第76話 地球圏の情報管理能力の限界
「茜ちゃんは軍事関係から漏洩しているって言うけど本当にそうなのかしら?もしかしたらすごく身近に漏洩者がいるかもよ」
アメリアの言葉に一同は緊張した。
「アメリア、身近に漏洩者がいるとはどういうことだ?この隊にも確かに形骸化しているとはいえ規律は有る。特に情報漏洩に関してはこの隊が常に守って来た唯一の規律と言っていい。隊長の方針は『戦いとは情報戦である』と言うことだ。だからこの隊の隊員がいくらいい加減で遊んでばかりいる人間でも情報漏洩などと言うことは絶対にありえない」
そう強い調子で言ったのはアメリアの隣に座ったカウラだった。その真剣な表情の隣ではかなめがニヤニヤ笑っている。
「おい、確かにアタシ等隊員はそうかも知んねえけど……隊員……いや、隊員の愛人はその守秘義務の対象になってるのか?さっきのアメリアと茜の会話を聞いていればどういう法術の情報が漏洩したことくらいは分かるんじゃねえかな……なるほど、確かにあれは『究極のアンチエイジング』だわ。地球人の血を引く女なら誰でもあこがれるわな」
ニヤニヤ笑いながらかなめはその視線をかえでに向けた。
「なるほど、お姉さまは義父上に多量の精液を子宮に流し込まれた結果不死人となった清原蔦の事を言いたいんだね?確かに彼女は自分自身が不死人になってしまった上にひよこさんからその方法を義父上が業務上横領の嫌疑を晴らすために聞かされたからすべてを知っている訳だ。しかし、彼女は甲武から出て間もない。そもそもネットに情報を上げることなどできないはずだ。義父上の家には家電は生活家電を除けばラジオしかない。そんな情報でどうやって情報を地球の超上流階級に知らせることが出来るというのかな?お姉さま。それはあまりに滑稽だよ」
明らかに姉を見下すような口調のかえでにかなめは瞬時に立ち上がり机を叩いた。
「デカい口叩くようになったな!この雌豚が!アタシの鞭や蠟燭でヒーヒー言ってた分際でそのご主人様を愚弄するとは良い度胸じゃねえか!」
誠はかなめの言うことが明らかに不適切発言だと思いながらも確かにこれまではかなめの言うことなら何でも聞いていたかえでがこのところかなめの言うことにことごとく反論する機会が増えてきたことを実感していた。
「遼州人以外の星系の女性が覚醒した法術師の遼州人の男性との頻繁な性交渉によりその法術師の持つ能力を獲得する……この事実は軍関係では今では常識となっている法術研究の成果です。ですが、その危険性は遼州圏の軍関係者も地球圏も軍関係者も十分理解している。だから民間には流出しないはず……ですが超富裕層が完全に政治を牛耳り、軍関係に圧力をかけるのが当たり前の地球圏ならばそのような超重要機密も簡単に漏洩する……いま東都のあの日雇い労働者の街、三谷で起きていることはその事実を示していますわね」
かなめとかえでの姉妹喧嘩を無視して茜は話しを続けた。




