第260話 困った姉妹の困った冷戦
その日は二連休だった。
開幕第三戦。相手はリーグでは『特殊な部隊』とは同格とされている『八町鉄工所』だった。
守備が売りだが打撃が弱い敵チームにかなめは誠ではなく打たせて取ることが売りのカウラを先発させ、誠はこの日も『四番・ファースト』の守備についた。
『西園寺さん……意地でも僕とかえでさんにはバッテリーを組ませないつもりだな』
試合中も常にキャッチャーのかえでと守備位置をめぐり口論を続ける監督のかなめを見ながら誠はファーストベース上で苦笑いを浮かべていた。
試合は、ほぼ徹夜続きにもかかわらず不死人の無限の体力で絶好調の島田の先頭打者ホームランの一点を守り切る形で幕を閉じた。
試合後も勝利を祝う月島屋での飲み会も無し。監督とチームの要のキャッチャーの姉妹喧嘩に巻き込まれる形になったチームメイトたちはただ、その原因を作った誠に恨みがましい視線を浴びせながらそのまま帰路についた。
午後は誠が久しぶりにプラモデルを買いに行きたいと出かけようとするとかえでではなくリンが護衛として誠についてきた。
車が無いと生活しづらい豊川の街で車を出してくれるだけでなく余計なことはあまり話さないリンの存在はありがたかったが、毎晩夜這いを繰り返すリンを前に欲しかった新製品の美少女フィギュアを買うのを諦めて、誠は新金型で再版された陸上自衛隊74式戦車と必要な塗料と工具を買っただけでそのまま寮に帰ってそれから先は部屋い閉じこもってひたすらプラモづくりに専念することにした。
『なんだよ……全部僕のせいなのか?これがあのあこがれていた『モテモテ生活』って奴なのか?地球人には30%もいるという『モテ男』達はこんな針の筵の上に暮らしているような生活を送っているのか?こんな生活……僕は耐えられるんだろうか?』
プラモの下地にコンプレッサーで色を付けながら結局誠はそんな無為な一日を過ごしていた。
夜はかなめは試合が終わって出かけたまま寮の夕食時間には帰らず、カウラとアメリアも今日に限って珍しく食堂でオーナー特権で一人だけ豪華なコース料理を食べているかえでの様子が気になるようで、誠がかえでによる精力増強特別メニューを食べる様を見守るだけで誠は一人寂しく食事を済ませた。
食事が終わって寝るまでも誠が好きなバトル系魔法少女アニメの撮りためた録画を見て寝るまでの時間を過ごした。
「また今日もリンさんが来るのかな……今日は西園寺さんは帰ってくるかどうかわからないから……そのままリンさんと……でもそのあとで西園寺さんに間違いなく射殺されるな……今日はリンさんが来ませんように」
そんな自分でもどうでもいいような独り言を言って誠は眠りについた。




