第265話 かえでの料理とかなめの怒り
それからもミルク(?)料理は次々と誠に出された。
どれもおいしいと誠には思えたのだが、そのすべてに大量のかえでの母乳が使われており、一口食べるたびにそのおいしさを訪ねて来る笑顔のかえでの視線が痛かった。
最後はのミルクティーを飲み終えた誠をかえでは静かに笑顔で見つめていた。
「どうだろう……僕の乳は気に入ってもらえたかな?これだけの量となると週に一度しかごちそうできないのが残念だけど……ああ、毎朝気味が飲んだグラス程度の量なら確保できるよ。僕はどうやら普通の女性よりも母乳の量が多いらしくてね。今も、乳が張って仕方がないんだ。君は僕を手に入れれば好きなだけ直接僕の乳を味わってほしい……それが僕の願いだ……君が嫌がるような変態的なことは慎む代わりにこんな僕の願いを受け入れてくれないだろうか?」
笑顔でそう言って来るかえでに向けて誠はこう思った。
『あの……それでも十分変態だと思うんですけど』
ただ、それを口にできないところがいかにも誠らしいところだった。
「ああ、ではちょっと失礼するよ。本当に胸が張って仕方がないから搾乳をしてこないと上着まで染みてきてしまう……リン、頼む」
そう言ってかえでが立ち上がろうとしたとき食堂のドアが乱暴に開かれた。
「おい!かえでだな!なんでアタシの路上ライブに珍妙な客がやたらいるんだ!サクラを雇ったろ!何が狙いだ!それとなんで神前とオメエが二人でいる!神前はアタシんだって何度言えば分かるんだ!」
まだ寒いというのにサイボーグの耐寒能力ゆえにお気に入りの黒いタンクトップにダメージジーンズ。手にはギターケースと言ういでたちのかなめは怒りの表情で誠達の所に突進してきた。
「ああ、姉さん。ちょうど今、誠君に僕自身を味わって満足してもらったところだ……姉さん好みの性的な意味ではないよ。それより味覚で僕は誠君を魅了したい。そう考えていたところだからね」
挑発的な視線を姉に送るかえでの顔には自信が満ち溢れていた。
「味覚だ?黄金水でも飲ませたのか?そいつはアタシの専売特許だ!神前!何を食わされたか分からねえが今すぐ吐け!吐くのはオメエの得意技じゃねえか!」
かなめは誠の襟首をつかむと長身でスポーツマン体形の誠を軽々と持ち上げて首を絞め始めた。
「そんな!かえでさんの手料理をごちそうになっていただけですよ!まあ、材料もほとんどはかえでさんが自分の身を張って用意した者なんですけど……」
そう言い訳する誠にかなめは少し納得したような顔をした後静かに手を放し誠を椅子に座らせた。




