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第231話 法術犯罪、終わる

 白人女性は向って来るかえでとリンの存在に気付くと英語でかえでに話しかけてきて彼女を制止しようとした。


 穏やかな英語でそれに返したかえでは慣れた調子で身分証を女に見せる。その隣に付き従うリンもまた身分証を見せて静かに病室の入り口に目をやって同じく英語で話しかける。


「口で言ってわかるくらいなら銃を突きつけりゃあ済む話じゃねえか」


 かなめは身分証を仕舞ってそのまま彼女の愛銃スプリングフィールドXDM40を抜いた。


「撃つなよ、西園寺」


 そう言ってカウラは病室に踏み込むかえでとリンを見ながらかなめを制するようにその前に立ってかえで達の後に続いた。


 病室では男の英語での怒鳴り声とそれに鋭い口調で言い返すかえでの英語での会話が始まっていた。


 英語の苦手な誠にはまるでその意味は分からなかったがその男がクレメンスであり、かえではクレメンスの行為は遼州圏では犯罪でありこれからこの場に居る全員を逮捕すると宣言しているのだろうと推測した。


 仕切りの壁を抜けた誠達の目の前に二つの別途と手術機材の並ぶ病室が目に飛び込んできた。


 クレメンスとかえでは英語で激しい口論を続けていた。女性の手術スタッフとバノンの付き添いの信者たちはその様子を不安そうな表情で見守っている。


「……はい、証拠はすべてそろっています。関係者全員をとりあえず左倉警察署に連行するために捜査員を……そうですね40名ほど手配していただけませんでしょうか?それと今頃は千要警察の法術担当捜査室にすべてのこちらでの強制捜査が必要な場所についても連絡が入っているでしょうからそちらの対応も合わせてお願いします」


 かえでの背後に立つリンは携帯端末で左倉警察に応援要請の電話を掛けていた。


 二つのベッドには手前側には麻酔で眠りこけている手術服姿の島田と、その隣には看護師に囲まれている老人の姿があった。


「なんだ?いつもの偽装拳銃は持ってねえのかよ……用意が悪いねえ……こういう時があるって考えるくらいの想像力がねえ用だから変なデマに踊らされて不死人の肝臓を移植すれば地球人の男でも不死人になれるなんてことを信じちまうんだ。オメエ等の教祖様は天地がひっくり返っても不死人にはなれねえんだ……残念だったな」


 かなめは一人だけ難しい表情を浮かべている『神聖聖書教会』の幹部信者らしい男に向けて嫌味な笑みを浮かべながらそう言い放った。


「応援はあと5分で着くそうです……我々はこのまま現場で待機……事件は終了しました」


 電話を終えたリンはそう言って誠に笑いかけてきた。


 誠はこういう肝心な時はいつも気絶しているような気がする島田のいかにも楽しそうな寝顔を見ながらこれまでで一番楽な事件の終わりに安心したように深呼吸した。

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