第234話 男なら決める時は決めろとヤンキー先輩は言った
「こんなことを俺から言うのは野暮なのは十分承知なんだけどな……」
真面目な顔をした島田が自分を見つめて来るので誠は思わず箸を止めて島田の顔を見つめた。
「なんです?急に真面目な顔をして……島田先輩らしくないですよ」
そう言って誤魔化そうとする誠の言葉にも島田の真面目な表情は揺らぐことが無かった。
「オメエ、真面目に日野少佐と付き合え。日野少佐はオメエの『許婚』だ。俺は『純情硬派』で売ってるんだ。そして最近の日野少佐はこれまでのどう見ても変態でプレイガールと言う印象から変わってきている。あの人は本気だ」
真面目にそんな話をしてきた島田に誠はしばらく硬直して動けなくなった。
「急にそんな……島田先輩らしくないですよ」
なんとか話題を逸らそうとする誠だが、島田の真面目に自分を見つめてくる視線には勝てなかった。
「オメエはモテてる。『モテない宇宙人である遼州人』としては考えられねえほどだ。俺は彼女が一人いる事で十分だったが……オメエは周りにうようよ言い寄ってくる女がいる。ただ、日野少佐は『許婚』だ。他の女とはわけが違う。確かに、これまではあの人の変態ぶりややたらと女に手を出すところは問題だと俺も思っていた。でも最近のあの人は違う。オメエだけを見ている……こんなこと俺に言わせて楽しいか?だったら……男なら覚悟を決めろ」
あくまで真面目を装って島田ははっきりとそう言い切った。
確かにこの一月のかえでの様子は変わってきていた。これまで自分の使用人やリンとの変態行為を自慢する無修正動画を送るということもなくなったし、しょっちゅう露出行為で警察署にランが身元引受人として迎えに行くようなこともなくなった。
あと、最近は寮で一緒に生活しているのだが、都内での派手なパーティーに出かけては女性をお持ち帰りするのが何よりの楽しみだと公言していたかえでは寮に住むようになってから都内に出かけたことは一度もない。
「確かに……あの変態ぶりと女癖以外はかえでさんが素敵な女性なのは間違いないですけど……」
優柔不断が服を着て歩いているような男である誠はそう言って照れたように頭を掻いた。
「その変態ぶりは収まった。女を漁りに行く都内のパーティーに出かけることも今はしてない。ならなんでオメエが悩んでるんだ?……西園寺さんか?カウラさんか?それともアメリアさん?オメエは贅沢言い過ぎだ。西園寺さんと結婚したらおそらく一年以内にオメエは射殺される。カウラさんと結婚したらこれも1年以内に自己破産する。アメリアさん?あんなおばさんのどこが良いんだ?決めちまえ。最高の女でどんなプレイも喜んでしてくれる相手だぞ。それ以上の望みが何かあるのか?」
言ってることは無茶苦茶だったが島田の顔はどこまでも本気だった。




