第74話 出勤、そして呼び出し
「おう、オメー等。嵯峨警部が第一会議室で待ってる。行ってこい!」
出勤して司法局実働部隊の機動部隊の詰め所に入った誠達にこの部屋の主であるちっちゃな機動部隊長のランはいつも通り大きな機動部隊長の机で詰将棋をしながらそう言った。
「アタシ等もか?法術特捜の補助捜査任務は第二小隊に一任と言うことになったんじゃねえのか?」
かなめはそのままランの言葉を無視して自分の席に行こうとする。
「おい、それは冷てーんじゃねーのか?今回の島田の馬鹿の件……明らかに法術師を狙ったもんだ。そして、茜が言うには別件が有るんだそうだ。その為にカウラとオメーにも動いてもらうそうだ。どうせうちは暇なんだ……行ってこい」
顔を上げたランはきつい調子でかなめに向けてそう言った。
「へいへい、上官様には逆らえませんよ……」
そんなかなめを見ながら誠とかえでは顔を見合わせた。
「法術犯罪の捜査……僕には軍務の経験があるが武装警察としての捜査活動は初めての経験だ。誠君。よろしくご指導を頼むよ」
かえでは甘い声でそう言って誠の肩を叩いた。
「そんな……僕はそれほど経験が深い捜査官と言うわけではありませんよ」
元々自信と言う物とは程遠い性格である誠は照れたようにかえでの熱い視線に耐えながら頭を掻いた。
「日野、移動だ。くだらないことに時間を潰すな。捜査は常に時間との戦いだ。その一秒の間に被害者が増えればそれは貴様が無能だということだ」
挑発的な視線をかえでに送るとカウラは部屋を出て行った。
そのまま誠達は第一会議室に入った。
そこにはすでに法術特捜の主席捜査官である嵯峨の娘の嵯峨茜警部と彼女の唯一の部下であるカルビナ・ラーナ巡査。そしていつものように余裕の表情を浮かべている誠達を統括する任務を担当しているアメリアの姿があった。
「遅いですわよ。まあ、今回の事件は二つの事件を同時に追うことになる……しかもどちらもあまり緊急性は高く無いと私は思っていますからそれほど急ぐことでは無いのですがそれでも時間に正確に行動するのが捜査官の基本ですわ」
金髪のポニーテールを揺らしながら茜の青い瞳が鋭く緊張感の欠けた誠達をにらみつけた。
その圧に負けてそれぞれに誠達は席に着いた。
「二つの事件?島田の事件は分かる。今でも島田は寮でくたばってるからな……で、もう一つの事件ってのは何なんだ?」
いかにもめんどくさそうにかなめはそう言った。茜が緊急性の低い事件と言った時点でかなめのやる気がかなりなくなっているのは誠から見ても明らかだった。




