第245話 姉妹の戦い……それは他の女も巻き込んで燃え広がった
そんな二人の間に割って入ったのはアメリアだった。
アメリアは二人を引き離してそれぞれの顔を見回すといつもの何を考えているのか分からない笑顔を浮かべながら手を叩いた。
「なによもう!せっかくの新型機のお披露目が台無しじゃ無いの!もっと喜びなさいよ!それにかなめちゃんはいつも誠ちゃんにエースなんだから機体の色を塗り替えてかっこよくしろっていつも言ってるじゃ無いの!それに、誠ちゃんはかなめちゃんの所有物じゃない。誠ちゃんは私の」
ニコニコしながらそう宣言するいつものマイペースなアメリアの態度だが、かなめの態度はあくまでかたくなだった。
「いつからオメエにそんな権限が生まれたんだ?アタシは貴族制国家の頂点に立つ貴族である『関白太政大臣』だ。そのアタシが神前はアタシが自由にしていいと決めた。これは国家の威信をかけた問題だ……テメエみたいな庶民が口をはさんでいいことじゃねえ」
表情は凍り付いたままかなめははるかに長身のアメリアに対しても冷たくそう言い放った。
「ほう、こんなところでいつもは嫌いだと言ってはばからない身分をひけらかすとは……西園寺。貴様の考え方はまるで子供だな。それにそもそも貴様が『関白』になれたのは日野の手配のおかげだ。貴様の手柄じゃない。貴様は自分が願えばすべてが手に入ると信じているようなところがある。しかし、現実はそうなのか?貴様の非正規部隊での戦い、相手は貴様の望み通り動いてくれたか?これまで私達が参加した戦場で敵は貴様の射線にホイホイと飛び込んできてくれたか?それにだ、神前はモノじゃない。そして私は貴様の神前を自分の物にするという宣言を絶対に認めることもない」
アメリアばかりでなく事態を静観するように見つめていたカウラまでもが顔を赤らめて憎しみの視線を妹のかえでに送るかなめにそう言った。
「そうです、かなめ様のお父上、宰相閣下は身分制度の形骸化を目指されています。そう考えればその娘であるかなめ様がその特権を利用して人の感情を踏みにじるなど言語道断です。ですので、このリン、命に変えましてかなめ様の横暴から誠様をお守りする覚悟を決めました。誠様を真に愛し、その幸福を実現できるのはこの『小弾正』と呼ばれる渡辺リンの他に居ないことは以前もお話ししたと思うのですが……皆さんには記憶力と言うものが有るんでしょうか?」
かえでの後ろから現れた執事服姿のリンの言葉もかなめの怒りの脳内には届くことが無かった。
「アタシは認めねえ!認めねえからな!それとかえで!テメエとも絶交だ!」
まるで子供の喧嘩の捨て台詞のような言葉を吐いてかなめはハンガーを出て行った。




