第263話 妖しいミルク……その正体は!
誠がそのどう見ても牛乳にしか思えないものを口に入れた瞬間、それが間違いなく牛乳ではないことは分かった。
牛乳よりは濃厚だが、濃縮牛乳のような臭みは無くあくまで飲みやすい。
なぜか懐かしい感覚が誠の喉元を襲う。
「どうかな?」
いかにも嬉しそうな表情を浮かべてかえでは自分の胸を触りながらそう言った。
「おいしいですよ……でも本当に何の乳なんです?それが気になって……」
そう言いつつ誠の目はかえでの顔と豊満な乳の間を行き来していた。
「それはね……僕の母乳だよ。今朝の絞りたてだ。今日は量が少なかった……というか絞り切れていなかったみたいでこうしてまだ出したい気分が僕の胸にたまっているんだ。何ならここなら誰もいない……直接飲んでみるかい?」
かえでの言葉に誠の思考は完全に停止した。かえでは動けなくなった誠に微笑みを投げるとそのままジャケットを脱ごうとした。
「いえ!遠慮します!この食堂にはきっと島田先輩が隠しカメラとか仕込んでいますから!そんなことがバレたら僕の命が無いです!」
誠はようやく驚きの言葉を口にしながら勢いでグラスの中身を一気に喉の奥に流し込んだ。
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいよ。それに、島田准尉が仕込んでいた隠しカメラはすべてリンに外させた。その点は問題ないんだから……」
そう言って再びジャケットを脱ごうとするかえでの肩を誠は押さえつけた。
「そうだね、君にはまだ少し早いようだ……でも、これは後で搾乳機を使ってしっかり搾り取る必要があるな。まだ、若干染みてきてしまっている感じがして気分が悪いんだ」
かえではようやく落ち着いたようにそう言うと椅子に座り直した。
「かえで様!準備が整いました!」
厨房からシェフの佐藤の声が響いた。かえでと同じくらいの頼りがいのありそうな女性の声に誠は安心したように息を整えた。
「じゃあ、これから僕の母乳を使ったコース料理を誠君に味わってもらおう……本格的な料理をするのは初めてだから気に入ってもらえるか不安だけど」
かえでは笑顔でそう言うと立ち上がって厨房に消えた。
「かえでさん……あの人子供でも生んだんですか?僕は作った覚えはないですよ?僕まだ童貞なんで」
取り残された様に目の前に座るかえでの主治医でもあるリンに向けて誠はそう言った。
「いいえ、子供を産んだわけではありません。女郎屋には母乳好きのお客も多いのでホルモン調整剤を使って乳腺の状態を常に出産直後の状態に保つ技術があります。かえで様も今はその状態です……それとも誠様はかえで様と直接子をなしてからお飲みになるのがお好みなのですか?」
平然とそう言い放つリンに誠はただ引きつった笑みを浮かべてかえでの変態行為がこの程度で済んでいるということで満足すべきなのかもしれないと自分に言い聞かせていた。




