第243話 かなめの激情、かえでの冷徹
「お姉さま、ごきげんよう。僕の機体は気に入ってもらえたかな?」
かなめに声をかけたかえでの声に明らかに自信がみなぎっているのを誠は聞き逃さなかった。
かえでの声に振り替える三人だが、その中でかなめの視線に誠はある種の恐怖を覚えた。
憎しみ、憎悪、嫉妬。
そんな色がかなめの顔には浮かんでいた。
「随分と派手な機体だな……戦場は殺し合いの場所だ。こんな目立つ機体は邪魔なだけだ……消えろ」
かなめはそう冷たく言い放った。そんな言葉を聞いてもかえでは笑顔を崩すことは無かった。
「派手な色ですか。そう言うお姉さまの赤い機体。あれは当家の武人として誇る『紅藤太』孝基伯父様を尊敬なさっているからあの色を選んだんですよね……僕としても甲武一の貴族の家柄『藤原氏』の氏長者であるお姉さまに遠慮して機体の色を決めたつもりですが……お気に召しませんか?」
そう言うかえでの言葉にはどこまでも余裕の色が見て取れた。
対照的にかなめはかえでの言葉に感情に呑み込まれたかのように顔を赤く染めて怒りをあらわにした。
「へえ、氏長者であるアタシへの配慮か?物は言いようだな。かえで……最近、テメエはずいぶんと生意気になりやがったな。これまでアタシに求めてきた調教も一切なしだ。べたべたくっ付いてくることもねえ。まあ、それはアタシとしても好都合だが……隣に常に神前の馬鹿を連れて回ってる。そりゃあ何のつもりだ?アタシがそんなこといつ許可した?」
爆発しそうになる怒りを抑えつつかなめはかえでに向けてそう言った。
「誠君と僕が一緒に居るのにお姉さまの許可が要るんですか?それは初耳ですね。それに『法術武装隊』が本格的に動き出した今、お姉さまでは誠君の護衛は務まらない。だからクバルカ中佐は誠君の安全に配慮するように僕に命じている。つまり、これはクバルカ中佐の許可を得ているということです。軍ならば指揮命令系統に逆らうような行動は慎むべき。軍務が僕より長いお姉さまなら知っていて当然のことだと思うのですが……僕は間違っていますかね?」
かえではここにきてまるでかなめを挑発するかのように巨乳と言えるかなめよりもさらにはるかに大きい自分の胸の前で腕を組んでかなめを見つめた。
「ほう、ここにきて指揮命令系統だと言い張る訳か……エリートは言うことが違うねえ……感心しるわ。かえで、正直に言えよ。オメエは神前にオメエの望み通り滅茶苦茶なおもちゃにされて性的に満足したいだけなんだろ?オメエは根っからの変態だ。アタシがそうしたからな。ここは素直になろうや……正直に言ってみろ……まあ、それをアタシが許すかどうかは別だがな」
怒りがいつ爆発するかと言う状況でもそれにひたすら耐えながらかなめは一言一言絞り出すようにかえでに向けてそう言った。




