第79話 三谷を追う第一小隊、そして第二小隊は……
「その口調だと三谷の一件は同盟本局の許可は取ってねえな?アタシは良い。そんなの慣れてるし、降格なんざ怖くもなんともねえ。でも、優等生のカウラや捜査に慣れねえアンはどうするんだ?いいんだぜ、降りても」
かなめはやる気が出てきたようで隣に座るカウラやはす向かいのアンに声をかけた。
「法術特捜の補助任務は第一小隊の本務からは外された……」
カウラはゆっくりとそう言った。
「やっぱりそうか、じゃあ……」
そう言って茜に話を続けるように目を向けたかなめの肩をカウラは叩いた。
「最後まで聞け!呪われた運命ゆえに自由に生きられない苦痛は私にも分かる。戦うために作られた私にとって彼等の運命は他人事ではない。その先に使い捨て以下の駒としての人生しか待ち構えていないなんて言うことは許すことができない。私も参加する」
強い口調でカウラはそう言い切った。
「僕もやります。そこの人達はこの豊かな東和で僕が生まれた内戦だらけのベルルカン大陸の安定した時に見せるような一時的な平和を生きているんでしょ?そんな平和が長続きするとは到底思えません。確かに400年間この国は平和だったかもしれません。でも、それは戦争の前兆です。戦いの前の静けさ……いつもそう言う風にして戦いは始まるんです」
元少年兵にして現在は『男の娘』であるアンも美少女が戦いを覚悟した表情でうなずいた。
「そうですか、ありがとうございます。それでは三谷の件の捜査は私とラーナ、クラウゼ中佐、ベルガー大尉、かなめお姉さまにアン軍曹で対応します」
そう言うと今度は茜は視線を誠達第二小隊の面々に向けてきた。
「そう言うわけですので島田君の事件の統括は日野少佐にお願いしたいのですが……よろしいでしょうか?」
少し引きつった笑みを浮かべながら茜はかえでに向けてそう言った。
その引きつりの理由は誠にもよくわかる。
二人は相性がまったく良くない。
性に奔放すぎてもはや犯罪レベルのかえでとかなめから『鋼鉄の処女』と呼ばれるほどの身持ちのかたい茜。何度となく二人が喧嘩しているところを誠は目撃してきた。
かえでの方は別に茜に対しては逆に好意を持ってスキンシップを図ろうとするくらいだが、それを一々小うるさく騒ぎ立てる茜では相性がいいわけがない。
「それは構わないのだが……『神聖聖書協会』。ネットで調べた限りの事はわかるがそれを一から調べるとなるとかなりの時間を要することになるね。それに昨日あんなに無茶な接触をしてきたくらいだ。僕としても情報不足のまま捜査に入るのは危険だと考えている。それに僕やリンにはこういった法術関係の捜査は初めてだ。いくら経験者の誠君がいるとは言っても少しは配慮してくれないかな?」
かえではそう言っていつも女性を誘惑するような視線を送るが、潔癖すぎる潔癖症の茜にはそのようなものはまったく効果が無かった。




