4.暗闇の世界
ギィーーーーーッと扉が開く音が鳴る。
扉を開けると、向こう側は暗くて何も見えなかった。
でも俺は安堵した。
こういう時こそ光の能力が役に立つ時だ。
扉の向こう側全体が見えて明るくなるように想像をする。
…
しかし、何も起こらなかった。
なんで!?
思わず、戸惑いこんちゃんの方を見る。
察したのか、こんちゃんが声をかけてきた。
「何だのん?」
「こんちゃん、思ったように実現しないんだけどどうして?」
「それは神格が低いからのん。」
「神格?」
「双葉の世界で言うゲームのレベルみたいなものだのん!」
「あぁ、なるほど。」
つまり、レベルが低いからそれ相応の能力しか使えないみたいだ。
最初から何でも出来ないって事か。
なら、自分の周辺だけ照らせるかやってみるか…
想像してみる。
すると、こっち側は元々明るいから分かりにくいが扉の向こうは自分から1メートル範囲だけ明らかに明るくなった。
おっ、使えた!
しかし、まだ安心出来ない。
向こうの世界には何が待っているのかまだ俺は知らないからだ。
「こんちゃん、次こそ行ってくるよ!」
「頑張るのん!」
恐る恐る扉を越えると草や木の葉が風に揺れて不気味な音を出している。
ちょっ…怖いんだけど。
こんちゃ…
あれ、扉は!?
振り返ると、扉が無くなっていた。
周辺を確認しても何も無い。
そして、思った。
あぁ、通ったから消えたのか…と。
どうやら、一方通行だったらしい。
改めて周辺を確認すると、真っ暗闇で光の能力で辺りを照らしてやっとそこら辺に沢山の草や木が見える。
どうやらここは森の中らしい。
これからどうすれば…
そんな時、神具の欠片の事を思い出した。
そういえば、こんちゃんがサポーターがいるって言ってたよな。
おーい!もしもし…聞こえますか?
…
(ジジ……ジジジ………こ…る……ジ……ジジ……)
ん?
何か聞こえる。
しかし、あまり聞こえないから耳に近づけた。
(…聞こえ……)
おっ、何か可愛い声が聞こえる。
(おー……聞こ…る?)
聞こえづらいが女の子の声が聞こえた。
「聞こえるよ。」(おーーーーーい!!)
「うわぁ!!」
お互い同時に声を出したが、向こうの方が余りにも大きい声で驚いた。
それに、耳に近づけていたせいでキーンと耳鳴りが続く。
(あ、やっと通じた!ねぇ、貴方が私の眷属?)
何だこの人、いきなり失礼だな。
それにこっちは耳がやられてるっていうのに…
神具の欠片から声がしてなんかトランシーバーみたいだけど耳が気になってそれどころではなかった。
「君は誰で眷属って何?」
(え、貴方、勾玉の欠片をもってるでしょ?)
勾玉の欠片?
というか、誰って聞いてるのに人の話を聞かないな…
欠片という言葉で自分が持ってる神具の欠片を見た。
これのことか?
「神具の欠片なら持ってるけど。」
(それよ!それを持ってたら私の眷属って事なの。)
へぇー、そうなのか。
「その眷属ってのは分からないけど俺を助けてくれる人だよね?」
(半分正解で半分は違うわね、それに私は人ではないの。)
「だったら何?」
(私は天照、人ではなく神なの。)
「えぇーーーーーー!?神様?確かに天照は聞いた事がある!もし本当に神様だったら俺がこの世界で何をすればいいか分かるはずだよね?」
(そうね。私もある事情で少ししか分からないけど、その世界は貴方とは違う次元にある世界らしいの。貴方も勾玉の欠片を触ったら急にそこにいたのでしょう?)
「えっ、違うけど…」
(あれ?違うの?)
「本当に神様なのか?なんか怪しいな…」
ガサッガサッ
すると、近くの草むらから音がした。
「うわっ!何!?」
(どうしたの!?)
「いや、近くで草が動いた音がして…」
(今、どんな状態?)
その言葉で改めて周りを見て今いる現状を思い出す。
「真っ暗で光の能力で辺りを照らしてて森の中にいる状態かな…ハハハっ…」
緊張で張り詰めてる状態に苦笑いしつつ、額から冷や汗がツーっと垂れてきた。
(真っ暗…光の能力は神力の事よね。今のはもしかして闇の生物かも知れないわ。)
「アンブルって何?」
(闇の生物は色んな種類がいるんだけど、自分以外を襲って喰らうモンスターね。)
えっ、怖っ!
この世界ってそんなモンスターがいるの!?
「でも、そんな奴らにどう気を付ければ?」
(そこは少し安心して!貴方には光の神力があるからそこら辺にいる闇の生物の一般個体の部類の奴らは光を照らしていれば近づけないから。)
「一般個体?もしそれ以外だったら?」
(すぐに喰われるわね。)
「だったらどうすればいい?」
(光の神力の神格を上げるか、欲の扉を見つけてクリアするしかないわね。)
また新しいワードが出てきた…
「その欲の扉って?」
(私も他の神から聞いたんだけど、欲の扉は神々が与える試練らしいわ。内容は分からないけどクリアすれば新しい能力を手に入れる事が出来るらしいわよ!)
いやいやいや、神なんだったら他人事の様に言ったらダメでしょ!
まぁ、いいや。
神なら自分の眷属には簡単な試練出してもらってちゃちゃっとクリアすれば新しい能力ゲット出来るに違いない。
「そういえば、呼び方は天照様って呼んだ方がいい?」
(何でもいいわ。そうね、天照って呼んでちょうだい。皆、天照様って言うから畏まりすぎて困るの。)
「なら、天照って呼ぶよ。」
(そっちの方がこっちも気が楽でいいわ。)
天照は微笑みながら話す。
余程、呼び方に疲れたんだろう…
俺は考えた事を天照に話した。
「で思ったんだけど、天照が神なら俺に試練を出してよ!それも簡単にクリア出来るの。そしたら、新しい能力手に入れられるでしょ!」
(…んーと、そうね。)
あれ、なんか歯切れが悪いな。
「どうしたの?」
(いや、あのね。私にもどうやって試練を出せばいいかやり方を知らないのよ。)
「神なのに?」
(ちょっとね…)
「他の神から聞けないの?」
(こっちにも事情があって聞けないのよ。その代わり交信できる間は他の事でサポートするから任せてちょうだい!)
この自称天照を信じて大丈夫なのか?と心配になった。
ん?
少し気になる部分があった。
交信できる間…?
「ちょ、ちょっと聞くんだけど、交信できる間って言った?」
(そうだけど、言ってなかった?)
「え、聞いてないよ。ずっと話せないの?」
(ごめんなさい…次に交信出来るのが月が一周回った頃かしら。この世界を地球でいう日にちだとしたら25日くらいかしら。)
結構、日にち空いてるな…
「だったら、ここから俺はどうすればいい?」
(勾玉の欠片を触った時、手の甲に私と同じ模様が出てるはずだから確認してみて。)
そんなのあったかな?
両方の手の甲を確認してみる。
右手の甲をよく見ると、真ん中に小さい勾玉の模様が出ていた。
えっ、いつの間に…
小さすぎて全く気付かなかった。
(あったでしょ?)
「小さいけどあったよ。」
(それ、触ってみて!)
天照が言った通りに模様を触った。
手が模様に触れた瞬間、身体中にビリッと電気が走った。
すると、目の前にカードが現れた。
それを取って見ると、自分の顔とゲームでいうステータスらしき文字と数字が書かれていた。
(それは、今の貴方の能力が写し出されているわ。何が出来て、どのくらいの能力があるか見たら分かる神格カードよ。)
「そんなのがあるんだ?それは便利かも…」
(それに模様に触れる度に更新されるから変化がありそうだったら触れてみたら分かるわ。)
「わかった。」
(確認したら、街を探してその世界の情報収集が手っ取り早いと思うの。)
「街がなかったら?」
(住む所と水分補給と食物の確保ね。さっきも言った通り一般部類以外のアンブルに出会したら終わりだから慎重に…ジジ…よ。)
「え、もうまってよ!もう終わりなの?」
(頑張…生……って…)
ここで天照との更新が途切れた。
続




