第240話 かえでの笑顔そして新型機
「今日はようやく僕の機体が来るんだね……楽しみだな」
いつもと同じく誠はかえでの高級乗用車に乗せられて隊に向かう中、かえでは始終ご機嫌だった。
「そうですね、改良型……機動性を重視したパワーアップがなされたって聞いてますけど……確かに僕の機体は乗ってて嫌になるくらい遅いんで」
照れつつ誠はそう言ってかえでの声に応えた。
05式は重装甲・重火力・そして高運動性を確保するために完全に機動性を無視して製造されたシュツルム・パンツァーだった。
07式との東和陸軍次期主力シュツルム・パンツァーコンペにおいてもその機動性の無さをそもそも跳べるので機動性などと言うものを考えないテストパイロットを務めていたランが最高評価を付けた以外は最低評価で東和陸軍の主力シュツルム・パンツァーには07式が採用された。
しかし、その近接してしまった時の戦闘能力が現在存在する量産可能な主力シュツルム・パンツァーのすべてを遥かに凌駕するものであることは誠のこれまでの数々の活躍で誰もが知るところだった。
東和陸軍は07式の採用計画を中断し、05式と互角に渡り合える戦闘能力と07式では無いものの戦略兵器として運用計画を立案できる程度の機動性を持ったシュツルム・パンツァーの提案を国内のメーカー各社にするように要請していた。
東和陸軍に納入されるために製造され、または製造途中だった07式は全てほとんど捨て値と言う価格で東和共和国以外に07式の運用実績を持つ遼帝国が引き取るということが決定していた。
「ですが、所詮は改良機……私もスペック表は見ましたが機動性の圧倒的な改良は認められません。確かに機動性がほとんど期待できない05式に比べると目をつぶれる程度に上がった程度……遼北の殲27やアメリカが現在開発中だという試作シュツルム・パンツァーの公開されているスペックと比べるとその機動性においては明らかに見劣りします。ましてや飛行に特化した飛行戦車と追いかけっこをするような展開になればとても対応できる機体ではありません」
運転をしているリンはあくまで冷静に新型機をそう分析した。
「確かにね、跳べるクバルカ中佐は別として僕やリン、そして干渉空間による転移するという法術が使えないアンが乗るには若干寄贈性に欠けるという欠点が改良された程度の代物なのは確かだ。でも、アレの使い道は戦争じゃないんだ。何も電撃戦出的戦力の裏側に回り込んで勝利をするために作られた兵器と言うわけではないからね。そう言う意味では我々『軍隊の介入が政治問題になりかねない場所で活動する実力部隊』を看板に掲げる僕達には最高の機体だと僕は考えるよ」
かえではどこまでもご機嫌なので誠は彼女でも自分が乗ることになる愛機に対しては並々ならぬ愛情があるのだと理解した。




