかりだ。

何が起こるか分からない。

これからは、口にする物は浄化を使おうと心に決めた。

とりあえず、これはヤシの実(仮)としよう。


少し飲みやすく切り口を切って広げた。

そして、ヤシの実(仮)に浄化を使う。

すると、殻の部分は茶色から綺麗な青色に変わり、中の水分は見える範囲で切った時に入ったと思われる殻の粉が無くなった。


これでやっと飲める。

ヤシの実(仮)を(こぼ)さないように抱きしめて、ゆっくり口にする。


んーーー!美味いっ!


久しぶりの水分が身体に染み渡っていく。

味はスポーツウォーターの様な塩分が含まれているような味がした。

これは、ちょっと取っておきたい味だ。


しかし、殻を入れ物にするには全部飲み干さないといけない。

今回は諦めてまた見つければいいかとグッと飲み干した。


水分が無くなった殻を切り口から半分にする。

水分が無くなって軽くなり、切り口がある分切りやすくなった。

切り口はギザギザだけど割と早く半分に切れた。

これで2つ分の入れ物が出来た。

これを持って水分を確保しに行く。

いつ、(のど)(かわ)いてもいいように今のうちに取りに行った方がいいと思ったからだ。


それに腹も減った…

何か食べれる物も探したい。

今現状、無味無臭の赤い実が少しあるだけだ。


洞穴を出てアンブルに襲われないように光を照らしながら川に向かう。

道中にまたヤシの実(仮)が落ちてないか探しながら歩く。

特に何もなく、川に着いた。

殻の入れ物を使い、水を掬う。

一つ目の入れ物に水を入れて気付いた。


これ二つ持ってきたけど、一つ持つだけできついわ…


そう思った時、川からポチャンッと音がした。


ん、なに?

まさか、川にもアンブルがいるの?

でも、普通の魚だったら焼いて食べたら美味しいだろうなぁ…


想像しただけで涎が出そうだ。


アンブルか普通の魚か確証が持てない為、今はどうする事も出来ないと思い、水を入れた一つの入れ物の上にもう一つの空の殻をセットして帰る準備をしようとした横で何かが動いた。


ん?次は何?

砂に潜ろうとしている何かを思いっきり砂ごと掴んだ。

砂を落としてそれが徐々に姿を(あらわ)した。


か、貝だ!

って川に貝?


白い二枚貝が川の横の砂に潜ろうとしていたのだ。


これって食べれたりしないかな?


でも一つだけだと全然腹は満たされない。

今の現状何も食べれていないのでこの貝を取れる分だけ取っておきたい。


周りの砂を確認する。

よく見たらウヨウヨとちらほら砂が微妙に動いているのが分かった。

それを一つずつ砂ごと掴んでいく。


これは貝の取り放題だ!


あれもこれもと取っていると楽しくてつい集中してしまった。

気付いた時には50個以上の貝が取れて、ズボンの両ポケットが膨らんでいた。


これで腹は膨れそうだ。


疲れたので入れ物を持って川を後にした。

洞穴に戻ると、水の入った入れ物を横に置いてポケットから貝を取り出して一ヶ所にまとめて置く。


早速、取ってきた水を浄化で綺麗にする。

その後に貝も浄化で生で食べてもいいように殺菌する。

すると、貝が開いて黒いモヤがモワーンと出てきて消滅していく。


何だこれ?


全てではないが、半分以上の貝から黒いモヤが出てきた。

開いた貝は中身が空っぽになっていた。


なんで!?

もしかして、黒いモヤはアンブルだったのか…

はぁ…

まだ、食べれそうな貝があるだけでもマシだと考えよう。


意気消沈しながらも、食べれる貝だけ移動させる。


そういえば、アンブルを浄化させたから神格が上がっていないか確認する。

これで上がっていれば、アンブルを倒すと神格が上がるという

検証が成り立つ。


模様を確認する。


少し大きくなったような…


余りにも微々たる差だったからよく分からなかった。

カードを確認した方が早いとポケットからカードを取り出して見た。

神格の所が3になっていた。


上がってる!

やっぱり、アンブルを倒すと神格が上がるんだ。


何か出来る事が増えてないか見ると、こんちゃん商店という文字が増えていた。


こんちゃん商店!?


商店って事は何かを売ってるんだろうけど、こんちゃんとまた会えると思うと良いような疲れるようなそんな気がした。

しかし、光と何が関係してるんだ…?

考えても店には明かりくらいしか分からなかった。


まぁ、使えるもんは使おうとこんちゃん商店を想像する。

急に目の前にノートパソコンが出てきた。


パソコンの中心に白い狐の肉球マークが付いている。

ノートパソコンを開くと、(光を充電して下さい)と出てきた。

ノートパソコンの横には付属品として太陽光パネルのような物があった。


なるほどな。

光を電気に変えて使えって事か。


ちょうど灯の能力でその光がエネルギー源となり、ノートパソコンが起動した。

画面には検索欄の文字が出てきた。


今必要なのは貝を焼いて食べたいから火が欲しい。

光でも熱は発生出来そうだけど、今の能力だけでは火はまだ難しい。

サバイバル的な環境でこんな事言うのもあれだけど時間が掛かるのは正直やりたくない。

だから、ライターかチャッカマンそれと着火剤があれば尚良い。


検索欄に火を付ける物と打って、検索を押す。

検索結果に火付け道具と出てきた。


ライターかチャッカマンはないか探す。

探しても中々ないので、最悪マッチでも良いから何かないか見たが見た事がない物ばかりで普通の知ってる物が売られていなかった。

火付け道具の一番上にオススメ商品と書かれている物は火鍋だった。


火鍋で思い付くのは、ある国の鍋料理だ。

しかし、火付け道具と書かれているから多分違うと思うけど…

買ってみないと分からない。

というか、どうやって買うのこれ?


商品の下に狐の顔マークが付いていた。


これかな?と思い、ポチッと押すと何も無い所から扉が現れた。

そして、扉が開いた。


「久しぶりなのん!」


こんちゃんが鍋を持って現れた。


「こんちゃんっ!」

「この世界はどうなのん?」

「どうなのんって最初は怖かったけど、何とかなってるよ…それより、それって火鍋?」

「そうなのん。あ、言わないといけない事があったのん。」

「え、なに?」

「この度は当店をご利用頂きありがとうなのん。当店では、お客様に商品と同等の価値の物と交換する形で売ってるのん。」

「そうなんだ、でも俺その火鍋と同等の価値の物なんて持ってないよ。」

「今回は初回サービスなのん。その貝の殻全部と交換でいいのん。」

「こんなのでいいの?」

「特別今回だけなのん。」

「こんなのだったらいくらでも持って行っていいよ。」


ゴミを持って行ってくれて、火鍋も貰えて一石二鳥じゃん!


「交換成立という事でワイは帰るのん。」


こんちゃんは火鍋を置いて、空の貝殻を持って帰った。


こんちゃん商店便利かも知れない。

それにしても、この火鍋どう使えばいいんだ?


火鍋の蓋を開ける。

中に紙が入っていた。

紙には使い方と書かれていた。


これ読めばいいのか。

えーっと、火鍋に食材を入れると火が点きます。

続きは…えー、それだけ?

まぁ、試しにやってみるか…


木の枝を置いてその上に火鍋を置く。

中に貝を入れる。

すると、鍋の下に火が点いた。

鍋といえば、焼くというより水炊きかなと思い水を入れる。

水と貝だけでシンプルだけど貝の出汁が出ていい気がした。

グツッグツッと沸騰して来たら貝の匂いがして来た。


今はこれぐらいしか出来ないけど十分だ。

俺は別に美食家ではないし、こだわりもそんな無い。

これはこれで良い貝のスープが出来た。


殻の入れ物に火鍋ごと傾けて貝スープを注いでいく。

鍋のスープが全部入れ物に入ったら火は消えた。

それと同時にぐぅ〜っとお腹が鳴る。

変なタイミングでお腹は鳴ったけど空き具合はバッチリだ。

この空き具合なら減りすぎて何でも美味しく感じるはずだ。


まずはスープから殻の入れ物を持って口に運ぶ。

ゴクッと一口。


美味いっ!

うん、この貝いい出汁が出てる。


次に貝の身を食べる。

落ちていた木の枝をを使って(はし)の代わりにする。


浄化を使えば落ちていても大丈夫だろう。

これも美味い。

身は少し出汁に旨みが出て薄い味だけど腹が減っているから関係なかった。

黙々と貝のスープを食べた。


あ〜、美味かった!!


俺はそのまま、横になり目を閉じて眠った。



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