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第98話 『ラスト・バタリオン』の宿命

「それと『ラスト・バタリオン』の生体機構について誠様はどれくらいの知識をお持ちですか?」


 突如リンは話題を変えてそんなことを言い出した。


「えーと、『ラスト・バタリオン』は成人した状態で産まれるんですよね?アメリアさんは30歳の状態で産まれて、カウラさんは25歳の状態で産まれた……ちなみにリンさんは?」


 誠はとりあえずそんなことを尋ねてみた。


「私は22歳の状態でロールアウトしたらしいです。私は密輸品としてゲルパルトの非合法研究施設から売られてきた個体なので正確なデータは有りませんから確かなことは分かりませんが」


 そう言うリンにはあまり悲壮感を感じないのが誠には唯一の救いだった。


「ここで、『ラスト・バタリオン』の普通の人間と違うところをお話ししましょう。『ラスト・バタリオン』の稼働期間は70年と言うことで設計されています。よくSF作品などで登場する人造人間の稼働期間が数年だったりしますが、そんな短期間しか稼働しない人造人間などコストパフォーマンスが悪すぎますから。兵器に必要とされるのは瞬発的な戦闘能力もそうですが、常に臨戦態勢にあって即座に戦場に送り込めることが必要になります。稼働期間があまりに短い高性能なだけの人造人間などナンセンスです」


 誠もよくアニメとかでは2年とかしか生きられない人造人間の登場する作品を見ていたので、リンのあまりに合理的な考え方にはうなずかざるを得なかった。


「たとえばクラウゼ中佐。彼女は稼働歴は20年です。つまりあと50年は稼働するわけです。そして『ラスト・バタリオン』の特徴は老化するということが無いということです」


 リンの言葉に誠は言葉を失った。確かに、アメリアを見てみればわかるように20年前に30歳の姿で産まれたはずなのに今見ても30歳ぐらいにしか見えない。そしてカウラは産まれて9年だが、これも25歳の姿である。考えてみればそのことに今まで気が付かなかった自分を恥じた。


「『ラスト・バタリオン』はロールアウトしてから60年はまるで変化することなくその姿のままで存在し続けます。当然、その目的が戦闘と同時に優良種であるアーリア人の種を残すことを目的として製造されたので繁殖能力も60年は問題なく機能します。そして60年を過ぎるとその能力に限界が出て体細胞に各種の機能低下が発生し、70年ほどで機能停止……いわゆる『死』を迎えるわけです」


 いかにも医師らしく理路整然とリンはそう言った。


「老化しない……でも不老不死では無い……まあ、不老不死は隊長やクバルカ中佐や島田先輩の専売特許ですからね」


 誠はリンの語る『ラスト・バタリオン』の運命について考えて少しばかり複雑な気持ちになった。

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