第241話 欠点がかなり減ったという新型機
車はそのまま隊の駐車場に止められていた。
「今日納入って……その割には整備班の人達の車、ほとんどもう来てるじゃないですか……もしかして今日の早朝に納入しちゃったんですか?」
誠は朝の早い時間に寝坊が習慣の整備班員の野郎共の金をかけまくった改造車がほとんど揃っていることに気付いてそう言っていた。
「それなら整備班の人達はそもそも『武悪』の調整でこのところずっと隊に常駐していますから。そのついでに朝一で私達の機体の納入は済ませてあるそうです」
リンに指摘されて誠もこのところ寮の食堂では整備班の人間は島田から体調不良を指摘されて寮での待機を命じられた隊員以外の姿を見ることが無く、食堂でも男子隊員の姿はそんな事とは無関係な管理部の菰田とかなめ、カウラ、、アメリアの三人しかいなかったことを思い出した。
そのかなめ達も今日は誠と顔を合わせても挨拶もせずにそのまま早々と寮をでて行ったのですでに隊に到着しているはずだった。
「僕の機体か……ちゃんと僕の指定通りの姿に仕上がっていると嬉しいんだけどね」
ハンガーに向けて歩くかえでの後ろを誠とリンは黙って歩いていく。
ハンガーには新型機を運んで来たトレーラーの姿はすでになかった。ただ、いつもの第一小隊向けの一台だけある専用トレーラーの隣に第二小隊用と思われる真新しいトレーラーが停められているのが目に付くくらいだった。
「じゃあ、行こうか……楽しみだな」
ハンガーを行きかう白いつなぎの整備班員の間を縫うようにかえではシュツルム・パンツァーの駐機場へと足を向けた。誠達も浮かれたように足早な彼女を見失わないように足を速めてその後ろに続く。
誠の視界に入って来たのは見慣れたランの紅いシュツルム・パンツァー『05式先行試作型』ランが呼ぶには『紅兎弱×54』の紅い機体だった。
しかし、その後ろには先日整備班が作った三機の新型機向けのシュツルム・パンツァー固定装置とその前で新型機を見上げる整備班員だけではなく、運航部の女子隊員の姿などが見て取れた。
「みんな僕達の機体に関心があるようだね……所詮はエンジンの大型化と重力制御推進システムの効率化による機動性の向上がなされただけだというのに大げさな話……でもまあ、注目されるというのは悪い気分ではないね」
一度、誠達を振り返るとかえではそう言って笑った。
「でも、そこが大事なんですよ。05式の欠点は機動性の並外れた欠如に有るんですから。それが開発が開始された当初のシュツルム・パンツァーレベルの機動性が確保されればそれだけで大革命です」
誠はそう言うと新型機の前に群がる人だかりに向っていくかえでに続いてかえでの新型機へと足を向けた。




